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「表記ミスで能力が間違ってました」はもうダメ? 景品表示法の改正がソシャゲの得意技を封じるか

ソーシャルゲームに、1つ波がやってくる。
消費者庁が、新しい景品表示法を規則を2016年4月1日に施行することを明らかにし、それに関する資料を公開したからだ。

ネット上などでは『グランブルーファンタジー』などの炎上によって「新しいガチャ規制」がきた、と騒がれているが、それは正しくない。
実は、この改正は元々2015年11月に「食品偽装問題」に対応するために行われたものだからだ。
しかし、だからといってソーシャルゲームは無関係ではない。とばっちりで大きな影響を受けそうなのだ。


さて、この改正のポイントは、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」に対して課微金(罰金)が課される点にある。

「優良誤認表示」は、商品やサービスの「品質や規格等」が実際よりも優良であると誤認させるような表示のこと。

ソシャゲでいえば、「レア以上確定ガチャ!」と書かれて販売されたアイテムが、実際は「レアしかでないガチャ」だったらこれに当たるだろう。


「有利誤認表示」は商品やサービスの「価格」が有利であると誤認させるような表示。

「こんなに当たる!」と当たりだらけの絵を見せつつ、実際は全然当たらないようなときはそれに該当するかもしれない。

有名なところでは、ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライトの返金問題は、これが疑われた事件だ。

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この判定の際、「事業者の故意又は過失の有無は問題とされない」というのが今回、大きなポイントである。

ソーシャルゲーム業界では、「実際の能力と表記が違っておりました」と、キャラクターの能力を修正する事件が頻発する。業界の得意技といってもいいだろう。

これまで、表記ミスなどは過失として処理され、有利誤認とされることはなかった。
当然、その間違いを信じてガチャを引いたプレイヤーに返金されることもあまりない。

だが、今後は違う。
こういった事件が起きれば、故意でなくとも有利誤認と認定され、罰金を課される可能性がある。
有利誤認と認定されるシチュエーションが増えれば、補償されることも増えるだろう。

消費者保護の目的を考えれば、これはいいことだ。
が、ゲームに関しては諸手を上げて賛成はできない。
例えば、ゲームバランスの修正が難しくなる問題点が考えられる。

オンラインゲームでは、強すぎるキャラクターを「バグのため」といきなり修正することがまま見られる。
が、今後は強すぎるキャラクターを出してしまったら、返金覚悟で修正しなければならない。
運営が厳しいゲームの中では、「バランスか、返金か?」この2択で考えた時に、前者を取れず、結果としてゲームが崩壊するものも出てくるかもしれない。

間違えなければいい、という考え方もあるが、人間はミスをする。
それに、ゲームバランスは複雑なもので、開発者ですら想定できない使い方が発見され、ゲームが崩壊することもある。

そんなとき、「返金したら、運営が続けられない」ほどギリギリの財政バランスのゲームは、ゲームバランスを修正できずに終わってしまうかもしれない。

そう考えると、食品偽装に端を発した今回の改正が、ソーシャルゲームに大きな影響を及ぼすことが理解していただけるだろう。
詳細を知りたい方は消費者庁のページをどうぞ。

関連リンク:
景品表示法|消費者庁