ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

『Solstice Arena』10分で終わるMOBAは成立するのか?

Solstice Arena 基本無料 + iPhone/iPadの両方に対応
開発:Zynga
課金:
追加衣装・キャラクター・消費アイテム購入(なくても勝てる)
評価:2.5(価格通りに楽しめる)
sol7
金を払えば勝てるわけではない。
MOBAというよりアクションバトルとして楽しめる。
チーム戦なのにプレイヤー同士のコミュニケーション機能が不十分
ギブアップ機能がないのに、試合の体勢が序盤で決まってしまうこともある
海外で大人気で、今最も熱いジャンルの1つとされるMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)。
アクションRPGのようにキャラクターを操作し、複数のプレイヤーが2陣営に分かれて相手の本拠地を破壊するまで争う、対戦アクションRPGとでも言うべきジャンルだ。

その元祖といってもいいPCゲーム『League of Legends(以下、LoL)』をほぼそのまま持ってきてしまった1試合30分の『ヒーローズオブオーダー&カオス』、スマホ向けに直した1試合3分の『デーモントライヴ』などが出ているが、『Solstice Arena』はその中間で10分で終わる3 vs 3専用のMOBAだ。
sol6

大まかな流れではLoLのルールを踏襲しており、プレイヤーはまず使用するキャラクターを選択する。
1プレイヤーが1キャラクターを操作し、戦場に出るのだ。
sol1

キャラクターにはSUNやMOONなど5つの属性が設定されており、SUNなら遠距離攻撃が強い魔法使い、MOONなら回復や補助能力のあるサポートというように役割が設定されている。
sol3
▲複数の属性をもつキャラクターもいる。

そして、試合開始。
操作はタッチした場所にキャラが移動、敵をタッチすればその敵を攻撃という標準的なもの。
sol10

各キャラクターは3つのスキルを持っており、スキルボタンを押してから対象を選択すると使用可能。
コミュニケーションはアラートボタンでのみ取ることが可能で、アラートを押した後に敵をタッチすれば「この敵を攻撃しようぜ!」になるし、画面の後ろをタッチすれば「退却!」のアラートが出る。
sol2
▲なお、MPに当たるものがないのでスキルは使い放題

敵の攻撃を受けてHPが0になると一定時間操作できなくなり、キャラクターを倒した敵には大金が入ってしまう。
金は装備を整えるために使用し、ゲーム中だけキャラクターが強化される。
sol9
▲連続殺害ボーナスもある。

で、攻防を繰り返して相手を圧倒し、最終的に敵の本拠地を破壊した側が勝利となる。
sol2 (1)

攻防の駆け引きのポイントは2つ。
このゲームではプレイ中のレベルアップがなく、マップ上に落ちているオーブを取ってキャラクターの能力を成長させる。
SUNならスキルの使用待ち時間、MOONなら回復速度というようにオーブによって上昇する能力が決められており、マップの決まった位置に定期的に出現するので、このポイントを抑えなければジリジリと戦力に差がついてしまう。
sol
▲小さいオーブと大きいオーブがあり、大きいものは取るのに時間が必要。

また、マップ中央に宝箱があり、これを取得すると仲間全員に大金が手に入る。
宝箱を開けるには時間がかかるため簡単には手に入らないので、ここで宝箱地点を制圧するための攻防が行われるわけだ。
sol5
▲宝箱に手をかざして不思議な力で解錠する。

試合が終了すると、プレイ内容によって経験値とお金を入手できる。
この経験値は勝利しても敗北しても大きく違わないので、負けてもそんなに損した気分にならない。
sol11
▲基本ボーナス+細かいプレイ内容でボーナスが。

経験値が貯まると使用したキャラクターがレベルアップし、スキルを強化することができる。
最大で5回までスキルを強化できるが、スキルのカスタマイズは3種3段階あるのでプレイヤーによって同じキャラクターを使っていても、最終的にスキルの能力が異なるキャラクターに成長する。
halo

ここまで大体8〜10分。
しかし、終わってみるとなんだか濃いゲームをした気がする。
その秘密は直線的なマップにあると見た。
普通のMOBAはマップが複雑で、隠れる場所などもありバトルしていない時間が長いが、このゲームは直線マップなので敵をかわすことができず、短時間に何度もバトルが発生する。
sol6
▲バトル無しには進めない!

だから、プレイした後強烈に戦った気がするわけだ。
これが面白いかというと…結構面白い。
アクションゲームとして普通に遊べる。
ただし、一度負け始めると逆転できるタイミングもあまりないので、力押しなパーティーゲームという感覚か。
ということでMOBAの皮をかぶった、面白い対戦アクションゲームとしてこれはあり、という結論になった。

ただ、そう思うと戦力差がつきすぎると逆転できないアクションゲームって微妙だなぁ…という話になる。
sol8
▲ギブアップ機能がないので慣れたプレイヤーは本陣に引きこもってわざと早く負ける。時間がもったいない。

いっそMOBAっぽさにこだわらずに成長要素を弱くし、ポイント制で8分制限の方が楽しめたのでは、などと思ってしまう。
sol11
▲最後につくこのポイントで勝負すればいいのに。

課金要素はキャラクターの衣装とゲーム開始時に装備するブーストアイテムポーションの購入。
衣装はゲームの能力に影響はないが、ポーションは少しだけ能力に変化がある。
ただし、毎週1種類のポーションが無料になるので、課金しなくともそこまで差が付き過ぎないようにはなっている。
このあたり、海外は「楽しむために金を払う」であって「勝つために金を払う」じゃないのが羨ましい。
sol2
▲課金したほうが便利だけど、ぐらいの差。

アクション+RPG+RTSでMOBAという新ジャンルが作られたが、そこを簡略化しようとして、RPG・RTS部分を弱くしたら先祖返りしてアクションもなってしまった感じ。
ということで、タイトルの「10分で終わるMOBAは成立するのか?」は成立していなかった、という結論になる。

大勢がオンラインで戦うという意味ではMOBAなのだが、LoLなどのプレイ感覚から言ったところのMOBAという感じにはなっていない。
ただし、このゲーム自体はオリジナリティを加えた結果MOBAっぽくなくなっているだけなので、10分で遊べるMOBAという物自体は十分作れそうだ。

で、ゲームとしてみるとアクションとしてはそこそこおもしろいが、コミュニケーションシステムがいまいちだったり、ゲーム離脱者のペナルティがない(3 vs 3なので1人抜けたら大事なのに、モバイル回線を考慮してかペナルティ無し)ので、少し負けていると離脱者が出て消化試合と化すなど、ゲームの外側の枠組みが足りていない。

初期はそこそこ楽しめても、このままだと海外で一瞬話題になって、すぐに飽きられて「MOBAの過渡期にこんなのあったよね。」という話の種になっていそうな…。
評価はゲーム部分とその足を引っ張る枠組みを差し引きして2.5としておく。

アプリリンク:
Solstice Arena(itunes 基本無料 iPhone/iPadの両方に対応)

動画: