ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

iPad mini vs Nexu7という誤解とTegra3がA5より優れているという誤解。

ipadmini
いよいよ発表された iPad mini。
ライバルが Nexus7 と言われて比較されているが、実際に iPad mini は買いなのか?
iPhone5 / iPod touch 5Gにゲーマーは買い換えるべきか!?などでもやったように、Nexus7 と比較しつつ記事を書いていたところ、Nexus7 と iPad mini はまったく別の製品という結論になってしまった。 最初に Nexus7 との性能比較から。
iPad mini Nexus 7
OS iOS6 Android 4.1
CPU Apple A5 Tegra3(1.5GHz、クアッドコア)
ディスプレー 7.9インチ、768×1024ドット 7インチ、800×1280ドット
背面カメラ 500万画素 なし
インカメラ 120万画素 120万画素
メモリー 非公開
1GB
ストレージ 16/32/64GB 16GB(32G準備中)
GPS wifiモデルはなし あり
バッテリー:動画再生 10時間 9時間
高さ 200 mm 198.5 mm
134.7 mm 120 mm
奥行き 7.2 mm 10.45 mm
重量 308 g 340 g

iPad miniを一言で言うのならば、小型になってカメラを強化した iPad 2。
画面の縦横比・解像度、チップセットともに同じ。
使用されているA5チップには動作速度でバリエーションがあるが、おそらくiPad2と同じアプリを走らせられるように、同じ物を用意してくるだろう。
となると、非公開のメモリも512MBと予想される。
なので、今回は iPad2 と性能が同じものとして考えていきたい。

性能面で見ると、A5を搭載した iPad mini の方が優っていると予想される。
Tegra3 の方が新しくてコア数も多いのになぜ?
と思われるかも知れないが、 Tegra3 は A5 と同世代のチップセットであり、コア数の違いがそのまま性能の差を表すものでもない。

以前「Tegra3、1年前に発売されたA5チップにグラフィック性能で完敗。iPad2 VS Transformer Primeのベンチマーク結果」でお伝えしたが、CPUの能力は Tegra3 に軍配が上がるが、グラフィック性能ではA5の方がはっきりと良い。
実際にCPU・メモリ性能がモノを言う geekbenchでは Nexus7 が2倍のリード。
(詳細はこちら参照

ただし、実際にブラウザの速度を測るといえる Sun Spider や Rightware では Nexus7 のリードは10%〜20%にとどまる。
47742
AnandTechのベンチマークより。

反面グラフィック性能ではかなり iPad2 がリードしている。
47744
▲その他のテストもあるので、詳細を知りたい方はAnandtechをどうぞ。

Tegra3 は動画再生機能が弱いという弱点もあり、総合的に言えば A5 の方が性能が良い考えられる。
ゲーマーにとって見ればグラフィック性能が高いので A5 の方が大幅に性能が良いということができるだろう。
しかし、A5より1年遅れで出てきたので Tegra3 も含めて、すでに1世代前のものである。

続いてディスプレイサイズ。
こちらは似たようなものだろう。
解像度が高いのは素晴らしいので、文字の滑らかさなどは Nexus7 に軍配が上がるが、画面が大きいというのもまた利点ではある。
電子書籍用途はおそらく Nexus7 であり、アプリを楽しむにはでかい方がいい。

対応アプリ数では明らかに iPad mini 。
iPadのアプリをそのまま使用できると見られ、その数は膨大。
対する Nexus7 は Android なのでアプリ体験の質は劣る(これはタッチパネルの応答と、ディスプレイ解像度が異なる端末が多様にある Androidの欠点だ)。

背面カメラがある iPad mini は性能面・多機能性面で勝り、値段分 Nexus7 より高級な端末であるのは間違い無いが、コストパフォーマンスについては Nexus7 が圧倒的にリードしているのも正しい。
近々メモリ32GBになって価格が据え置きのアップデートもある。

では、どちらがお得かというところまで考えて、Nexus7 と iPad mini はまったく異なる端末であると気づいた。
背面カメラがない Nexus7 は割り切った超低価格端末で、SNSに写真をとって投稿するなどはできない。
スケジュールをつけたり、ネットを見たり、アプリを遊んだり電子書籍を見たりと、小さなノートパソコンである。

カメラや様々なアプリを使って遊んで、これ1台で済ませるのが iPad mini、そこから切り捨てられるものを切り捨てて電子書籍リーダーなどの機能は残し、Google のサービスを使いやすい質実剛健なタブレットが Nexus7。
サイズも用途も違うので、自分にあったものを選ぶべきだろう。

どちらかと言うと、iPad mini は Galaxy Note の対抗馬であり「こんなに安い7インチタブレットが出たけど Sumsung どうするの?」というのが自分の結論となった。

では、iPad mini はお買い得なのか、というと個人的にはそう思わない。
iPhone3G に対する iPhone3GS、iPadに対する iPad2、そして今回発表された iPad第3世代に対する iPad第4世代…過去の Apple 製品は「新しいものを出し、その後に出たものが大幅に改良されて完成される」というプロセスを繰り返しており、今回も明らかに完成品ではない。

7インチの Apple 端末がどうしても欲しいなら別だが、iPod touch 5G をすでに持っていたり、コストパフォーマンスを重視するゲーマーは iPad mini に飛びつくべきではないだろう。
恐らく次世代 iPad mini は Retina 対応と A6 チップセットを備えてくるはずだ。

iPhone 4S、iPod touch 5G、iPad2と多くの端末に搭載されたA5チップ搭載端末は当分の間、使い続けられるし、切り捨てられる状況はなかなか想像しづらいが、出てから1年たっているのも事実。
あと2年を待たずして「アプリは動くけども快適ではない」という状況に将来ハマる可能性がある。
実際、iPhone5 を見る限り A6世代はメモリの性能などが著しく向上しており、アプリのロード時間が半分以下になっているようだ。

iPad第4世代については様子を見ないと分からないが、恐らくこちらはかなりいい端末になっているはずだ。
ベンチマークが上がってきた頃にまたなにか書こうと思う。

2012/10/25追記
CPUについて、Geekbenchの結果を追記しておきました。しかし、実行性能はA5という認識なので結論は変わっていません。

参考リンク:
iPad(第3世代)とNexus7を比較!それぞれどんな人にオススメか考えてみた(おますきゃ)
AnandTechのベンチマーク