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『Vainglory』運営元のRogue Gamesがサービス運営を放棄。開発元のSEMCがサーバーを再建し「プレイヤーがゲームを運営できる」新方針を発表

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3月27日は『Vainglory』にとって悪夢の日になった。
『Vainglory』を運営しているRogue Gamesが、サーバーを3月27日に突然シャットダウンし、プレイヤーから見るとサービスは突然に終わったのだ。
そのスケジュールは急で、3月25日にSEMC開発元であり旧運営のSuper Evil Mega Corp(SEMC)に伝えられて2日後にサーバーが停止し、プレイヤーには4月1日になるまで詳細は知らされなかった。
現在、SEMCがサービスを復活させたが、今後はプレイヤーがサーバーを立ててゲームを運営できる『Vainglory Community Edition』としてアップデートされていくことが発表された。
サービスが終わってしまうゲームや、オフライン版が発表されるゲームもある。しかし、ゲームを愛するプレイヤーが自腹でサーバーを運営して続けるのもまた、1つの道だろう。

SEMCは現在、新作ゲームの『Spellfire』プロジェクトに集中しており、Rogue Gamesに運営を委譲したのもそのための方策だった。
しかしSEMCは同じようなことを避けるため、新しいパブリッシャーに頼って運営を試みるのではなく、コミュニティと協力してゲームの長期的な未来を築くチャレンジを行いたいと発表した。
SEMCはゲームを愛しており、永遠に生き続けることを望んでいる。そのために作業を行う。
そして同じく『Vainglory』を愛するプレイヤーはそれを支援するというわけだ。

SEMCはこの作業を迅速に行うとしている。
『Vainglory』のサーバーは収入がなければ運営するにはお金がかかり、現在はアプリ内購入がオフになっているからだ。
『Spellfire』のリリースが近づくにつれ、SEMCの作業の余力はなくなるからでもある。


まず、ゲームにおけるクライアントの役割を増やし、高価なサーバーですべてを処理する代わりにプレイヤーの個人情報や戦績などがローカルに保存されるようになるという(つまり、アンインストールするとデータが消えてしまう)。
以降に際して当初は機能は制限され、フレンドや進行情報は1度消えるが、後々復活する予定とのこと。
長期的な目標は、プレイヤーコミュニティが直接サーバーをホストしたり、統計情報を収集したり、独自にゲームをチューニングできるようにして『Vainglory』が運営されていくことだという。
『Vainglory Community Edition』への移行は、下記のようなスケジュールで行われる。

アプリの体験は、良くなる前に一度悪化する。
ステージ1a:すべてが壊れる…しかし、ほぼすべてにアクセス可能になる。
目標時期:今週末(早ければ木曜日)
ステージ1では、全てのヒーローと全てのスキン(LEバージョンを除く)を誰でも利用できるようにします。ソロキューではほとんどのゲームモードをプレイすることができるが、パーティ、ソーシャル、チャット、クエストなどなど、それらの機能がほとんどすべてが正常に動作しなくなる。
それらのボタンを押すと予想外の結果を生み出すことになる(非常にバグが増える)

ステージ1b:新しく、クリーンアップされたクライアント
目標時期:ステージ1aから1~2週間
ここでステージ1aで壊れたものの多くをクリーンアップする。
機能はほとんど戻ってこないが、UIはクリーンアップされ、ステージ1の最悪のバグは解決されているはず。

ステージ1c:さらなるクリーンアップとパーティUIの復活
目標時期:ステージ1bから1~2週間
新しいパーティーコードシステムを介してふたたびパーティーを形成して遊べるようになる。まだフレンドリスト、チャットなどは復活しない。
これが『Vainglory Community Edition』のコアとなり、ここから再構築される。

ステージ2:コミュニティホストサーバーの導入
時期:未定
ここではコミュニティのメンバーや組織がパートナー組織を介して『Vainglory』サーバーを自分でホストすることを選択できる機能を導入したいと考えている。
SEMCサーバーのPingに不満がある場合は、自分が選んだ場所で自分のサーバーをホストできる。
この段階ではゲーム内に「サーバーブラウザ」を追加し、プレイヤーが接続したいサーバーを選択できる。
その後にサーバーはカスタム・バランシング・パラメーターで設定可能になり、ステージ1で消えたイベント・ゲーム・モードなどを復活できるはずだが、それはもっと後となる。

ステージ 3:SEMC サーバーはバックアップに
時期:未定
ステージ3では、SEMCを中央サーバーの役割からだんだんとフェードアウトさせ、コミュニティが運営するサーバーとマッチメーカーに全面的にコミットする。
これは第2段階の状態に依存する。
 
ステージ4:古いVaingloryプロフィールの再インポート
時期:未定
我々はプログレスは重要で、ゲームの歴史には意味があることを知っている。
ステージ4では古いトロフィー、進行情報、LEスキンなどを再インポートできるようにする。

ステージ5+:検討中
初期の段階でのフィードバックに応じて行動する。
私たちはVaingloryを愛し続けており、独立したコミュニティ主導のクロスプラットフォームのエコシステムへと進化させたいと思っている。
これがどのような形になるかは、コミュニティからのフィードバックと、ステージ1からステージ4がどのように進むかにかかっている。

この発表に合わせてSEMCはRedditで質疑応答を行っており、 追加でいくつかの情報がわかっている。

まず、現在の計画では自由にコードをいじってサーバーをホストするのではなく、選ばれたサービスプロバイダから選択してサーバーを立てられるようにする予定だという。
価格は最大同時マッチング数あたり月数ドルの予想で、仮に5ドルだとすると同時プレイ数10人(1試合の最大プレイヤー数)で5ドル、同時プレイヤー数100人で50ドル、ということになる。
ほかにも様々な情報があるので、気になるファンの方はRedditを見て欲しい。

振るわないサービスの運営が移管されそのまま終了というケースは多いが、そこからサービスを取り戻して再運営し、プレイヤーが運営できるまでにするというのはスマホゲームの世界では珍しい。
いろいろと大変だが、素晴らしいことにSEMCのスタッフはコロナの情報でてすぐにリモートワークに移行したため、全員健康で作業しているという。
無理をしない程度に頑張って欲しい。

関連リンク:
Vainglory | The cross-platform MOBA.
PROJECT SPELLFIRE