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爆弾を産むニワトリがフライドチキン・チェーンを壊すパズルアクション『Bomb Chicken』レビュー。一見色モノ、遊ぶと軽快操作の骨太のパズルアクション

Bomb Chicken (itunes 610円 / Steam 1,500円)
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私たちは、いつも食べている食品の原料について驚くほど無知だ。
たとえば、安い・美味しいの代名詞チキン。あれほど大量の肉を、毎日途切れず大量生産できるなんておかしいと思わないだろうか?
世界で展開する青いソースで人気のBFC(ブルー・フライドチキン)なんて、世界中で1日に何万トンものチキンを使っている。
遺伝子組み換えとか、その程度の小手先の技で用意できるわけがない。
そして、『Bomb Chicken』をプレイすることで我々はついにその真実にたどり着いた。チキンは科学と魔法の融合で大量生産されていたのである。

何気なく地上に存在するBFCの店舗
労働者たちはおいしそうに青いチキンを食べている。
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だが、その地下には謎の神殿があり……職員が卵を鶏神の石像に捧げている。
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そして驚くべきことに、石像に捧げられた卵は一瞬でふ化して鶏になってしまう。
これこそが、BFCが安く大量にチキンを供給できる理由。人類は肉を食うために呪術にまで手を出していたのだ。
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行き過ぎた技術は不幸も生む。
ある日、換え……じゃなくて、呪いの暴走で卵の代わりに爆弾を生むニワトリが生まれてしまう。
そして、ニワトリはこの呪われたフライドチキンチェーン店を吹き飛ばすべく、活動を始める……そう、『Bomb Chicken』はニワトリを操作して約30ステージを破壊しつつゴールまで移動するアクションゲームである。
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本作の魅力はパズル性の高いアクションにある。
操作はスライドによる左右移動、そして画面タップによる爆弾配置だけと、スマホでも問題ない超簡単操作。ジャンプボタンすらない。
この“爆弾を生む”という操作がジャンプも攻撃も、すべての行動を兼ね備えたオールマイティーな能力で、その使い方に頭を悩ませるのが本作の面白さだ。
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爆弾は一定時間後に爆発するので、単純に攻撃に使用したり、ブロックを破壊して道を作ることに使える。
画面をタップすると爆弾がニワトリの足元に配置され、ニワトリはその上に乗っかる形になる。つまり、通常より1弾高い位置に移動できるようになる。
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爆弾は連続で産めるので、大量の爆弾を連続で産んでタワーのように積み上げれば、どんな高い場所にも楽勝で登れる。
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さらに、爆弾は爆発するまで高い防御力を誇っており、射撃攻撃に対して一時的な盾としても使える。
『ボンバーマン』の爆弾のように爆弾を蹴り飛ばして投げつける攻撃的な使い方もできるし、まさに攻防兼ね備えた最強のアクションだ。
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ところが、爆弾は爆弾なので「時間がきたら爆発する」という欠点がある。
爆風に巻き込まれればニワトリも倒れるので、高所に上ったら素早く爆弾タワーから逃れないといけないし、盾として使っているときも少しタイミングを見誤れば盾に使っている爆弾が爆発して死ぬ。
単純に爆弾を適正な数だけ詰んで突破するステージでは焦って爆弾を1つ多めに産んでも死亡につながる。
単純に時間計算をするだけでなく「もしかして、こういう爆弾はこんな使い方もできるのでは?」と頭をひねるポイントもあり、アクションとパズル性の融合は見事。
スマホでは複雑操作が難しいならば、パズルと組み合わせて無理なく面白くする。この考え方はさすがスマホゲーの人気メーカーNitromeと褒められる手際で、本当にうまくいっている。
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ニワトリは神像に導かれて約30ステージの道のりを進むが、その物語も(あっさりではあるけど)興味を引くには十分で、生まれたBFCから始まり、エンディングまで継続する。
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欠点があるとしたら、セーブデータが1つしかなくステージをやりなおせないことと、爆弾が暴発して自爆しやすい(画面に触れるだけで爆弾を産むので、意図せずに爆弾を産んでしまうことがある)ことだろうか。
とはいえ、後者はSteam版でも方向キー以外は何を押しても爆弾を生む仕様なので、製作者が意図的に仕込んだ暴発なのだろう。倒れてもすぐやり直せるのでストレスは低いし、笑って許せる程度のもの。

操作性に問題を感じない優れたアクションパズルになっているので、スマホできっちりアクションを遊びたいならぜひ、『Bomb Chicken』を試してみて欲しい。

動画:


追記:
初期に「ステージやり直しができない」とありましたが、プレイ中に画面の右上(宝石がたまに出るあたり)を押すとポーズがかかり、戻ることができました。そのため、その表記も削りました。

概要:
爆弾を産むニワトリになって、ゴールを目指す横スクロールアクション。パズル的な考え方が楽しい

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
ファーストフードの裏側を描く(?)独特の世界観
適度に不便で、適度に強力な爆弾を使いこなすパズル性
操作性もタッチで問題なし

気になるポイント
焦ると暴発しやすい操作性

アプリリンク:
Bomb Chicken (itunes 610円 / Steam 1,500円)

開発:Nitrome(イギリス)
HP:http://bombchickengame.com/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中