3マッチパズル+RPG。
『パズドラ』や『パズルクエスト』時代からヒット作を生み出してきたこの組み合わせに、新たなハマりゲーが出現した。
魔王を倒す勇者となり、ランダムイベントが発生する難所を踏破し、宝を集めて自宅を豪華にしたり、最終的に魔王を倒す『MAGICUS -マジカス-(以下、MAGICUS)』だ。
3マッチバトルなんてやり飽きたという方も多いだろう。私もそうだった。
しかし、『MAGICUS』はヤバい。遊び始めこそ「なるほど、いつものアレね」なのだが、続けているとゲームが変化していき気づくとハマって時間が消し飛んでいる。
『ダンジョンメーカー』を遊んでいると「なんとなく時間が立っていた」なんてことが起きるが、同質の面白さ。有料で面白いゲームを探しているなら、これはチェックすべき1作だ。
本作はダンジョンを道を進み、モンスターを倒し、魔王の城を目指すRPGだ。
ダンジョンは一本道で表現されており、選択できるコマンドは“ススム”か“モドル”のみ。とにかく“ススム”を選択肢てゴールまで行けばダンジョンは攻略できる。
ただし、移動するたびに宝箱、釣りスポット、他のキャラクターとの出会いなど、様々なイベントが発生するので、ただ進んでも退屈にはならない。
ダンジョンでは歩くたびに“満腹度”が減り、これがゼロになると歩くだけで体力が減ってしまう。満腹度が減りやすいダンジョンなどもあり、場合によってはモンスターよりも空腹の方が厳しい状況もある。
さて、そんなダンジョンで最も多いイベントがモンスターとのバトルだ。
バトルは積み上げられたジェムを消すパズルゲーム要素を取り込んでおり、ジェムをタップすると壊せて、壊したジェムの数に応じて主人公が攻撃を行うものとなっている。
また、ジェムを破壊すると上に積まれたジェムが下に落ち、落下後に同じ色のジェムが縦横に3つ以上並ぶと消えて“Chain”が発生し、たくさんジェムが消えてモンスターに大ダメージを与えられる。
また、プレイヤーがジェムを指で消すたびにモンスター左のカウントが減り、カウントがゼロになるとモンスターは反撃してくる。このあたりは『パズドラ』などでお馴染みの方式。
モンスターの体力をゼロにできれば経験値とコインが手に入ってダンジョンをさらに進められ、プレイヤー側の体力がゼロになると冒険は失敗になる。
このあたりが『MAGICUS』の基本ルールだ。
これだけ見るとダンジョン+3マッチパズルバトルのゲームで、どこかで見たようなものにも聞こえる。私も最初はそう思っていたが、遊んでみるとめちゃくちゃにハマった。
出し惜しみなく新しい要素をゲームに加わり続け、成長も早い(周回なんていらない)から、常に刺激があって飽きない。
最初に出てくるのは“装備”。プレイヤーは様々な装備を購入して、付け替えてモンスターに立ち向かえる。
モンスターからドロップする素材を集めると新しい装備を開発でき、装備を手に入れては強いモンスターを倒し、さらに強い装備を手に入れるのが楽しい。
RPGの基本中の基本だが、シンプルな成長が楽しいRPGはいいものだ。
▲装備購入には素材が必要。
で、さらに少しゲームが進むとプレイヤーは魔法を覚える。
魔法を覚えると、バトル中に消したジェムの色の魔力がたまり、同じ色の属性を持つ魔法が使えるようになる。
魔法には単純にダメージを与えるものから、パズルを補助するもの、敵に状態異常を与えるものまでさまざま。このあたりまでは「まあ、普通にこうなるよね」程度だった。
▲魔法は5つ装備でき、1つ目に装備した魔法はすぐ使えるけども威力が弱く、後に装備するものほど使いづらいが威力が強くなっていく。切り札にしたい魔法の威力を自分の意思で強くできる。
続いてやってくるのが主人公の“職業”変更のシステム。
職業に魔法使いを選べば魔法が強くなって瞬間的な爆発力が高くなり、盗賊を選べば素早くなって敵の攻撃を受けずに戦えて……と、これは『ドラクエ』の転職のようなモノ。上級職、隠し職業もある。
で、職業選択が可能になったあたりからゲームの面白さが加速し始める。
魔法×職業の組み合わせで戦い方にプレイヤーの好みが出て、自由度が高くなるのだ。たとえば、私がハマったのは状態異常だった。
『MAGICUS』の状態異常は、かなり使い分けが細かい。
普通のゲームでは少しダメージを与えるイメージの毒だが、本作ではプレイヤーの攻撃力に比例してダメージが上がる。さらに、敵の行動のたびにダメージが当たるので、素早い敵に毒を与えるとかなりのダメージが期待できる。
攻撃しない限り目を覚まさない睡眠は多数で出現する敵に有効だし、麻痺は効果を発揮するまで時間がかかるが、一度効果を発揮すればボスですら動けなくなる。重要なことだが『MAGICUS』ではボスにも状態異常が効く。
戦士で敵を眠らせてどんな敵も1対ずつ倒したり、盗賊の手数を活かして麻痺させたりと、自分なりの工夫が楽しんでいた。
プレイヤーの工夫が戦闘に影響を及ぼすようになると、最初に出てきた“強い敵を倒すと強い装備が手に入る”仕組みが輝きだす。
普通は勝てないような強敵が出現する場所に行って、特定の敵を倒せるように工夫する。すると一気に数ステージ先の装備を入手できて、急激に強くなる。
「無茶をする→無茶するだけ強くなる」ループが、とにかく気持ちいい。プレイヤーが頑張っただけ強くなるのだから。
その他にもレベルアップ時に“探索”や“鍵開け”などの冒険向け能力を上げたり、新システムを開放したり、ショップの品ぞろえなどを増やす“ギフト”、モンスターを召喚して仲間にでする“石板”など、さまざまな要素があり、遊んでいる間に増え、戦術の幅が広がっていく。
少し飽きるとすぐ新しい仕組みが増えるので飽きる暇がない。というか、飽きるどころかいい感じに刺激を受けてハマってやめられなくなる。
▲レベルアップ時はプレイヤーが好きな属性を伸ばせる。これ自体は最初からある要素。
バトル関連だけでなく、自宅を購入して家具を購入する仕組みもある。
料理をして満腹度を回復させる“調理器具”のような実用的なものもあれば、歩数やプレイ時間を表示するだけのお楽しみ要素もあり、これを充実させるのもまた楽しい。
もちろん、レベルを上げながら気楽に遊ぶこともできるし、熱くなってダメージ計算して急激なパワーアップを楽しむこともできる。少し頑張れば少し見返りがあり、無茶をして成功すれば一気に成長できる。どんな遊び方も許す懐の広さがあるゲームとなっている。
序盤がとにかくとっつきづらいこと。
ゲームを開始時点が一番難しく、通常以上の難易度では死ぬと経験値ペナルティがあるため「なんだこれ」となりやすい。
また、最初はただジェムとタッチして壊すだけなので、『パズドラ』などの3マッチRPGよりもシンプルで物足りなく感じてしまう。
だが、しばらく遊べば引き込まれて辞め時がなくなる。終わりがあって設計されている有料ゲームならではの楽しさなので、そういったゲームが好きならぜひ遊んでみて欲しい。
「20時間かかるゲームはつらいが、気づいたら20時間遊んでたゲームはOK」という言葉があるが、まさに気づくと時間が消えているハマりゲーだ。評価:8(かなり面白い)
おすすめポイント
純粋に成長が楽しいバランス
プレイヤーが頑張るほど応えてくれるシステム(戦術面も、報酬面も)
新しい要素が次々出てきて飽きる暇がない
気になるポイント
最序盤が難しい
序盤は仕組みがシンプルに感じる
行き先が増えるとスライドするUIがわかりづらい(気づけば問題なし)
アプリリンク:
MAGICUS -マジカス- (App Store 370円 / GooglePlay 360円 / DLsite 330円)
開発:Keizo(日本)
HP:https://amnestry9.wixsite.com/keizo
レビュー時バージョン:1.1.3
課金:なし
動画:
ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中