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架空ゲーム世界を救うゲーム『バレットブレイク』TGSインタビュー。「このゲームにはビサイドの経験と、面白いと信じるものが入っている」

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TGS2019のインディーゲームブースに、なんと『どこでもいっしょ』などの人気家庭用ゲームを作ってきたビサイドが完全オリジナルの新作『バレットブレイク』を展示していた。
ゲーム内容を伺ったところ、これがかなり面白そうで……現場にいらっしゃった南治一徳さん(ビサイド代表取締役)の方にお聞きしたところ、ゲーム機で作ってきたゲーム性、PS3からずっと運営ゲームをやってきた経験、そして物語……それが詰まったゲームになっていると語ってくれたので、その内容を皆さんにお伝えする。
南治一徳さん
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ビサイド代表取締役。
1996年、友人達とSCE(現SIE)のオーディション「ゲームやろうぜ!」に応募し合格。
1999年に『どこでもいっしょ』を企画&制作し大ヒット。その後、『どこいつシリーズ』を手掛け、PlayStation3 のローンチ時にはPS3をネットに繋ぐと無料で見られる配信番組『まいにちいっしょ』などを開発し6年半にわたり運営した。
近年ではプレイステーションVita版『拡散性ミリオンアーサー』、スマホ『魔法科高校の劣等生 LOST ZERO』などの運営・開発しており、現在は事前登録中の『トロとパズル』を手掛ける。

インタビュワー…ゲームキャスト、寺島壽久
nama
早速ですが『バレットブレイク』の概要を教えてください。

南治:
とつぜん未来から通信してきた自分の子孫を名乗る“ナユタ”に頼まれて、ゲーム世界を救うというお話のゲームです。
未来の世界ではバグーという情報生命体により、コンピューターゲームがなくなってしまっているんですよ。
ナユタが開発した“バレットブレイク”というゲームのようなシステムを使うとバグーを倒せるんですけど、未来ではバグーのせいでゲームが遊べないからバレットブレイクを使えない。
そこで、タイムマシンで過去にバレットブレイク を送りこみ、伝説のゲーマーであったプレイヤーがバレットブレイクでバグ―を倒すことになります。
ゲーム内には架空のゲームが次々と登場し、プレイヤーはそのゲームの世界に入ってバグーを退治していくわけです。世界に応じて次々とキャラクターが登場してくるので楽しみにしておいてください。
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▲ゲームのステージは、架空のゲームとして表現される。

nama
なるほど。

南治:
中でもバトルは一番こだわって作っていて、画面構成だけを見ると何かに似ているようにも見えるかもしれませんが、「他とまったく同じようなバトル内容はダメ、なにかうちのオリジナルと言えるようなものを作りましょう」という‘思いで制作しました。
そして、そのオリジナル要素を表すキーワードとして、バトルを“戦略型ひっぱりシューティング”と名付けています。
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▲奥からやってくる敵を迎撃し続けるディフェンスゲーム

nama
見た感じで言うと、奥行きがある3Dブロック崩し的なものに見えますが……。

南治:
画面奥からやってくる敵にたいして、キャラ(バレット)を引っ張って発射してぶつけて倒すんですけども、このゲームはリアルで敵が押し寄せ続ける“ディフェンスゲーム”なんです。
バレットは1回発射するとしばらく発射できなくなるので、限られた攻撃回数を有効に使うためにタイミングをはかったり、どの角度でバレットを打ち出すかなど、プレイヤーは戦略たててを楽しめます。

nama
なるほど、『にゃんこ大戦争』のようなディフェンスゲームを立体的にして、射撃で敵を迎撃するゲームに仕上げていると。

南治:
シンプルなんですけど、ひっぱりシューティングとラインディフェンスが組み合わさっており、ステージをどうやって攻略していこうかと考えてプレイして行く、ここがオリジナリティな要素になると考えました。

nama
とくに「ここだ!」というシステムなどありますか?

南治:
戦略をじっくり考えてもらえるように、ひっぱっている間はゲームの進行が止まるようにできています。
リアルタイムディフェンスゲームだけど、じっくり考えて遊べる。

また、イベントなども含めて、デッキ最適化を楽しめるように作っています。
キャラクターはガチャキャラを増やすために増やすのではなく、プレイヤーの選択肢を増やすために追加していくし「この組み合わせでうまくいった」という体験をして欲しいと思っています。
敵に合わせてデッキを組み替えて行くことで、さほど強くないキャラでも、十分戦えることを感じて欲しいですね。

nama
ゲーム内でレア度の高いキャラクターが強くてパーティーが固定されるとか、戦略の固定化・パーティー固定化などにはどう対処をされていますか?

南治:
レア度の低いキャラクターには“コスト”の低いキャラクターが多くいます。コストが低いキャラクターは能力が低めですが、デッキに参加しているキャラクターの合計コストが低いと、ステージに出撃する際に消費するスタミナが減ります。
そういった最適化も含めて、キャラクターに意味を持たせていきたいと思っています。
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▲コストによって、周回効率が変化する

nama
『拡散性ミリオンアーサー』でも採用されていたコスト制。
昔は「ひたすらキャラカード増やせ!」な世界だったので機能が限定されていましたが、キャラ数が減ってきた現代だからこそ、キャラ個性を出すために役立ちそうな仕組みですね。

南治:
さすがよく、ご存知ですね(笑)。
ちなみに『バレットブレイク』には初期40人のバレット(キャラクター)がいて、それぞれ役どころがあるので、その戦略を楽しんでいただきたいと思っています。
これまでに遊んだり、運営してきたソーシャルゲームで楽しかったことをきっちりプレイヤーに届けたいなと。

nama
コスト制だけでなく、過去のゲームの面白さを取り込むということですか。
具体的にはどのような楽しさを重視されているのでしょうか。

南治:
例えば、イベントでみんなで遊ぶ楽しさなどですね。
「みんなで走る」的なイベントはは古典的なものかもしれませんが、やっぱり面白いことだと思うんです。それを『バレットブレイク』 風に調整して楽しんでもらいたいと思っています。

nama
最近は1人用ゲームが流行ってきていますが、あえてそちらに振る、と。

南治:
やっぱり、みんなで一斉に遊ぶって楽しいじゃないですか。
そもそも、1人用ゲームが流行る前から、非同期だけど友達がヘルプを求めているとか、協力したとか、そういった感覚が伝わってくるゲーム自体がそんなにないかなって思っていました。
助けて、自分も助けられて、それが伝わる面白さを大事にしたい。ただ1人でイベントを走るのではなく、みんなで“走る“感覚は今に通じると思うんですよ。
あとはイベントを走るときに報酬設定が貧弱でやる気がしないとかありますよね。そうならないように、一緒に遊ぶ基礎部分もすごく大事にしたいと思っています。

nama
ゲームとしてはディフェンス+戦略性を楽しむものとなり、オンラインゲームとしては堅実さと“みんなで走る“を大事にする。
何となく見えてきました。
ところで、私は『バレットブレイク』の物語をすごく楽しみにしていまして……『トロ・ステーション』で「CEROに怒られる」ほどのギリギリを走るネタ性と言うか、ビサイドさんの勢いみたいなものが、今の時代にぴったりなんじゃないかと。
架空のゲーム世界を救うストーリーなので、ネタ全開なやつを期待しているのですが……!

南治:
基本ストーリーについては、そこまでネタに振っていないんですけれど、こだわっているところしては、「テクノロジーやゲームを悪者にしたくない」というところになりますね。AIが暴走して人間と戦う話とか多いじゃないですか。でもAIって本来、人類を幸せにして、ゲームを面白くしてくれる素敵な技術のはずだから、決して悪者にはしたくなかったんですよ。
僕がプログラマー出身だからかもしれませんが、テクノロジーは人を幸せにするものだという考えがあって、バレットブレイク のストーリーにもそう願いを込めているんです。

nama
私はギリギリを期待していたのですが……平和なビサイドなんですね。

南治:
とはいえ、暴走しないってことではなくて、チャレンジはしていて。
今の時代をとらえた物語を作るために、あるアニメプロデューサーさんに相談したら「今は狂気感だよ。狂気感がないと流行らないよ」と言われまして。

nama
イベント報酬で「クズ男がもらえる」と喜ばれたり、アプリの通知機能で怪文書が届いたり、主人公が幼女に面倒を見てもらっていたり……人気ゲームは狂気と紙一重なネタが入っていることがありますね。
それこそ、ビサイドさんのホームじゃないですか! (力説)

南治:
なはは。
うちは『どこでもいっしょ』みたいな、ほろりとくる王道の良い話も得意ですけど(笑)
そうですね、ボツネタで言うとサービス終了したソーシャルゲームが集まるサルガッソーのような場所があって、終了したゲームが戦って、勝利したゲームだけがサービスを再開できる物語とか。
僕が『Gガンダム』好きなので「俺がソシャゲ・ザ・ソシャゲだ!」って(笑)

nama
それ、すごくやりたい(笑)

南治:
あとは実在のゲームクリエイターの名言をどんどん出して、ゲームギョウカイのネタをたくさん盛り込むことも考えていました。
でも、実在のゲーム業界の皆さんを巻き込むのもどうかと思って、今のストーリーになりました。

nama
「今から俺を殴ってみろ」、「どんな判断や」とかですね。確かに、ネットスラングになったものは、発言した本人には良い思い出ではないかもしれないですね……。
でも、そのアイデアを捨てるなんてもったいない……。

南治:
ですよね(ニヤリとして)。
なのでメインストーリーでは暴走は控えめですけども、期間限定のイベントとか、限られた場所で許される範囲でちょっとはっちゃけることは考えています。
ディレクターは、『トロ・ステーション』も担当していた人間なのでそういったものは得意なはずですしね。
『バレットブレイク』のイベントに期待しておいてください(笑)

nama
なるほど、そっちですか。
確かに本編が王道物語で、イベントやキャラストーリーがヤバいゲームは多い。そっちですね……!

南治:
やっぱり、メインは誰もが入れる入り口の広い物語がいい。
今もメインストーリーにこっそりとゲームが好きな人にはわかるネタを仕込んでいるので、それを見つけて楽しんでください。

nama
ありがとうございます。
お話を聞いていて、ビサイドさんらしい誠実と言うか、地に足についたゲームの面白さ、運営、そして得意のテキスト作りを活かしたものになっているだろう、という期待感が出てきて『バレットブレイク』が楽しみになってきました。

南治:
そうですね、これまでビサイドが培ってきた経験と、面白いと信じるものが入っていて。
キャラクターと物語があって、今まで私たちが作ってきたゲームが好きな人に楽しんでもらえると思っています。
僕自身がレトロゲームネタが好きなので、そういったものも入れていきたいとか、いろいろ考えていて、ゲームが好きなプレイヤーが楽しめるものになると思いますので、ぜひ遊んでください!

nama
ありがとうございました。
リリースを楽しみにしています!

以上。
もともと楽しみにしていたゲームだったが、インタビューを通じて『バレットブレイク』制作の意図が明確になり、未来のイベントも楽しみなってきた。
ゲームは9月17日本日にサービス開始予定となっているので、興味を持っていただけたらぜひリリース後に遊んでみて欲しい。

アプリ:
バレットブレイク (無料 itunes / GooglePlay)

動画: