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日常にある穏やかな愛を描くドライブゲーム『Sunset Road』レビュー。倦怠期の恋人たちの会話から導かれる信頼の姿

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今日は午前3時に目が覚めてしまった。
外を見れば寂しく雨が降っていて、家の中はまだ肌寒い。
すごく空虚な気持ちでもないし、ゲーム的なスリルや劇的なものを求めているわけでもない。
しかし、暗くて静かな中で、心の隙間を埋める小さな暖かみを持つ“何か”が欲しくなる。
そういったとき、この『Sunset Road』を遊んでもらえるように、個人的なプレイ体験をここに記しておく。

『Sunset Road』は、雨上がりの夕暮れを走るドライブシミュレーターだ。
ただし、ここでシミュレートされるのは助手席に乗る恋人との会話で、車の操作は一切必要ない。
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私はドライバーの男になり、不機嫌な恋人にかける言葉を選ぶ。
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だが、彼女の対応はにべもない。
たんに車を運転したくて、無計画にドライブを始めたことに怒っているのだ。
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彼女の持つカメラで運転姿を撮ってくれと頼むが、「風景を撮っている方がマシ」と断られてしまう。
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とはいえ、その言葉もどこかわざとらしく、声をかければ返事は途切れない。
『Sunset Road』は、ひたすらにどこにでもありそうな、倦怠期のカップルの会話をシミュレートし続ける。
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ところが、車を降りたときその印象は一変する。
男はどこに行ってもカメラを奪い、彼女を写真におさめようとする。
彼女は止めるものの、実際にはおとなしく写真を撮られて、旅の思い出を残していく。
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「勝手に私のカメラを使わないでって。」
そう語っている彼女は間違いなくもまんざらでもないし、それを喜んでいる。
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会話の流れによって行き先は変化するが、写真を撮るたびに彼女が男を信頼していることがわかり、旅を楽しんでいることが伝わる。
写真を撮るたび、ドライブ中の退屈な会話が、長く連れ添った男への愛と信頼の裏返しのように感じられるのだ。
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そして、最後の目的地についたとき、私は少し悲しさを感じていた。
ゲーム中、私はカップルの会話を「単純に退屈なモノ」と処理してしまっていたが、何気ない言葉の裏には気持ちがあり、それを見過ごしていくつもの分岐を見逃していたことに気づかされたからだ。
思い起こせば、家族とか身近な人たちの退屈な会話を、最近はただ退屈に聞いていた気がする。自分自身の気持ちが荒れていたことを、ゲームに見透かされた気がした。

『Sunset Road』は、ともすればぞんざいに会話してしまう身近な人たちのことを思い出させてくれる。
1プレイたった10分。
何もない夜など、何か心に隙間を感じたらときに思い出して、衝動的に遊んで欲しい。

概要:
何気ない会話と、その裏にある気持ちを感じる短編アドベンチャー

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
単調な会話に隠された心の動き
穏やかな愛情を感じる写真

アプリDL:
Sunset Road (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:Ricky Ongkowidjojo(日本)
HP:https://twitter.com/GangGorillaGame?lang=ja
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ