物語でも、体験でも、最近の生活で“不思議”に没頭する体験が足りない。
そんな方に、『Vgnettes』というゲームをおすすめしたい。
“Vgnettes”とは小さな作品を指す言葉で、その名の通り小さな物体が次々と登場しては変形し、複雑につながり、1つの奇妙な世界を作りだすパズルゲームだ。
『Vgnettes』のプレイは、動画で見た方が圧倒的に理解しやすい。
なので、まずは下の動画を見て欲しい。
眺める角度を変えると、同じシルエットの異なる作品が姿を現わす不思議アプリ『Vignettes』。
— ゲームキャスト (@gamecast_blog) 2019年3月13日
出てくるものの取り留めもなさ、不思議さが千夜一夜物語とか、不思議の国のアリスのような世界観を感じる。https://t.co/vSz9SawjRT pic.twitter.com/lrHCXQY4mJ
プレイヤーの目の前には、何かしらの物体がある。
この物体をスライド操作で物体を回転させると……。
ある角度から見たところで、完全に凹凸のないシルエットのようになってしまう。
そして、このシルエットを回転すると……なんと、同じシルエットを持った別の物体が姿を現す。
このようにして、物体の持つ“特別な角度”を見つけ、用意されたすべての物体を探し出すパズルゲームが『Vignettes』だ。
単純に視点パズルとしても面白いのだが、本作の魅力はその“異世界感”にある。姿を変え、シルエットの中から物体が登場するのは手品のようであり、ゲーム的な規則性を感じない。
冷たい世界が見えたかと思えば、猫が顔を出し、そのあとに不気味な人形が包丁を突き刺されたりする。
次に何が姿を見せるかわからない。
▲詰まったときは画面下のボタンから変化マップを見れば変形させるべき物体はわかる。しかし、何が出てきても印象的。
そういった不思議に魅入られてゲームに没頭していると、次はこの世界なりにルールがあり、隠された要素があることに気づく。隠された要素にはゲーム進行に意味のあるもの、まったく意味のないものとあり、これまたデジタルゲーム的ではない。
普通のゲームであれば「意味ありげなのに、ゲーム的な意味はない」演出がうっとうしく感じることもあるが、『Vignettes』ではそれが“奇妙な世界”を強調していて、心地いい。
どこまでも無限に物体を探して、この世界に没頭したくなるのだ。
プレイヤーが物体を見つけると、それは手元にある“空白の絵”に描かれ、絵が埋められていく。
絵が完全に埋まると鍵が手に入り、すべての絵を完成させ、宝箱に鍵を差し込むのがプレイヤーの目的となるのだが……絵の完成がもったいなく感じるほど楽しかった。思い出してみると、『Vignettes』はパズルゲームではあるのだが、プレイ感覚は『不思議の国のアリス』とか『千夜一夜物語』とか、とりとめのないシーンが連続する物語に近かった気がする。
不思議を感じたい方はぜひプレイして欲しい。
概要:
物体を様々な角度からながめ、異なる物体に変形させるパズル。規則性がなさそうでルールがある世界を体験するのが楽しい
評価:8(かなり面白い)
おすすめポイント
視点を変えると次々登場する不可思議な物体
異世界の雰囲気を感じるのが楽しい
実は調べるとパズルになっている個所も
気になるポイント
短い時間でさっと遊ぶのではなく、ルールを感じる余裕が必要
アプリDL:
発売:Skeleton Business(フランス)
HP:http://snakebirdprimer.noumenongames.com/
レビュー時バージョン:1.2.1
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ
動画: