ネオンで彩られた街を、ニンジャになって駆け抜けるサイバーパンク・アクション。
それが『Slashrun』だ。
先に書いておくが、本作は“映像一点突破型”のゲームである。だから、やり込みとか、深いゲーム性とかには期待しない方がいい。
しかし、ネオンで彩られた街を孤独に走る映像に関してだけは手放しで褒められる。
フランスの Advenworks によって作られたサイバーパンク・シティの映像は素晴らしく、これを手元で見るためだけにダウンロードする価値があるのだ。
『Slashrun』は、ネオンの光あふれる電脳都市を走り抜けるゲームである。
タイトル画面をタッチするとカメラ視点が斜め後方に移り、主人公がひたすら夜の街を走る。
![slashrun-1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702015452.jpg)
ゲームとしてはジャンプ&スラッシュのランゲームになっており、障害物や穴があれば画面左タッチでジャンプ(ニンジャなので3段ジャンプまで可能)。
また、敵がいれば画面右側をスワイプすることで空間を越えて切り裂ける。敵にぶつかると即死なので、攻撃は非常に重要だ。
![slashrunrr-1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702003749.jpg)
とは言え、ゲームをくどくど説明してもこのゲームの魅力は伝わらない。
最大の魅力は街の映像だ。見て欲しい、スタート地点のビルを。
![slashrun-3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702054147.jpg)
背景の看板には「生活のための音楽」とか、意味が通じるが微妙な日本語が並ぶ。
実は本作は KickStarter で資金を得て作られており、資金提供者は看板を出す権利を得られた。ただし、制作者はニンジャ・サイバーパンクの美学を守るため(フランスのゲームなのに)日本語で看板を出す制約を設けていた。
そのため、ときおり漢字で記されたフランス人の墓が見つかったりもする。
![slashrunr-4](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702025955.jpg)
通路は無秩序に広がり、一定距離を進む旅に風景もカメラワークもめまぐるしく変化する。
![slashrunr-3](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702052457.jpg)
ただ変わらないのは、ビル街が美しいことだけ。
シンセミュージックをバックに、この空間を走り抜けることに格段の満足感がある。
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そして、ゲームが進むほどにニンジャの速度は上がり、背景も流れるように過ぎ去る。
![slashrun-10](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702075644.jpg)
これがまた美しく、1,500mを越えたあたりからトリップするような疾走感を味わえる。
主なミスの原因は操作ミスではなくて、背景に見とれての失敗になるだろう。
![slashrun-11](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702005448.jpg)
変幻自在のカメラワークの元、一級に美しい街を疾走することで大きな満足感が得られる。これが『Slashrun』の素晴らしさだ。
1回はこのゲームの街並みを駆け抜けてから死にたい。そんな幻想的なサイバーパンク体験を提供してくれる。これだけでこのゲームはダウンロードする価値がある。
![slashrun-7](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702102944.jpg)
一方で、勘の良い方は気づいていると思うのだが……高速で走るランアクションで、変幻自在にカメラを切り替えられたらゲームとしては事故死が頻発する。
ステージはランダム生成だがお世辞にも構成は良いと言えず、地形と判別がつきづらい敵もいるし、主人公の動きも野暮ったい(背景を見ていれば気にならない)。
また、まれに絶壁があって攻略できない道すら生成される。
ストーリーはあってもそれが解決されることもないし、ゲーム中にためたクリスタルで購入できる装備も大半がダサい。
![slashrun-5](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702033608.jpg)
衣装も剣もダサいが、極めつけは軌跡。なにが悲しくてハートや星形の軌跡でこの街を駆け抜けなければならないのか……まあ、初期装備か数少ないまともなヤツをつければいいのだが、やり込み甲斐がない。
![slashrun-4](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/iPhonegamer/20230702/20230702103625.jpg)
とは言え、本作は決してクソゲーではない。
細部が(おそらく予算の都合で)間に合わせになっているだけで、メインディッシュは健在なのだ。
本作において最重要であるサイバーパンク世界を疾走する体験については力を注ぎ、他のゲームでお目にかかれないほど見栄えする映像を作りだしている。
スクリーンショットを見て魅力を感じたなら、ぜひダウンロードするべきだ。動いている街は、止め絵の何倍もあなたを魅了するだろう。
ゲーム部分が薄くて15分で飽きるとしても、サイバーパンク・シティを観光する体験はそれ以上に濃い。
実際、私はこの街に魅了されて、毎週末1回は起動する常連観光客になってしまっている。
概要:
ネオンに彩られた街をニンジャになって疾走するアクション。映像だけで楽しめる
評価:6(面白い)
おすすめポイント
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気になるポイント
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アプリDL:
Slashrun (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
開発:Advenworks(フランス)
HP:http://advenworks.com/slashrun/
レビュー時バージョン:1.1
課金:広告削除(360円)
ライター:ゲームキャスト トシ
動画: