どんな舞台にも立てるという”トップスタァ”の地位を目指し、地下劇場で競う”舞台少女”たちを描いたミュージカル原作のメディアミックスプロジェクト『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』。
そのゲーム版が『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』である。
ゲームのつくりとしては、パーティーをひたすら強化して他のプレイヤーと対戦する『プリンセスコネクト:ReDive!(プリコネ)』系の作品が近い。
ただ、そこに独自の良い工夫が光り、同時にそれを台無しにする課金システムが同居している。
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』は、ガチャで舞台少女を手に入れて、5人パーティーを編成して他のプレイヤーのパーティーと戦い、トップスタァを目指すRPGだ。
ストーリーはアニメのその後が描かれており、原作キャラクターはもちろん、ゲーム独自のキャラクターも少し登場する。
RPGとしての特徴は、まず、すべてのキャラクターがどれも最高レア度まで育ち、育てばレア度に応じた能力を得られるところにある。
育成方法にはレベルアップ、ランクアップ、レア度アップの3種類がある。
レベルアップは、単純に経験値を貯めてのキャラクターレベルアップ。
次に、クエストでドロップするアイテムを使ってのランクアップ。これはスキル能力なども上がる。最後に、才能の欠片を使ったレア度アップ。レア度が上がると能力が底上げされるだけでなく、最大レベルも上昇する。
キャラクターレベルアップは比較的簡単に終わるが、ランクはこまめにスタミナを消費して、クエストを何度もプレイすることで上がっていく。
レア度アップについては、1日に5回、好きなキャラクターのレア度上昇アイテム“才能の欠片”を入手できるイベントに挑戦できるので、主にこれを利用してあげていく。
▲運が悪くても1カ月に1キャラ程度は最高レア度まで上げられるつくりで、一度手に入れてしまえば最強まで育てるのは難しくない。
短期的にはレベルアップで急速に育つことを楽しみ、ランクアップとレア度アップは毎日のプレイで強くなることを楽しむ。
これは『プリコネ』系RPG共通の特徴だが、本作はそれだけでは終わらない。
『スタリラ』のために作られた、独自のターン制バトルシステムが面白いのだ。
戦闘は最大5vs5のパーティーバトルで、プレイヤーには、毎ターンキャラクターと1~3の数字が描かれたパネルが5枚配られる。
プレイヤーは数字合計が6点になるまでパネルを選択できる。
3点のパネルを2枚選んでもいいし、2点のパネルを3枚でも、2点と3点と1点のパネルを選んでもいい。選択後に行動が始まり、各キャラクターがパネルの数字に応じた攻撃を実行する。
敵も同じようにパネルを選び、バトル中はプレイヤーがこれまで使用したパネル点数と、今から行動しようとしているパネルの点数を合算し、より低い側が先に行動する(同じ場合はスピードが高い側優先)。
この「順番に解決される」がとても戦術上重要で、敵のHPが残り少ないときは1点のパネルで先制攻撃して動きを封じるとか、自キャラのHPが少ないときは先に行動できるように配置するとか、そういった駆け引きが生まれる。
また、各キャラクターはダメージを受けたりするとクライマックスゲージが上昇し、1人でもゲージが満タンになるとクライマックスに突入して歌が流れ、2ターンの間パーティーが強化される。
また、ゲージが満タンのキャラクターは1回だけ超必殺技”クライマックスアクト”が使用可能となる。
さらに、2人以上のキャラクターがクライマックスに突入した状態で2ターンが経過すると、部隊に花道が敷かれて超必殺技”フィニッシュアクト”が炸裂する。これは超強力で、出たら試合が決まりかねない力を持つ。まさにフィニッシュ。
で、これらのシステムがプレイヤーに選択の幅を生んでいる。
わかりやすいところでは、行動順番。
例えば、クライマックスアクトは2点のパネルとして配られる。しかし、ダメージを受けて倒れかけているキャラクターなら1点のパネルで攻撃すれば、クライマックスアクト発生前に攻撃を叩き込んで倒せる。
また、パネルを選ばずに攻撃回数を少なくして敵ゲージをコントロールし(最大まで点数を消費する必要はない)たり、回復や防御で調整したりする作戦もある。
運要素も大きいが、プレイヤーの工夫も影響する仕組みは面白い。
シンプルで短時間に終わるバトルシステムなのに、戦術もほどよく練りこまれており、メインとなるリアルタイム対戦のPvP戦闘はテンポよく楽しめた。
3Dキャラクターの動きも良いし、バトルのつくりには素直に感心した。
通常ステージ攻略時はオート可、2倍速設定もあって快適だ。
さらに、1度完全クリアしたクエストはスタミナ消費だけ(スキップチケット)で爆速周回できるため、少しぐらい対人戦で時間がかかってもプレイ時のストレスはとても低い。
ゲーム全体のテンポも良くて、毎日プレイしてもほぼ負担なし。
これだけを見ると非常に素晴らしいように見えるのだが……『スタリラ』はその面白さを課金によって大きくつぶしている。
この手のRPGの基本は、プレイするほどにテンポよく強くなることが快感で、理想のパーティーを思い描くと、スタミナを消費するだけで毎日それに近づいていくことが楽しいのだ。
多くの日本のゲームと違って「ガチャから最高レアが当たらなくても希望がある」ところが魅力だ。
ところが、エイチームはここに日本的な「ガチャをしてレアキャラを育てないと強くなれない」構造を取り入れてしまった。
『プリコネ』系RPGには、簡単に手に入る低レアでもかなり強いキャラクターが多く存在する。それがあるから、無課金・低課金プレイヤーも「育てれば強くなるからいいか」と希望を持ってプレイできる。
しかし、『スタリラ』ではレア度が高いキャラは”コスト”(パーティーの総コストが限界コスト以下でなければいけない)が高い代わりに明らかに強く設定されている。リリース間もないので断言はできないが、見え方として「ガチャが命」に見えてしまう。
▲バトルで勝てないと露骨にガチャに誘導される。しかし、ガチャは本当に重要だ。
6属性の強弱も凶悪だ。PvPではパーティー構成が重要になるが、そのときどきで強くて流行るキャラに対して、属性的に相性が悪いと盾役が即座に倒れるのは目に見えている。
で、代役を育てようにも全てのキャラクターはガチャから排出され、その排出率はかなり低い。★4が手に入らないならと代用キャラクターを手に入れたくても、★3すら簡単にそろわない。
希望がない。プレイして進むほどにこれを思い知る。
▲ガチャから★3キャラがが排出される可能性が3.6%。★4のメモワール(装備)より低い。
面白いバトルシステムを用意したが、その戦術の前提が揃わない。中華系RPGは前提が揃うが時間はかかる。この差はでかすぎる。
ある程度以上の課金は長くやろうと思ったら必要になるし、課金しても流行に手持ちキャラの属性が合わなければ対人が厳しくなり、都度課金できなければ限界が見えるだろう。
イベントに特攻キャラクターなども用意したうえで難易度も高めに設定されており、無課金だとつらいが、課金を前提とすれば楽しめるゲームになってしまっている。
ガチャ確率表記も、イベントの難易度設定も「お金ください」な作りで、批判されてから慌てて修正し、全力で課金ゲーにする姿勢が透けて見えるのもマイナス。
ただ、前述したように良いところは多くあるし、何かミスがあるたびに修正するフットワークの軽さもあるようなので、今後にゲームが大きく修正されることを期待したい。
概要:
意欲的なシステムを搭載しているが、そのシステムを楽しむために長いプレイか課金が必要なRPG。数千円は課金する覚悟があれば評価7相当。
評価:6(面白い)
おすすめポイント
負荷が軽くテンポの良いゲーム
駆け引きのあるバトルシステム
問題に素早く対応するフットワーク
気になるポイント
バトルシステムを味わうことがつらいほどキャラが手に入りづらい
特効を含め、都度の課金を促すサイクル
アプリDL:
開発:エイチーム(日本)
販売:ブシモ(日本)
HP:https://revuestarlight.bushimo.jp/
レビュー時バージョン:1.0.1
課金:ガチャ、育成アイテムパックなど
ライター:ゲームキャスト トシ
動画: