ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

作者の根底に、ポケモンがあるから作れたカードゲーム『ReRotation』レビュー。ポケモンのローテーションバトルをもう1度…

rero-13
3体のポケモンと1体の控えを交代させながら戦う対戦形式"ローテーションバトル”。
このローテーションバトルが好きな開発者アズマゴローさんが、『ポケットモンスターX・Y』を最後に廃止されたことを嘆き、『シャドウバース』などのカードゲームと融合させて作った1人用カードゲームが『ReRotation』だ。
と言っても、本作は単なる真似だけのゲームではない。システムはよりロジカルになり、運と計算の要素が付加された新作なのだ。だから、ポケモンとは遠いゲームになるかと思ったが……意外にも、プレイして感じたのは予想以上のポケモンへの愛だった。


本作は4体のキャラクターでチームを作り、全50階層の塔に待ち受ける敵と戦う1人用のカードバトルRPGだ。
rerorcccrc-1

プレイヤーは塔に挑む前に、4体のうち3体のキャラクターを先行としてセットし、残り1体を控えとしてパーティーを組む。
各キャラクターには属性、HP、スピード、特性、そして4枚のスキルが設定されている。基本的にはレア度の高いキャラクターが強いが、相性が多少の能力差をひっくり返すため敵に合わせた設定が最も大事になる。
rero-7

そして塔に挑むと各フロアには敵が待ち構えており、バトルが始まる。
バトル開始時、まず各キャラクターの持っているスキルから合計6枚が手札として配られる。いらない手札は1回まで選んで交換可能。スキルカードが3キャラクター×4枚で合計で12枚なので、全部交換すれば必ず残ったカードが手札になる。
rerorc-1

敵とプレイヤーは毎ターン1枚、使用するスキルを決定する。スキルの効果はカードをタッチすると表示されるだけでなく、ダメージを与えるカードなら予想されるダメージ(相性や特殊効果によるダメージ増加も含む)も見える。
オリジナルの『ポケモン』のローテーションバトルではHPがゲージで曖昧にしか表示されなかったが、『ReRotation』ではカードゲームのロジカルさを重視しており、誰もが駆け引きに集中できる作りとなっている。
rerorc-2
▲使う前から想定ダメージが見える。

プレイヤーと敵が使用スキルを決めると隊列がローテーションし、スキルを使用するキャラクターが前列に移動する。
rerorc-3

その後、前列のキャラクターのスピード値を比べ、数値が高い方が先攻になってスキルを使用する。
スキル使用後、後攻が行動できる状態であれば後攻がスキルを使用し、1ターンが終わる。
キャラクターが倒れると1回分のスキルが無駄になってしまうので、スピード値の計算は非常に重要となる。
rerorcc-1

なお、スピードが同じ値の場合は“同速勝負”となり、HPが0になっても倒れる前にスキルを使うことができる。この状況では相打ちも多く発生する。
rero-1

で、これを繰り返して相手のキャラクターをすべて倒せば勝利となり、自陣のキャラクターがすべて倒れれば敗北となる。『ReRotation』は、そうして全50階層の塔を制覇する1人用のカードゲームとなっている。
rero-10

本作を遊んで感じたのは、まず「思ったよりも面白い」と言うことだった。
属性や順番を意識したバトルは、対戦相手が人間だから楽しいと思っていた。CPUの思考なんて読みようがないし、面白くなりづらいのではないか……と、不安に思っていたのだ。
しかし、『ReRotation』を実際に遊んでみるとCPUより少ない戦力で、スピードと手札の残り状況を計算して「勝率の高い戦術を探して戦う」計算バトルになっていて、1人用の遊び方を重視して完成されていた。
企業製品と比べれば劣っても、個人開発としては十分すぎる画面もまたゲームを盛り上げる。
rero-14

そして、進めるうちに感じる『ポケモン』へのリスペクトもまたゲームをよくしていた。作者はローテーションバトルをカードゲームとして取り入れただけでなく、『ポケモン』のゲームサイクルも『ReRotation』に封じ込めていたのだ。
ゲーム中は時間と共にたまるジェムでランダムにカードを購入することもできるが、敵のモンスターを弱らせて“スカウトカード”で捕獲することもできる。だから、基本プレイとしては「ゲームを進める」→「レア度の高いキャラクターと遭遇するまで戦う」→「捕獲して使い、強敵を倒す」という流れになる。

reror-1
▲分かりづらいけど、捕獲中。ゲーム中に主人公アイコンをタッチしてカードを使うと、戦闘のキャラクターを一定確率で捕獲できる。

バトルに勝ち、キャラクターを入手してパーティーを強化して進む流れはまさに『ポケモン』的。
キャラクターにランダムで与えられるスキルを変更する“リロール”という機能もあり、好みのスキルを持ったキャラクターを厳選する仕組みもそうだ。
ローテーションバトルで戦いながら、厳選したキャラクターを集めるゲームこそ、作者にとっての『ポケモン』だったのだろうな、と推測される。そういったゲーム観が根底にあって、きっちり作られているので面白いのだ。

ただ、気になる点もまたあった。キャラクターの入手がランダムになるため、運が悪いとなかなかボスに有利な属性のキャラクターが手に入らず、ゲームが止まるのだ。
私の場合は炎属性のキャラクターがなかなか出なかった(捕獲もできなかった)ため、かなり長い足止めをうけることになった。
rerorcccr-1
▲火属性のキャラクターが、出ない!

一応、これに関しては解決方法が2つある。1つは時間経過で入手できるゲーム内通貨を、3倍速で手に入る120円の課金してカードを増やして戦う方法。ダブったカードは合成だ。もう1つはスターターパック(360円)を購入し、3倍速でバトルする方法。捕獲すべきキャラクターとの遭遇率も上がるし、勝利すればちょっとしたご褒美も入るのでアグレッシブにやりたければこれでOK。
ただ、根本的な解決にはならないので、複数の塔があって、プレイヤーに合った場所を攻略していくような仕組みは欲しかったように思う。
rerorccc-1
▲宝箱の待ち時間と鍵の課金はテンポを下げつつ2重課金になっていて良くないが、概ね納得できる課金。

とは言え、基盤となるバトルがしっかりしていて、成長の仕組みも少し偏っているが整っており、現在でも単に「愛があって真似てしまった」作品以上のものにはなっている。
1人用のカードゲームを黙々と遊びたいなら、試して良い作品だと思う。一方で、基礎となるバトルシステムに力を注いでしまったあまり、周辺の遊びが寂しくなっているのがもったいない。
今後のアップデートで、このあたりが改善されることを切に願いたい。


評価:6(面白い)

ゲーム概要
ポケモンのローテーションバトルをアレンジし、1人用のカードRPGに仕立てたゲーム

おすすめポイント
戦術性の高いバトル
意外にフレーバーテキストが楽しい

注意点
ゲームを進める報酬が少ない。
詰まるとなかなか進まない

アプリリンク:
ReRotation (itunes 無料 / GooglePlay)

開発:アズマゴロー(日本)
レビュー時バージョン:1.1
課金:便利機能開放(360円+α)、ゲーム内通貨
公式ページ:https://sites.google.com/site/roappgame/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: