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闇の迷宮を脱出するパズルアクション『FRACTER』レビュー。金属、水面、鏡…すべてが黒く美しい世界

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暗く美しい闇の迷宮を、黒を基調とした映像で表現するアクションパズルが登場した。
単純なゲームとして普通に楽しめるだけでなく、その環境は最高の一言。
黒を基調とした映像、質感まで伝わる環境音、闇の迷宮の表現をただ楽しめば良い。『FRACTER』はそういうゲームだ。

本作の主人公は、闇の迷宮に迷い込んだ少女。
少女が鏡を覗き込んだ瞬間に光があふれ、少女の中の光と影が闇の迷宮に散らばってしまう。本作は自らの中の光を探しつつ、詩的な文章に導かれて迷宮の出口を目指す作品だ。
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ゲームシステム面で見ると、本作には2つの側面がある。1つは簡易なスニークアクションとしての側面。迷宮には意識を失って怪物と化した少女の影がうろついていて、少女を見ると高速で襲い掛かってくる。
影のいる場所では、障害物に隠れて移動するプレイが求められる。
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▲バーチャルスティックの移動操作のみ。オプションでどこにでも出るスティックに変更すると遊びやすい。

もう1つは、パズルゲームとしての側面。光を放つ柱を回転させてスイッチにエネルギーを供給したり、物体を押して動かしたりする古典的なパズルの要素だ。
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正直に言えば個々の要素は凡庸だが、スニークアクションとパズルの要素が別々に、あるいは同時にやってきてゲームにメリハリがあり、クリアまで飽きることはないだろう。
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▲影は光を通過できず、光に触れると消えてしまう。これを利用して撃退するシーンもある。

とはいえ、スニークアクションもパズルも『FRACTER』にとってはおまけのようなもので、本作のすばらしさはやはりその「雰囲気」にある。
本作は他に類を見ないほど黒を前面に押し出したゲームになっており、黒光りする硬質な金属の質感、黒だけで表現される水面の美しさとが織りなす緊張感と雰囲気は極上。
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金属の床を踏む足音、不気味なうめき声、ピアノと弦楽器によるBGMなどの音は位置感まで作りこまれており、ヘッドホンで遊ぶと素晴らしい臨場感を得られる。
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▲『Starman: Tale of Light』のようなモノクログラフィックであるが、本作の雰囲気は大きく異なる。

特に迷宮内に隠れている“少女の光”は印象的な場所にいることは多く、迷宮内で(基本的には迷宮は一本道で迷わないが、少女の光だけは隠されている)見つけたときは軽い感動がある。
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一方、素晴らしい環境を提供しつつも、あっさりしたエンディングと感動の山がない作りだけは残念で、全体を通した盛り上げがあればもっともっと評価を上げていたと思う。
とはいえ、ゲームは通して1時間強でプレイでき、クリアまでの間ずっと闇の迷宮は魅力的な場所であり続ける。全体的に環境面は素晴らしいことは保証するので、雰囲気ゲームが好きならプレイして欲しい。

評価:6(面白い)

ゲーム概要
黒く美しい闇の迷宮を進むパズルスニークアクション

おすすめポイント
黒を前面に押し出したグラフィック
素晴らしい環境音

注意点
ゲームの仕組みは普通(飽きることはない)
美しい迷宮は素晴らしいが、感動の山がない

アプリリンク:
FRACTER (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:4L GAMES(カナダ)
レビュー時バージョン:1.0
課金:無料
公式ページ:https://www.fractergame.com/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: