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藤崎詩織ではなく、虹野沙希。華はなくても付き合えば魅力にハマる音ゲー『ときめきアイドル』レビュー

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『ときめきアイドル』は学園アイドルを育成し、ファンを増やしてライブの最高峰”メロディアスライブ”の頂点を目指す“学園アイドルコミュニケーションゲーム”である。
最初は一世を風靡した恋愛ゲーム『ときめきメモリアル』のシリーズなのだが、出てきたものは学園・アイドル・リズムゲーム。既視感の強くて華がない。
そのためか事前登録も目標に届かずに終わったが……プレイしてみるとこれが良いところ盛沢山。
メインヒロインのような華はないが、攻略してみるとすごくいいサブヒロイン。そんな言葉がぴったりのゲームであった。

このゲームの第一印象は悪かった。
コナミ往年のヒット作『ときめきメモリアル』に連なる『ときめきシリーズ』とされるが、過去の人気シリーズ復活のわりに引きが全然ない。いや、3Dキャラクターのクオリティが高くて、衣装をどんどん変えて撮影できるのは楽しいのだが……。
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ゲームが進めば「さげすんで!」などとマニアックな指示も可能。

“学園”と“アイドル”という設定が決定的に良くない。
同じジャンルで『ラブライブ!』という大ヒットがあるうえ、せっかく魅力的な3Dキャラクターを揃えているのに、そのタッチも『ラブライブ!』ライクのため二番煎じ感がとても強くなってしまっている。
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リズムゲーム部分を見てみると“上から落ちてくるノーツが、キャラクター顔をあしらった円と重なったときにタッチする”系のオーソドックスなもの。
判定が甘くてプレイしやすいのが特徴だが、可もなく不可もない出来である。
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しかも、肝心のステージ演出が並みレベル。現在人気を誇る『デレステ』や『ミリシタ』がMVを見ているかのような演出を楽しめるのに対して、本作は女の子5人が普通に踊っている普通のライブ。
魅力はそれなりにあるが、厳しいことを言えば何度もライブシーンを見返したり、ネットに共有したいと思うほどの華はない。
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また、通常ライブをプレイしてエネルギーを貯めると15人のアイドルが同時に登場する“メロディアスライブ”に挑めるが、これもまたカメラワークが遠く、いまいち迫力がない。
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▲メロディアスライブはオートプレイで進み、アイドルたちのコンディションと能力に応じて成績が決まる。通常ライブと比べて大量にファンを獲得できるボーナスゲーム。

全体的に並み以上の作りはあるが、後発ゲームにしてはヒット作に迫る強力な武器がない。
せめてアイドルと付き合って、放置したアイドルに悪い噂を流される爆弾処理アイドルゲームとか、ときめもらしい独自の引きを作れなかったのか。
それが『ときめきアイドル』の第一印象だった。

ところが、しばらく遊んでみると居心地が良くて、今はちょっとハマってしまっている。
繰り返しのプレイする負担がとても低くて、いいところだけつまんで遊べるのだ。
まず、ロードやメニュー切り替えが超速。ソシャゲトップクラスの快適さ。
また、1度クリアした曲はスタミナを支払えばオートプレイでクリア可能。イベントや経験値集めのために「絶対クリアできる曲」を何度もやるのは苦痛だったので、本当にうれしい。この機能は全ての基本無料音ゲーに入れていただきたいと思った。
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▲おまかせライブ中(オート)。過去のプレイヤーのプレイに応じたスコアが出るのも良い。

また、多くのリズムゲームでは、曲の難易度ごとにミッションが用意されていて、リズムゲーム慣れしたプレイヤーでもイージー曲をノルマとしてこなす必要があった。
しかし、『ときめきアイドル』では全難易度共通ミッションなので好きな難易度で曲を遊べるのもうれしい。
ミッションの内容は簡単なものをクリアするとより難しいミッションが出現する形式なのでリズムゲーム慣れしていないプレイヤーは順を追って攻略していける。
とにかくストレスなくプレイできる配慮。ほんとうに居心地がいい。
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それに助けられてプレイを続けると、コミュニケーションのセリフやバリエーションが豊富で、少しずつ仲を深めていく描写が良いことにも気づいた。
そういえば、コナミも“リズムゲーム”ではなく、“学園アイドルコミュニケーションゲーム”と呼んでいたし、まさに学園アイドルと仲良くなっていく過程を描くことに力がそそがれている。
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▲下校イベントなど『ときめきメモリアル』らしい交流ネタも。仲が深まっていないと無視される。

さらに、ロビーの良さも素晴らしい。
ゲームのメインメニュー画面は学園のロビーで、ここはフル3Dで作られていて自由に見まわせる。ほかのアイドルゲームにない“本当にアイドルがいる空間”感が良い。
さらに、ここもロードが早めでストレスが低い。
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このロビーは、ハコスコなどの機器を使ってのVRモードで真価を発揮する。
単に周囲を見回すのも楽しいのだが……ときおり学園内にネコがいて、このネコを発見するとネコ視点で学園内を見られるのだ。
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▲ネコは動かないけど、ネコ視点は新鮮。あとルンバもまれに登場するが、ルンバ視点はないようだ……。

ネコになると、アイドルたちがネコを撫でるために迫ってくる様子を眺めたり、隣に座って本を読む様子を眺めたりと、普段とは異なる角度からアイドルたちを見られる。
羨ましい角度が多すぎてネコになりたい……いや、VRでネコになっているんだけど。
まあ、とにかくギャルゲー的な意味でロビーは良くできていて、「これでデレステの次の大型アップデートの内容は決まったな!」と思えるほどの出来だった(※デレステは他のゲームの良い点をどん欲に取り入れることで有名)。
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▲ネコを撫でるためにすっごい迫ってくるアイドル。

ゲームが好きになってくると、ちょいちょい挟まれるコナミネタにも気づくようになってきた。
たとえば、待合室でモニターに映るグラディウスのプレイ風景。
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ゲーマーアイドルに「パズルゲームしよう」と語り掛ければ、「どのぱずるだまで勝負する?」と聞かれる。
世の中に『Dr.マリオ』や『テトリス』などたくさんパズルゲームがある中で『ぱずるだま』しか選択できない。しかも、『ぱずるだま』シリーズの派生作品は選べるのかよ!
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▲ぱずるだまとは、同じゲームシステムでキャラクターを変え、使いまわされた対戦ゲーム。

オリジナル曲だけでなくツインビーから『Twin memories W』、ときめきメモリアルから『二人の時 Side SR』、なぜか『究極戦隊ダダンダーン』など、ときメモ世代を狙ったカバー曲も。
いつでも、どこでも油断するとコナミネタを差しはさんでくる。いい。

こんな感じで、遊んでいるとだんだんと魅力がわかるゲームが『ときめきアイドル』だ。
恋愛ゲームで言うとパッケージを飾るほど華を持たされているわけではないが、寄り道と思って攻略してみると意外に良くてハマってしまうサブヒロイン……。
ときメモ風に言えば、パッケージで中央に位置する幼馴染の完璧ヒロイン藤崎詩織が『デレステ』。
一方、なんの前情報もなく「パッケージ絵の藤崎詩織がメインなんだな」と思ってゲームをプレイし、話して初めて魅力がわかる性格の良いヒロイン虹野沙希が『ときめきアイドル』。
『ときめきアイドル』にはそんな魅力がある。
(※過去のヒロインをけなしているのではなくあくまで私が前情報なしに出会ったときの経験であり、納得できなければ別の事象に置き換えて読んでもらってかまわない)
快適な音ゲーを探している方には特におすすめだ。

評価:6(面白い)

おすすめポイント

魅力的な3DキャラクターをVRで見られる
懐かしのコナミネタ
ロード速度・システムがとにかく快適

気になるポイント
ダンスにいまいち魅力が足りない
見た目に二番煎じ感が強い

アプリリンク:
ときめきアイドル (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:コナミ(日本)
レビュー時バージョン:1.0.1
課金:スタミナ回復、キャラクターガチャ
公式ページ:https://www.konami.com/games/tokimeki-idol/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: