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塗りつぶし陣取り+引っ張りバトル『グラフィティスマッシュ』。流行り物を掛け合わせたら…そこに面白い対戦ゲームがあった

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『スプラトゥーン』のような塗り合いによる陣取り合戦と、『モンスト』のような引っ張りバトルを融合した新しいゲームがバンダイナムコから登場した。
「モンストとスプラトゥーンっぽいものをオシャレに混ぜたらうけるんじゃね?」
という雰囲気に見える本作だが、やってみると塗り合いを軸とした読み合いの戦術が成立しており、後半に進むほどにモンストとの差異が目立つ。
流行の要素をうまく調理して、面白い対戦ゲームに仕上げたのが『グラフィティスマッシュ』である。

『グラフィティスマッシュ』は、4人のキャラクターでチームを組んで、引っ張り操作でキャラクターを射出し、体当たりで戦う『モンスト』系バトルゲームだ。
キャラクターは今風のビジュアルで、e-mote(LIVE2Dのライバル製品)を利用して2Dキャラクターが動いており、初期ヒロインのスカートのひらひらなどが目を引く。
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▲個人的には、胸揺れよりも服がヒラヒラしたりしていた方が目を引くと思う。

バトルまでの手順はほぼモンストそのまま。スタミナを消費して(もしくは他のプレイヤーのマルチ募集に応じて)ステージに挑み、ターン制の引っ張りバトルが端亜mる。
1手ごとに敵のカウントが進んでカウントがゼロになると反撃を受けるところ、攻撃中に仲間に接触するとリンクコンボが発生したり、一定のターン数が経過するとスキルを使えるところなど、基本はモンストを踏襲している。
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しかし、プレイの肝はステージの「塗りあい」であり、モンストとは大きく異なる。
本作のステージはキャンバスになっていて、キャラクターが移動した跡はインクで塗られていく。
自軍のインクでフィールドを塗りつぶした割合がそのままダメージボーナスに加算され、最大で200%の攻撃力で戦える。
さらに、行動開始時に足下が自軍のインクで塗られたキャラクターは、装備しているウェポンが効果を発揮する。
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▲わかりづらいけど、剣を振り回したりしてる。

逆に敵の攻撃によってフィールドが塗りつぶされるとプレイヤー側の移動力が落ちてしまい、バトルの効率がどんどん下がっていく。
敵が広くフィールドを塗るほどに移動力が下がり、移動力の低下が塗る範囲の低下を招くため、画面をぬれないと泥沼にはまっていく。
このため、次に行動するプレイヤーの足下を塗るのか、リンクコンボでダメージ最大化狙うのか、はたまた塗りつぶしてダメージの増加と長期的な優位を狙うのか。そんな駆け引きがある。

また、画面のどこかには“グラフィティ”と呼ばれる絵が隠されており、この絵がある位置をプレイヤー側のインクで塗りつぶすと必殺技も使える。
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で、ここまでは「まあ、2017年に出たゲームだからモンストよりも派手で、改良点があって当然」という話なのだが……本作にはプレイヤーが対戦する機能もあり、これがまた面白いのだ。
対戦モードではプレイヤーと敵、両方が同時に行動する。敵と味方の双方が引っ張り終えると行動が始まり、ステージの上を派手に跳ねるのだ。
このとき、相手の進路を予想してぶつけにいく駆け引きが新たに生まれている。

長期的なバトルをにらんだ塗りあいの駆け引きも熱い。先ほど書いたとおり、広い面積を塗ればダメージが最大200%まで上昇する。マップ上に出たアイテムを確保したり、リンクコンボを発生させれば1ターンは優位を作れる。
だが、長期的には広い面積を確保した方が優位に立つ。このせめぎ合いが熱い。
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『グラフィティスマッシュ』は、モンストと異なる軸の楽しみ方を提供しているし、対戦ではそれがより顕著に出ている。
演出も2017年相応に派手だし、短期的に見れば面白い。

本作の課題は、まずゲーム内容よりも広報にある。
引っ張りバトルは『モンスト』以前から存在していてが、今すでに『モンスト』が流行りきったプレイヤーはモンスト系ゲームに飽きている。しかし、本作は相応にやり込んで塗りの知識を学び、対戦まで行き着かなければ真の差異を見られない。
触る前から、もしくは序盤だけで「またモンスト系か」と思って止めてしまうプレイヤーも多いことだろう。
そこを覆すだけのインパクトがないのも事実で、いかに面白さを理解してもらうのかがゲームの課題になりそうだ。

プレイ面に目を向けると、現在のところキャラクターの進化、潜在能力の解放(アイテムを集めてボードに示される能力の封印を解く)、武器集めと強化に手一杯で、それを目的に楽しむことができる。
1回キャラクターを手にれれば何体も集めてラック100にする手間もないし、最初の★4キャラは無料で最高レアの★5進化素材が与えられる仕組みもあり、「マルチに行きたいのに弱いキャラクターしかいない問題」にも対処されている。
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『モンスト』と比べるまでもなく、日本のゲームの中でもユーザーフレンドリーな設計にもなっている。
とりあえず入り口は楽しい。高難易度ダンジョンもいい感じに育成の成果を出せる仕組みになっている。
良いキャラクターを育てきったあとの使い分けをどうするのか、そこをきっちり見せることができればしばらくは続きそうだ。
配信日の2017年10月27日現在、ゲーム内容とは関係ない正式サービス時のごたごたでAppStoreのレビューが荒れてしまっているが、頑張って運営して欲しいと思う。

アプリリンク:
グラフィティスマッシュ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)