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グンマーから生還せよ。『群馬ファンタジーTRPG』サバイバル日記

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「群馬、その呪われし地から生きて抜け出した者はいない」
ネットで未開の地としてネタ扱いされていたグンマー(群馬であって群馬でない)と、クトゥルフ神話を掛け合わせたアドベンチャーRPGが『群馬ファンタジーTRPG』だ。
クトゥルフ+グンマー。どんなネタゲーかと思ってプレイしてみると無茶苦茶面白い。
ネタ部分が笑えるもちろんだが、システム面でも人気RPG『異世界の闇の中へ』を踏襲していてハマる。
どんなゲームなのか、生存者の日記風に書いてみたので参考にしてほしい。

飛行機が群馬に墜落した。一緒にいた男の言葉を借りると「大地に吸い寄せられたように」。
乗客に一切の怪我がなく、招き入れられたかのように不時着したことを考えるとこの表現も大げさではないだろう。
群馬から生きて帰ったものはいない。一緒にのっていた乗客は皆、絶望していた。

「僕ら一般人は この群馬では あまりに無力だ!」
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群馬に墜落したショックで狂気に陥った男もいた。かわいそうに。しかし、これが群馬なのだ。
「ウケ…クキ…ケケケ…キキィィィッーーーッッ!」
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とはいえ、このまま墜落地点にいてはいずれ食料が尽きる。元気のあるうちに森の中を進むことにした。
群馬の森は不気味だった。吹き抜ける風で枝がこすれる音は、人の吐息のようにも聞こえる。
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▲ゲームはコマンド式アドベンチャーのように選択肢を選ぶことで進む。わかりやすい。

森を進んで最初に、やばそうなキノコを見つけた。これは食べたらまずい。
しかし、意志力(POW)が低い私は衝動的にキノコを食べてしまった。幸い、キノコに毒はなかったが……どうやら群馬の土地が、原始的な感情を増幅しているようだ。
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▲行く先々で能力値による判定があり、イベントがその結果に左右される。能力値が低いと選べない選択肢もある。

しばらく進むと、金貨が落ちていた。
「これは群馬の独自通貨……!」
私は運がいいようだ。何かの役に立つかもしれないので、グンマゴールドも拾っておく。
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だが、その幸運もそこで終わりだった。ついに最悪の事態が……群馬の原生生物に見つかり、襲われてしまったのだ!
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群馬の地でのバトルのコツは、力のため具合にある。
画面右の赤いゲージが最大まで溜まってから赤ゲージをタッチすると、強力なパンチをお見舞いできて、なんとかオオカミを撃退できた。溜まりきらなくてもゲージの残量に応じた強さの攻撃ができるようだ。
画面左の青いゲージは「特殊能力ゲージ」で、これは最大までたまらないと使えなかった。
原始的な1vs1コマンドバトルだけど結構楽しい……。
で、倒した後にオオカミは宝箱を落としていった。これをオオカミが運んでいたのか……さすが群馬は違う。
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中身はレジェンドアイテム“知力のシャツ”。
アイテムにはコモン・レア・エピック・レジェンドのレアリティがあり、意外にも強力なアイテムがポロポロと落ちるようだ。これは結構楽しい。
飛行機に落ちる直前に遊んでいた『デレ…テ』では……だめだ、何かを思い出しそうになったが、群馬の呪いのせいか言葉が出てこない。
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▲中盤ぐらいまでずっと使える強力装備が、序盤で簡単に落ちる。終盤もドロップ装備で行ける安心設計。

最初は不可能かとも思えた群馬の森だが、サバイバル楽しくなってきてしまった。
そうなると運も向いてくるもので、向こうに人影が……外界の雰囲気を感じない。群馬のアックスマスターかもしれない。
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意を決して声をかけると、彼は県庁所在地まで私を連れて行ってくれた。
群馬にこんな進んだ街があったとは!
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宿屋もあれば、鍛冶屋で武器を買うこともできる。県庁ではお役所仕事ながら、物を売ることも可能だ。
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それだけではなかった。私と同じように群馬に入ってしまい、外界への脱出を試みる人々のアジトがあったのだ!
ここから、私の群馬冒険が始まる……。
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最初のダンジョン、赤城山ではからっ風……赤城おろしの強風に殺されそうになった。
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茨城から迷い込んだ秘密教団のアジトもあったし、彼らの悲しげな最後にも立ち会った。
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▲カエリタイ……トチギ……トチギニ……。

そうそう、富岡製糸場では、群馬にかつて高度な機械文明があったことを知ることができた。歴史的発見だ!
同時に、その文明が滅びた理由も知ることになるのだが……。
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しかし、それらの話はまたいずれ。今回の冒険の書はここまで……あ、あああああ!奴がくる!
(日記はここで終わっている。どうやら筆者は死んだようだ)

……どうやら、私は死んだようだ。このゲームでは死んだら装備もなくなるし、レベルアップも完全にやり直しだが、記憶は保った状態で群馬の地に再び下り立てる。
まず、転生のために職業を選ぶ。
“無職”から、グンマーの戦士“ブーメラン使い”など様々な職業があるが、初期はロックがかかっていて有料アイテムの“謎の札(上毛かるた)”を消費することによって上級職を使えるようになる。
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▲上級職は純粋に強い。ゲーム中に手に入る謎の札でぎりぎりクリアはできそう。

そして、サイコロを振ってランダムでステータスを決定する。
なお「群馬では簡単に人が死ぬので、ここでこだわりすぎても意味はない」などとヒントが出るが、多少こだわって損はない。
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このような形で、死んでは復活し、ダンジョンを攻略できるまでひたすら探索を繰り返すRPGとなっている。
キャラクターの能力や所持品は引き継がれないが、アジトの“倉庫”に装備を保存しておくと前のキャラクターの装備を引き出して使うことができるので、「直前より少し弱い装備で、強くてニューゲーム」状態でサクサク進む。

ドロップアイテムが急に強くなったりしてハック&スラッシュの楽しさもあるし、「明らかに危険」な選択肢を選ばなければ理不尽な死も少ない。
個人的にはクトゥルフ要素に期待していたのでもう少しストーリーが欲しかったが、そんなの些細な要望のレベル。
グンマーな見た目とインパクトに反して、堅実なつくりの良作RPGになっているのでぜひ遊んでほしい。

最後になるが、作者さんは「群馬に行ったことはないが、群馬の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい……。そんな真摯な気持ちで制作しました」とのこと。
最近、普通の群馬紹介を見ないので、群馬県に“グンマーちほー”と“ジャパリパーク”を作って観光資源にしたらいいのではないだろうか。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
グンマーネタ
アイテムを掘って攻略する王道ハック&スラッシュなシステム
トチギ……カエリタイ……
 
気になるポイント
終盤が少しもたつく
世界観をもう少し掘り下げてほしかった

アプリDL:
群馬ファンタジーTRPG (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:Scarlet Box(日本)
レビュー時バージョン:1.0.8
課金:倉庫拡張(480円)、広告削除(360円)、謎の札

ライター:GCドラゴン