ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

微妙に変えたコピーは犯罪か。RIOT GAMES、中国製ゲーム『モバイル・レジェンズ』などをLoLの模倣で訴える

WS000009
e-Sportsに興味のあるプレイヤーなら、Riot Gamesの『League of Legends』(LoL)の名前を聞いたことがあるだろう。
世界で最も人気のあるオンライン対戦ゲームであり、プレイ人口は9,000万人(e-Sportsをスポーツとして認めるなら、テニスに次ぐ世界で5番目のスポーツということになる)の一大ゲームだ。
Riot Gamesは、そのLoLのキャラクターなどを模倣したとして『モバイル・レジェンズ Bang Bang』(モバレジェB)と前身の『モバイル・レジェンズ』(モバレジェ)、『Magic Rush: Heroes』の3つのゲームを制作した中国メーカーMOONTONをカルフォルニア地裁で訴えた。

LoLはPC用ゲームなので、当然人気ジャンルのゲームをスマホで遊びたいという要望は出る。
その需要にこたえたゲームが訴えられた3つなのだが……問題はゲームのアートが似すぎていたことである。
「似たものを作ろうとした」ではなく、モバレジェは「単にコピーした」ように見えたのでゲームキャストでは紹介しなかったほどだ。

こちらはLoL(左)とモバレジェB(右)のマップの比較。グラフィックのテイストやオブジェクトの配置まですべて同じ。 ただし、そもそもとしてLoLは『Warcraft』のMod『Dota』から派生したゲームであり、もともとそこから由来したマップを変更してきた経緯もあるのでこれ自体が通るか微妙なところではある。
WS000006

こちらはLoL(左)とモバレジェ(右)のマップの比較。
モンスターのデザイン、ロゴのテイストもとても似ている。
WS000007

また、モバレジェに関してはデザインの類似性だけでなく、1度警告された後ゲームを削除し、少し変更を加えた別名(モバレジェB)でリリースしなおした悪質性も指摘されている。
ただし、ゲーム内容に関しては同ジャンルで多くのイメージを拝借しつつありつつも10分で終わる別のゲームになっている(LoLはそもそも45分程度かかる)ことも書いておきたい。
オリジナルゲームであり、あくまで問題はデザイン上のものである。

続く『Magic Rush: Heroes』については、ゲームコンセプトからして異なる。しかし、キャラクター能力やスキル、デザイン、技の動きなどが方向性が類似しすぎており、モチーフにされているとしている。
過去、日本では『ファイアーエムブレム』と『エムブレムサーガ』の類似点でキャラクターのイラストのテイストも争われたが、その際は絵柄は似ているが別物とされた。しかし、ゲーム内のスキルや動きまで似ているとなると話は違ってくるかもしれない。
WS000008

ゲームデザインはまったく異なる。が、LoLの印象を利用していることは間違いない。
そのことは2015年の段階で検証動画が出るほど指摘されていた。


このタイミングで裁判が起きたことにRIOTの親会社であるテンセントがLoLクローン系ゲーム『Kings of Glory』を世界リリースすることと関連を考えてしまうが……。
そういった野次馬根性を抜きにしても、この裁判は注目だろう。

もちろん、個人の感想として言えばゲームバランスや細かな点を大きく変えたとはいえ、モバレジェの類似性は意図を感じてしまうし、かっこ悪いと思う。
一方で、グレーゾーンの似ているが異なるタイプのキャラクターは、保護されるのか?
その際、スキルセットや動きはポイントとなるのか?
ゲームデザインは保護されないが(保護しすぎると同ジャンルのゲームができなくなってしまう)、同ジャンルでスキルセットが似たゲームはたくさんある。スキルセットが1つの類似ポイントとされれば今後の同ジャンルのゲームも配慮する可能性が出てくる。

カルフォルニア地裁が何かしらの判断を下し、違法と判断すればコピーが氾濫する中国ゲームの製作に一定の歯止めがかかるかもしれない。
一方で、本文中にも書いたように、この通り方にはよっては問題が発生するようにも思える。そう言った意味で、注目して動きを見たい。

関連リンク:
RIOTの文書(英語)