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『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』レビュー - ドライブシュートを練習した全ての人へ。あの日の続きを見せる最高のファンゲーム

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私はキャプテン翼世代だ。
校庭でドライブシュートの練習に明け暮れ、『キャプテン翼III 皇帝の挑戦』で友達と対戦しまくり、アニメを見て興奮し……今でもその頃のことは楽しい思い出として残っている。
だが、今『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』によって、その記憶は完全に蘇った。
このゲームは、懐かしい思い出を完全に蘇らせ、その続きを遊んでいるかのような錯覚をもたらす最高のファンゲームの1つだ。

本作は初代『キャプテン翼』から一連のシリーズに登場するキャラクターを集め、夢のチームを結成して戦うサッカーゲームである。
いや、単にそれにとどまらない。
アニメ・漫画の『キャプテン翼』を愛したサッカー小僧たちや、テクモ版『キャプテン翼』のゲームをプレイしていたゲーム小僧の熱い記憶を蘇らせる作品である。
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ゲームモードは原作のストーリーを追う“シナリオ”モード。
これが熱い。フォントが漫画版のキャプテン翼っぽいとか、効果音がアニメのままで、ボイス付きで物語が再生されるのだ。
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それだけではない。物語の出し方も良い。
古いソーシャルゲームではストーリーとバトルを交互に繰り返し、それがストーリーの良さを崩していることもあった。だが、キャプテン翼ではシナリオに整合性がなければ試合を入れない。
場面転換としていったんメニューに戻ることはあるが、無理に試合をさせず物語を読ませるのだ。おかげで、松山くんのエピソードはかなり感動してしまった。
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そして、ゲーム部分もまた良い。名作と言われるテクモ版『キャプテン翼』を上手く消化し、ギリギリスマホ向けに落とし込んでいる。
まず、チーム編成に当たってのルールは、“同じ人物はチームにいれられない”、“本来と異なるポジションでは能力が落ちる”の2つだけ。自由にチームを作れる。
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操作は今サッカーゲームで主流のアクション系ではなく、コマンド選択式。
試合が始まると選手たちが自動でミニマップ上を動き、ボールを持っている選手と相手チームの選手が接触するとマッチアップ(対戦)が始まり、コマンド選択画面に入る。
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このとき、ボールを持っている側であれば“ドリブル”や“パス”、防御側なら“タックル”や“パスカット”などのコマンドを入力する。
全選手のコマンドが入力されると、結果の再生が始まる。
このときドリブルにはタックル、パスにはパスカットというように、相性を考慮したコマンド選択が重要となるため、選手配置を見て読む能力も試される。
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特定の選手が持つ必殺技だけはその相性の理屈を超えた力を持つが、スタミナの消費量が大きくて使いどころが難しい。
スタミナが少なくなると必殺技が使えないだけでなく、通常の行動も鈍くなってしまうからだ。
スタミナ配分を考えつつ前半と後半を戦いぬき、より多くの得点をとった方が勝者となる。
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で、このゲーム部分も面白いのだが、それ以上に原作へのリスペクトには感動した。
キャプテン翼が原作だからリアルなサッカーじゃない。
選手の見た目もそうだし、必殺技の演出が大げさで素晴らしい。
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人間とは思えないジャンプ力、サッカーのルールを無視した技の数々、そして極めつけは必殺シュートとキーパーの対戦時……。
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シュートの勢いに吹き飛ばされる選手!
僕らの世代では、これがなければサッカーじゃない!
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▲しかも、スマホの性能が高いので演出はより豪華。

試合中は原作の名台詞が次々と飛び出すし、原作にない必殺技も見ない。
珍しい技を食らったときなんて、ボールを奪われても演出が見られて嬉しいので「ありがとうございます」と言いたくなる。ファンゲームとしては納得するしかない1作である。
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▲なにげに修正液を散らしたような演出と、漫画を意識した集中線もいい

なんでこんなに原作に忠実なのか。その疑問は、選手図鑑を見たとき解消された。
なんと選手図鑑に全ての必殺技が載っており、かつ初登場時のコミックスへのリンクが張ってあるのだ。完璧な下調べと愛がこのゲームを作っているのだろう。
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そんなこんなで懐かしい気持ちのまま遊んでいると、もっとスゴいことに気づいてしまった。
このゲームの(中盤までの)攻略方法は、スーパーファミコン版の『キャプテン翼III』の対戦モードと同じなのだ。
まず強いキーパーがいないと点数をとられてしまうので、強いキーパーを確保する。
次に敵のキーパーを倒せるストライカーがいないと負けるのでストライカーを確保する(このあたり、人によって差はある)。その要領でメンバーを埋めていったあと、試合では敵のキーマンを働かせないようにパス回しを心がける。
それだけで、面白いように勝てる。
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1992年、私は友達と何度もキャプテン翼の対戦プレイをしていた。
それから25年後の今、なぜか続きをプレイしているかのように遊べてしまっている。もはやスタッフには感謝しかない。ちゃりーん(課金した音)。
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もちろん、難点もある。
好きな選手を集めるだけなら簡単なので、ファンゲームとして遊ぶには良い。
しかし、同じ名前の選手が使えないので“南葛小学校の翼”と“プロの翼”を手に入れたとき、どちらか一方は試合に出せずにSSRが腐りがちだ。また、せっかくオンライン対戦があるのに同じ条件で友達と遊べないのも気になる。

何よりキャプテン翼に寄せすぎているせいで、キャプテン翼のファンでなければお勧めできない。
しかし“キャプテン翼ゲー”としては最高クラスで、キャプテン翼を知っているなら手を出すべき1作だ。
漫画を見てドライブシュートを練習し、ゲームで熱狂し、続編が始まって喜んだ……あの感動の延長線上にこのゲームはある。

評価:8(かなり面白い)

おすすめポイント
漫画から広くキャラが登場、原作風の効果音
テクモのゲームをリスペクトしつつ、テンポ大幅アップ
原作への愛を感じる

気になるポイント
冗長な演出がキャプ翼ファン以外には厳しいかもしれない
友達とオンライン対戦をしたい
課金誘導が多すぎて鼻につく

課金
夢球(ガチャや枠拡張などに使用)、VIP(価格に応じて良いログインボーナスが得られる)

(バージョン1.0.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)