5人の少女がダンスを踊り、世界を救う劇場アニメ『ポッピンQ』。その公式リズムゲームが『ポッピンQ Dance for Quintet!』だ。
開発は『Project Diva』でリズムゲームに定評のあるセガ。
ハイクオリティな3Dキャラクターがダンスを踊り、劇場アニメのカットもふんだんに使った演出は豪華の一言で、映像面は本当に素晴らしい。さすがセガ。
しかし、ゲームの詰めも甘い。さすがセガ。
下地は良いのに、現状はビジュアルだけで満足できるファンだけが楽しむゲームになってしまっている。
ビジュアルのクオリティはもう、説明の必要もない。
このクオリティのキャラクターが、5人同時に軽やかに踊る。
キャラクターの表情も作り込まれでおり、ダンスの最中もめまぐるしく表情が動く。
「ティーンエイジ・ブルース」開始時の不安げな表情などは特筆物の出来である。
アニメカットもふんだんに盛り込まれ、効果的に曲を盛り上げている。
オプションでアニメシーンのON/OFF、スマホ性能が低いプレイヤーのための軽量な2Dキャラ表示、逆に良いスマホを持っているプレイヤーのために3Dキャラ画質設定まで搭載しており、『アイドルマスターシンデレラガールズ』かと思うほど配慮が行き届いている。
さらに、2種類の衣装の着せ替えも自由にできる。もちろん、キャラクターをぐるぐる見回すこともできるし、巨大化表示も自由自在。
ゲームをクリアしてコインを貯め、ガチャでイラストやキャラクタープロフィール、特別映像動画をコレクションするような楽しみもある。
ファンゲームとして、鉄壁の布陣と言える。
▲…正直、コインが貯まりづらすぎて追加楽曲が欲しくはなるのだが。
そして肝心のゲーム部分はタイミング良くノーツをタッチする普通の音ゲーなのだが…こちらは問題を抱えている。
本作のシステムは、O型の円の周囲をバーがくるりと回り、Qの字になったタイミングでタッチするというもの。
フリック入力の緑ノーツ、長押しの黄色ノーツなどのバリエーションもある。
連続して入力成功するとコンボカウントが増え、タイミングに応じて得点が入り、一定の点数を取って楽曲を終えればより高い難易度の譜面にチャレンジできる。
システム面だけ見れば良い。では何が良くないかと言えば、全体的に作りが粗いのだ。「作りかけで出した」ような印象を受けてしまうほどだ。
リズムを取っているのか、曲の歌詞をなぞっているのか分かりづらく、覚えるしかない箇所があり、気持ちよく遊びきれない。
また、難易度が高くなるほどにノーツが指に隠れて見えづらいことがあるのも気になる。
最高難易度の「キセキ」に至っては…正直、クリアされることを想定していると思えない狂気の難易度である。キセキまでは、スマホで、2本指で遊ぶことを想定して作られている。
しかし、キセキ難易度はノーツの出る速度が速くて2本指では追えない。というか、バランス調整を放棄しかのような狂気の難しさ。
5曲しかないので、最終難易度は高くしたかったのかもしれないが…いくら何でも急に難しくなりすぎである。
せめて4段階ではなく5段階で難易度を上げればまだ良かったように思う。ただ、『Project Diva』の超難易度もかくやというヤケクソな難易度なので、ある意味で見物ではある。
その他にも時間の経過で貯まる「宝箱」がないとガチャを回すのに必要なコインが全然貯まらず、なおかつ楽曲が5曲しかないのですぐ飽きてしまうし、長くプレイしづらい。
ダンスビジュアルが売りのゲームであるのに、ゲーム中はノーツでキャラクターの動きが見づらい。
鑑賞モードも存在するが、ガチャで(ガチャコインが貯まりづらいのに)手に入れなければならない。
少し試せば気づくであろう点がフォローされておらず、全体的に粗い。ものすごく作り込まれたビジュアルがあるからファンは許せると思うが、これでゲームが良ければファン以外も取り込めた可能性があるだけに残念だ。
原作の曲数が少ないからボリューム面ではあきらめるとしても、アップデートで譜面改善、衣装追加、コイン取得量の増加などに期待したい。
※当初鑑賞モードがないと書いていましたが、ガチャから入手できたため修正しました
評価:5(楽しめる)
課金:
なし
おすすめポイント
素晴らしい3Dビジュアルとダンス、オプション
原作のカットを豊富に使った演出
気になるポイント
楽曲ボリュームに対してコインが貯まりづらすぎる
ダンスを見たいが、ノーツを消すモードがない
譜面の調整がイマイチ
キセキ難易度のやけくそな難易度
(バージョン1.0.2、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
ポッピンQ Dance for Quintet! (itunes 1,200円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
動画: