数世紀を生きる謎の男は何者なのか。終盤のトリックが光るアドベンチャー『Rok』レビュー
『Rok』は、超能力を駆使し、謎の男の脱出を助けるアドベンチャーゲームである。
近代なのか原始なのか判断尽きかねる世界観、数世紀を生きる男の不可思議な秘密、そしてローポリのグラフィックを魅力とするゲームなのだが……正直、お勧めではない。
が、個人的に「終盤のトリック」が気に入ったので、ここに紹介しておく。アドベンチャーとか、ナラティブとかが好きなら、試してみていいと思う。
このゲームは、女性の呼び声で目を覚まし、牢から脱出するところから始まる。
脱獄に使用するのは、念動力。主人公は、手を触れずに物を動かせるのだ。
プレイヤーが物体をドラッグすると、それは指がなぞったとおりに動く。念動力でメカニカルなパーツを引きちぎり、スイッチを起動し、牢を破壊すると……。
機械の牢とは不釣り合いな服装の、やせ細った男が出現する。彼が主人公である。
主人公は、画面をタッチするとその位置まで歩く。画面を2回連続でタッチすれば走る。
ゲームの仕組みとしては、念動力でさまざまな仕掛けを動かしつつ、安全を確保して移動するパズルアドベンチャーになっている。
外に出てみると、そこは高度な文明を誇るノース人の施設。
主人公は、少なくとも数世紀以上は閉じ込められていたらしい。が、施設内に人の気配はない。
しかも、道中には人間と思われる死体が散見され……。
毛むくじゃらの怪物たちが、闊歩している。この文明に何が起きたのか。怪物は何者なのか、そもそも数世紀も牢で生き延びた主人公はいかなる存在なのか。
プレイヤーは、脳に響く女性の声と、ときおり手に入るノース人の手記を手がかりに謎を探ることとなる。
本作のグラフィックと謎の世界観は、それなりに魅力的だ。特に序盤は。
ただ、種明かしの部分では尻切れトンボ感があり、ゲーム展開の単調さと操作性の微妙な悪さ(iPadがあれば、操作に関しては問題ないが)もあって、トータルで平凡なゲームにしてしまっている。
▲画面右上の「?」ボタンを押せば、どの物体を動かせるかわかりやすく縁取りされる。この配慮で、操作性の悪さは緩和されてはいる。
決して、お勧めとは言えないのだが、世界観が気になって先へ進めていると、ときおり主人公がプレイヤーの意図と異なる行動をとることがあり、「なんだ、なんだ」と思っていると、終盤でストーリー上のトリックが明かされ「見事にやられた!」と感心してしまった。
Rokは平凡ではあるが、個人的にその部分が気に入ったので、(種明かしできないのがもどかしいが)紹介しておく。
あなたがアドベンチャー好きで、このゲームの見た目が気に入ったのであれば、何かの折にプレイしても損にはならないと思う。なので、選択肢として心の片隅に留めておいて欲しい。
評価:5(価格通りに楽しめる)
おすすめポイント
ローポリの3Dグラフィック
不可思議な世界観
終盤のトリック
気になるポイント
ゲーム展開は単調
操作性が少し悪い
日本語訳が粗い
課金
なし
(バージョン2.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Rok (itunes 480円 iPhone/iPad対応)