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なんという良い仕事…初代バイオファンに捧ぐ極上ファンゲーム『バカハザ』レビュー

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なぜ、作ってしまったのか。
赤塚不二夫のギャグ漫画『天才バカボン』のスピンオフ、『少年バカボン』のキャラクターが、初代『バイオハザード』の洋館を探索するゲーム『バカハザ』。
バカボンで、8bit風で、バイオハザードで……誰がこの一発ネタを喜ぶものか、と最初は思っていた。

が、プレイしてすぐに気づかされた。このゲーム、尋常ではない。「8bit時代にバイオハザードを作ったらこうなる」を、全力でやってのけたスゴイゲームだ。なお、バカボン要素はまったく必要ない。

まず、初代バイオハザードについておさらいしておこう。初代バイオハザードは1996年に発売されたプレイステーション用ゲームで、ゾンビに追われながら洋館を探索する3Dアクションアドベンチャーだ。
3Dを利用したホラー演出が新しかったのはもちろんだが、とにかくシビアなゲーム内容も印象的であった。

ゲーム中取得できるアイテム数は有限。無駄に回復薬を使ったりすると、後半で詰むことすらある。中でも「インクリボン」というアイテムは重要で、使い切るとセーブすらできなくなる。
操作で言えば、当時は珍しかった(そして、今は廃れた)「ラジコン操作」を導入しており、慣れるまではまっすぐ歩くことすら難しい。
そんな難しいゲームだが、その難しさが緊張感を生み、ホラーとしての怖さを増幅している側面もあり、今まで続く大ヒット作品ともなった。

で、そんな初代バイオハザードをドット絵の見下ろし視点アクションアドベンチャーとして作り直したのがバカハザだ。
当然、原作と同じようにゾンビと戦い、謎を解き、アイテムを集めて洋館を脱出することが目的となる。
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オリエンテーションにきたはずが、道に迷ったバカボンたちは、初代バイオハザードの洋館にたどり着く。
バカボンたちは、そこにはゾンビが待ち構える洋館をギャグ漫画のノリで脱出できるのか……。
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と言ったノリで始まるが、この先は「悪いが、初代バイオファン以外帰ってくれないか!」という内容になる。

まず、操作を見ていこう。
移動操作は画面スライド(十字キー)か、行きたい方向をタッチしてのオート移動の2種類あるのだが、オート移動では精密操作ができず、十字キーは少し反応が悪い。
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攻撃操作も2種類。1つはロックオン方式で、敵を1回タッチするとロックオンし、その後もう1度タッチすると自動的に敵の方向に向かって攻撃する。
もう1つは、画面2本指タッチ。こちらは現在向いている方向に攻撃を行う。やはり、移動操作と同じくどちらも少し扱いづらい。
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なんと、移動と攻撃、双方が微妙に不便で、慣れが必要。いきなり厳しい言葉で書いたが、これは原作オマージュと考えると正しいあり方だ。
これは、初代バイオハザードの操作の難しさの再現なのだ。バイオハザードファン以外には、完全に余計な要素だが。

もちろん、原作と同じく手に入れたアイテムを使って謎解きしたり、複数のアイテムを「組み合わせ」る仕組みもある。
限られた数のアイテムしか持ち歩けないため、休憩所にある「アイテムボックス」にアイテムを置いて、使うアイテムを厳選して移動しなければならない。
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▲ハーブ……じゃなくて、コンブを調合して薬として使うシステムも。

ゲーム中に手に入るアイテムは有限。全ての敵と戦っていては回復アイテムも、弾薬も足りない。幸いゾンビは足が遅いので、倒すべき相手を見極め、そうでない相手からは逃げるゲームプレイが必須だ。
もちろん、セーブにはインクリボンが必要で、使い果たせばセーブすらできない。
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▲ゾンビを倒すと、その場所ではしばらくゾンビが出なくなる。が、ゲームの進行に合わせて復活するので注意。

さらに、全般的なクオリティもとても高い。ドット絵はどこを見ても良くできているし、サウンド面もきっちりホラーしている。
そのクオリティたるや、バカボンのキャラクターなのに、画面からホラーを感じる瞬間があるほどだ。
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初代バイオハザードの洋館が再現されており、初代バイオハザードのマップや攻略は、バカハザにそのまま応用できる。
ゾンビ犬が初出現するシーンなど、思い出のカットもすべて2Dで再現されている。
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さらに、金持ちキャラクターのアホヤくんが、洋館の仕掛けをさして「金持ちの自分の家でもこんなアホな仕掛けは作っていない」などと突っ込みを入れるシーンあり、原作の手記をバカボン風に改編した文書ありでスタッフの遊び心も感じられる。
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▲バイオハザードの洋館と警察署と言えば、突っ込まずにいられない2大スポット。

どこを見てもクオリティが高く、バイオハザードへの愛を感じられる素晴らしいパロディゲーム。
プレイしていると、本当に初代バイオハザードをプレイしているかのような気持ちになる。
クリアした後に残った大きな不満点は、あまり役に立たない仲間が終始ついてまわり、勝手に攻撃を食らって死ぬことぐらいか。
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▲操作性ももう少し良くて良かったかな……。

バイオハザードが好きなスタッフが、愛をもってパロディしたゲーム。それがこのバカハザ。
バカボンが好きでなくとも、バイオハザードが好きならプレイするべきだ。ファミコンの『スイートホーム』的な空気を持ち合わせているので、レトロゲーム好きにもおすすめである。
が、素晴らしいゲーム内容にも関わらず、本作の一般的な評価は低いだろう、とも思う。

なぜかと言えば、スマホゲームなのに、家庭用ゲームのバイオハザードそのまますぎだからだ。
セーブ回数の制限は、ゲームに緊張感を生む。集中して遊べる環境ならそれでもいいだろうが、移動しながら合間に遊ぶことも多いスマホで、セーブ回数の制限をつけられると、やり直しが増えてストレスになってしまう。

「セーブ回数無限」とか「敵から受けるダメージ半減」など、盛りだくさんの課金システムの存在も良くない。
本作は、本腰を入れて遊べば無課金でクリアできるはずだ。
タイミング良く攻撃すればゾンビをノーダメージ処理できるし、インクリボンも使いすぎなければ余る。初回のプレイでは苦戦するだろうが、中盤まで遊んでからプレイし直せば、効率が段違いに上がってアイテムの心配なくクリアできる。
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▲こいつに出会ったあたりでプレイし直すといい。

だが、それは昔の遊び方だ。初代バイオハザードの時代は、「難しいと言うことは、努力して乗り越えろということか」、とプレイヤーも理解してくれた。
現代のゲームはそうではない。バカハザでは、ゲームオーバー時に課金アイテムで復活などを勧めてくる。これを見せられると、難易度は努力して乗り越えるものではなく、課金のための仕組みにしか見えなくなってしまうのだ。
無理ない難易度でも、課金があるだけでプレイヤーに猜疑心を与えてしまうのだ。現代では、追加課金なしでゲームを出さなければ課金ゲームの疑惑をぬぐえない。
実際、私もクリアするまで「本当に最後まで楽しく遊べるか」おっかなびっくりで楽しみが損なわれていた。
この記事を見た方は、無課金で普通に遊ぶバランスになっていることを保証するので、その疑惑はぬぐって遊んで欲しい。
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▲クリアできます

最後に、バカボンとの組み合わせの悪さも気になった。
ギャグは滑っているし、バイオに引きずられてギャグテイストはどんどん吹き飛んでしまい、味が出ていない。
そもそも、このガチゲームをプレイしたバカボンファンが、「バイオハザード楽しい!」と思ってくれるように全く思えない。おそらく難しさと課金に引いて低評価レビューをつけて終わりだろう。

と言ったように、バカハザは問題を多く抱えている。
間違いなく、バカハザのスタッフは良い仕事をしたのだ。初代バイオを2Dに落とし込み、慣れれば進める「覚えて上達する」堅牢な作りで仕上げた。そこに疑いはない。
ただ、ゲームの方が生まれてくる時代か、課金形式を間違えただけなのだ……。

この記事を読んだ方に、お願いしたい。バカハザは、レトロゲームや初代バイオハザードが好きな層には間違いなく刺さる1作だ。
上記に該当する方は、バカボンとか、課金満載という偏見を捨ててバカハザと向き合ってみて欲しい。
そして、面白いと思えたら、バカハザの良さをTwitterなどで広めて、世間の誤解を解いて欲しい。
バカハザは様々な問題を抱えているが、その労力をかける価値のあるゲームなのだ。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
初代バイオハザードの熱烈なファンゲーム
8bit風のアクションアドベンチャーとして質が高い
素晴らしいドット絵とサウンド

気になるポイント
課金要素が多すぎて気になる
操作性が少し悪い
バカボン要素がかみ合っていない

課金
広告削除、アイテム、コンテニュー、無限インクリボンなど。
おすすめはアイテム枠を増やすリュックサックと、無限インクリボン。

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
バカハザ ~少年バカボン × バイオハザード~ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / Google Play)

ちょこっと攻略(ラスボスの倒し方、ネタバレのためスクロールして見るべし)














ラスボスのバカラントでは、コイーヌは見捨ててOK(もしかしたら、見捨てないエンドもあるかも)。
バス停まで逃げて迎撃し、攻撃して時間を稼ぐとイベントが発生して倒せる。