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プレイヤーの民話物語が、本物の本として出版される。『Burly Men at Sea: 三人の海の男』レビュー

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漁師3兄弟の大冒険の様子を語り、本を作り上げる民話絵本風のアドベンチャーゲームが登場した。『Burly Men at Sea: 三人の海の男』だ。
次々と不思議な事件に巻きこまれる兄弟の様子を、プレイヤーは語り部の立場で見て、導いていく。そして、10分ほどのプレイで物語が完結し、1冊の本にまとまる。

そして、1つの物語が完成したら、今度は「あのとき、違う選択をしていたらどうなったんだろう」と、新しい物語を見るために旅立つ。

ゲームシステムで言うなら、このゲームはポイントクリック型アドベンチャーだ。気になるものをドラッグして動かしてみたり、タッチして調べてみたりする馴染みの操作系である。
ただ、移動だけはちょっと違う。例えば、下の場面で右に行きたいとする。そんなときは画面を左から右に向かってドラッグすると……。
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画面が右に「にょーん」と伸びて、男たちが右に移動する。移動は場所選択ではなく、引っ張り操作なのだ。
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これさえ知っておけば、後は冒険するだけ。
早速、船でこぎ出して地図の秘密を解き明かすのだ。出航!
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……と思ったら、即座に巨大なクジラに飲み込まれる。いきなり、絶望の超展開。
この唐突さこそ、民話系物語である。
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「座りなさい、友よ。」
クジラの腹の中には妖精たちが住むコミュニティがあった。消化されないのは嬉しいが、ここで暮らしていくしかないのか。
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▲この妖精たち、中二病をこじらせていて難しい言葉を使いたがるし、うまくやっていけるのだろうか。

と思ったら、クジラの腹から出る方法は確立されていて、妖精達は好き好んでここに住んでいたのであった。
妖精と話して、たいまつを譲り受けた男たち。
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そのままクジラの腹の中を歩き、樽の船を作って脱出に成功した。
とは言え、どこまで泳ぎ続ければいいのだろうか……。
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ん?向こうに船が……。
「ごきげんよう。どうぞ乗りたまえ。サービスであの世まで片道無料だ」
おおっと、これは地獄の渡し船。
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しかし、「まさか、船に乗っているのに俺たちに速度で負けるなんて事はないよな!?」
と話したら、船と競争し、勝てば生きて帰れることになる。民話とか神話のキャラクターは、なぜこのパターンでいつも負けるのだろうか。チョロすぎる……。
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もちろん、勝った。が、事態は好転しない。どこまで泳げばいいんだ……。
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「まだ、あなたたちは見ていない冒険があります。お帰りなさい」
どれだけ泳いだだろうか。海の果てには海竜がいて、男たちは、気づくと元の漁村に戻されていた。
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「船をきれいにしておいたよ」
不思議なことに船は漁村に戻ってきていた。うーん、あれは、夢だったのだろうか。クジラの腹に飲まれた船が、帰ってくる分けないし。
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そう思いながらコーヒー屋のオヤジに語ると、
「賭けてもいいが、諸君の物語はまだまだ増えるぞ」
と、今回の冒険を1冊の本にまとめてくれた。
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……と言ったところで、1プレイ終了。
次回からは、異なる選択肢を選んでプレイし、新しい物語を探していくことになる。
なお、繰り返しプレイする作品の宿命として、知っている箇所の反復が面倒になることもある。が、それについては1度体験した物語がショートカットされるだけでなく、ショートカット専用の文章も用意されていて、繰り返しが楽しめる配慮があるのでご安心を。

全体として、独特の暖かい音楽、絵本のような語り口調が素晴らしく、ゲーム中は童心に返って物語を楽しめる。
1つ1つのイベントが唐突で、とっちらかり具合はまさに民話。
児童書などが好きな方、お子さんに本を与えたい方などにもおすすめだ。
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個人的に良かったのは、プレイヤーが発見した物語にユニークなナンバーが割り振られており、それを公式ページで申請すると、冒険が本物の本として手元に届く(ただし、現在はプレオーダー中)サービスをしていること。
自分が作った物語が本になるというのは、面白い。

毎日1プレイずつ、お子さんと一緒に読みながら進めるのはいかがだろうか。
気に入った物語があれば手元に本として注文もできるし、思い出にもなるだろう。

ただ、イベント数は少なめなので、10プレイ程度で全体の構造を把握できてしまう。ボリュームについては「そこそこ」なので、「ちょっと長めの本を買った」と思ってプレイするといいだろう。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
物語をそのまま本として楽しめる
民間伝承のような物語が楽しめる

気になるポイント
イベント数は少なめ

課金
なし

(バージョン1.0.1、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Burly Men at Sea: 三人の海の男 (itunes 600円 iPhone/iPad対応)

動画: