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僕らの夢は、現実になった。歩いて探しに行くRPG『ポケモンGO』レビュー

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「ポケモン、ゲットだぜ!」
という言葉もまだない昔。私は、近所の小学生Aくんに「お兄さん、通信ケーブル持ってるんでしょ、ポケモンやろうよ!」と誘われて『ポケットモンスター赤』を始めた。
そして、Aくんに公園に呼び出されて驚いた。みんな、ゲームボーイで遊んでいるじゃないか。
当時、小学生達は「お外で遊びなさい」と言われて、外にポケモンを持って集まっていたのだ。そして、私の持ってきた通信ケーブルを使って、みんながポケモンの交換を始めた。
当時は他のプレイヤーと一緒にできるRPGが少なかったため、そこには未知の興奮があった。それが、私の『ポケモン』原体験だ。

そして、『ポケモンGO』は、その面白さを大きく進化させた、初めてのポケモンである。ヒットしないはずがない。

『ポケモンGO』は、ポケモンを捕まえ、戦わせるRPGだ。
ただし、現実の位置情報と連動し、特定の場所に行かなければポケモンが手に入りづらい「位置ゲー」の構造を採用しており、ただのRPGではない。
ゲーム画面には現実のマップ情報と連動したフィールドが表示され、近くにいるポケモンの様子などが表示される。
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地図上には「ポケストップ」という拠点があったり、ジムがあったりするのだが、とりあえずその説明は後で。
ともかくも地図上でポケモンを見つけてタッチすると、その場にポケモンが登場する。
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AR技術を利用し、現実の写真の上にポケモンがいる様子は、昔夢見たポケモンハントの延長線上にある。
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そして、スワイプでポケモンボールを投げ、見事に当てると(これが、意外に難しい)ポケモンボールにポケモンが格納されて、激しく揺れる。
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そのまま、揺れが収まれば見事ポケモンゲットというわけだ。
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ポケモンにはある程度出現位置が定められていて、特定の場所で出てきづらいポケモンは全然捕まえられない。
だが、生息地まで歩いて行けば入れ食い。必然的にポケモン生息地の情報を仕入れ、会いに行くことになる。
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▲上野の山は、ブーバー取り放題。自宅の周りには、まったくポケモンがでないけど。

友達と生息地を探して、その場所まで行って、ポケモンに会う。
これこそ、外でゲームボーイを持って集まっていた小学生達が夢見ていた世界であり、ポケモン好きの夢が1つ実現された瞬間。
このゲームが多くのポケモン世代の興味を引くのは必然だし、ポケモンファンの多さを考えれば社会現象になったことも(いろいろ他に原因はあるにせよ)引き起こすことにも納得はできる。

また、それとは別に歩く楽しさを足してくれる「プラスワン」の楽しみもある。
先ほど書いた通り、ゲームの地図上には円形のマーカーで、ポケモンボールなどのアイテムを補充できる「ポケストップ」が表示されている。
ここは、現実世界上でちょっとした観光地だったり、ちょっとした名所だったりがそのまま当てはめられている。そのため、住んでいる人間ですら知らないスポットを見つけることも。
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▲よく見るとキモいぱんだ……ネーミングも時々秀逸。

さらに、社会現象になったがゆえにこのゲームはさらに面白さを獲得した。

▲すべての始まりは、このPV。

ポケストップに「ルアー」という有料アイテムを使用すると、30分間ポケストップの側にいるすべてのプレイヤーがポケモンを簡単に見つけることができる。
必然的にルアーを目印にプレイヤー達が集まることになり、社会現象と同じゲームを共有している楽しさを感じられる。もちろん、会話になることもあるし、そうなったら同じゲームを遊んでいるから話題も尽きない。
『ポケモンGO』は、発見と交流のゲームとしても良く機能している。
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▲ある日の公園。どこを見ても老若男女ポケモンマスター。

近年、人気の漫画などを利用してその漫画にガチャゲーのシステムを載せただけのゲームを作る会社も多いが、これはポケモン好きの原体験を刺激する、見事なゲームである。この体験ができるだけで、このゲームはもう素晴らしい。
ただ、現時点では2つの致命的な欠点を抱えている。
現時点で一番大きいのは、2週間ぐらいでかなりのプレイヤーが飽きるだろう、ということだ。

ポケモンを集めたプレイヤーは、何をするのか?
多くの場合、バトルという答えが返ってくるだろう。
確かにマップ上に円筒状のジムに行けば、ジムの管理権を巡って6vs6のポケモンバトルはできる。しかし、圧倒的にジムが少ないため、多くのジムはやりこみプレイヤーに選挙され、ほとんどのプレイヤーは太刀打ちもできない。
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▲ジムバトル、1体ぐらいは倒せるけども……。

友達とバトルもできないし、ポケモンの交換もできない(これは、今度実装されるそうだが)。
ジムという目標は遠すぎて、最初にポケモンを集めてからやることがなくなるのだ。多少のレベルアップでは、歯が立たない。
最初の面白さを超えたところで、何かしらやることを作らなければ、コアなファン以外は残らないだろう。一刻も早いアップデートが期待される。
例えば、様々な場所にジムトレーナーや町の人を配置し、NPCと戦えるだけでもだいぶ違うと思うのだが……。

次に大きいのは地域格差。拠点となるポケストップやジムは都市部に多い。しかし、郊外には少なく、場所によっては見渡す限り何もない。
都会のプレイヤーは、ポケモンボールを常に満タンにしてポケモンを乱獲できる。
しかし、郊外に住んでいるプレイヤーは課金してポケストップボールをなかなか補充できず、課金で買うことになる。ポケモンにもなかなか会えない。
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そのほか、ジムバトルの仕様が全く説明されない(連打で攻撃、長押しで技、スワイプで回避だが、何も説明されずに瞬殺されるのでわからない!)とか、操作がわかりづらいなどの細かい問題はあるが、その当たりはプレイヤー数が膨大で、ポケストップに集まって情報交換してカバーされるので、まあなんとかなるだろう。
他のゲームならこうはいかないが、社会的ブームなので解決できる荒技である(ただし、地域格差はここにもでる)。

ただ、このゲームの序盤が楽しいのは間違いないし、ポケモン世代なら、そして空前の社会現象を見てみたいなら試す価値はある。少なくとも、その部分だけを切り取っても『ポケモンGO』は素晴らしい体験を提供するはずだ。
少し遊んで楽しんで、やめるかどうかはその後に判断すれば良い。今は、これを楽しむべきだ。

評価:8(かなり面白い)

課金:
アイテムやポケモン上限アップ、ポケモン出現率アップのアイテム、卵の孵化装置(歩いた距離で孵る)など。
なくても都会なら遊べる。

おすすめポイント
ポケモンマスターになる夢が1つ現実に近づいた
身近な観光ポイントを見つける面白さ
社会のブームに乗り、共有する楽しさ

気になるポイント
ポケモンを集めても目の前にやることがない
ゲームが説明不足
地域格差が大きい

(バージョン1.0.3、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Pokémon GO (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)