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『Never Alone』は、アラスカの先住民「イヌピアット」の文化を伝えるため、ゲームメーカーとイヌピアットが協力して作ったゲームである。
実際に遊んでみると、そのプレイ感覚は「ゲーム」と言うよりも映画、もしくは遊べる絵本。そんな言葉がぴったり当てはまる。
『Never Alone』はプレイヤーを世界に引き込み、2時間程度のプレイを通じて「イヌピアット」の文化を見る「体験」だった。
本作は、村を襲った吹雪の原因を探す少女ヌナとホッキョクギツネの不思議な旅を描いた作品だ。
起動してまず目を引くのはそのグラフィック。シロクマのもっふりした毛皮の様子や、美しい氷原には目を奪われること必至。
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キャラクターを拡大してもこの通り。迫力のある音声(できれば、イヤホンをして遊んで欲しい)の力もあり、遊んでいると寒さすら感じる。
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ゲーム部分に目を向けると、アナログスティックと、ジャンプ、いくつかのアクションボタンで敵から逃げたり、障害を乗り越えたりする横スクロールアクションゲーム。
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基本システムはオーソドックスだが、ヌナとキツネが常に一緒に行動しており、場面に応じて操作キャラを切り替えられることを特徴としている。
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▲操作していないキャラクターは、障害を乗り越えて自動で後ろについてくる。
ヌナは運動能力でキツネに劣るものの、「ボーラ」で氷を破壊したり、重い箱を動かしたりできる。
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対するキツネは、高い壁を三角跳びで乗り越えたり、精霊の力を使って足場を作るなど超自然的な能力を扱える。
この2人の使い分けて、様々な困難を乗り越えるゲームである。
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実際にプレイしてみると、難易度は低く、一度倒れた場所ではヒントが表示されるので詰まることもない。
「困難を超える」のは、プレイヤーではなく、ゲーム内の少女ヌナ視点である。
で、このゲームが楽しいかというと、面白い。
最初に、プレイヤーは極寒のアラスカをリアルに感じさせるグラフィックと迫力ある効果音に引き込まれ、ヌナたちを操作していると、その中に入り込んだ錯覚すら生まれる。
そして、その錯覚が収まらないうちにエキゾチックなイヌピアットに精霊などが登場する。
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問答無用で興味を引くものを連続でたたき込み、プレイヤーの感情移入を促すのである。
すると、プレイヤー自身がヌナの視点と重なり、ヌナの直面する困難が、まるでプレイヤーのものであるかのように感じられる。
ゲームは簡単なのに、プレイヤーはすごい困難を乗り越えたように錯覚するのだ。
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もう1つ面白いのが、ゲームの進行に応じ、イヌピアット自身が語るドキュメンタリー動画が増えていく点。
こういった動画は、ゲームのおまけとして顧みられない事が多く、見ても面白くない事が多い。
しかし、本作ではゲームと関連する場面で動画がアンロックされるので興味深く鑑賞できるし、1本2分程度の短い動画が、ゲームの箸休めとしても機能している。
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内容を見ても、精霊の使う「太鼓」のドキュメンタリーではおじいさんがお茶目に実演し、ヌナたちが苦しめられる「流氷」については近代の温暖化とその影響を真面目に語り、いずれも興味深い。
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本作は2つの点で素晴らしい。
まず、ゲームは簡単なのに、ヌナに感情移入すると一緒に困難を乗り越えた気持ちになり、終わるとなんだか充実した疲れが残る。
これが結果として、冒頭で述べた「映画」のような感覚を生んでいる。
続いて、ゲームを通じて異文化に触れる新しい方法を提示したこと。この方法で作られた文化紹介は、単にドキュメンタリー映像を見るよりも、よほど興味深く見られるし、記憶に残るだろう。
『Never Alone: Ki Edition』は、ゲーム機版(もしくはNVidia Shiled前提のAndroid Console Edition)よりもグラフィックで踊るが、十分素晴らしい。
映画を1本見る気持ちで、時間を作って一気に遊んでみて欲しい。
評価:7(要チェック)
課金:
なし
おすすめポイント
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気になるポイント
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(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Never Alone: Ki Edition (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)