いにしえの面白さをスマホに移植。ブラウザゲー風の建国RPG『Mystic Castle』レビュー
『Mystic Castle』は、一見しただけでは購入をためらってしまう作品である。
テキストで語られるストーリー、マス目を移動するだけの冒険に、オートで進むバトルシステム。
10年以上前のPCブラウザゲームのような見た目だが、このゲームを見過ごしてはならない。
ブラウザ経営RPGの面白い箇所を抽出し、今に通じる内容に仕立て上げた経営RPGの佳作なのだ。
プレイヤーは錬金術師。錬金の力で、何もないところから王国を作るのが目的である。
しかし、最初は資源も何もなく、建物を建てることすら不可能。
ではどうするかというと、錬金術の出番である。
画面の「錬金」ボタンを押すたびに、ちゃりーん。金が増える。
▲微妙に連打が効かないのがストレスだが、面白くなるまでの通過儀礼と思って我慢して欲しい。
金が貯まったところで、「建築」で建物を建てる。
「倉庫」を建てると資源をためられるようになり、「採集」が使えるようになる。
▲条件を満たすと、新しいメニューが表示される
で、採集で石や木をためて、さまざまな建物や道具を作っていき、だんだんと王国を発展させていくのだ。
鍛冶屋ならアイテムを作成できるようになり、家なら職人(国民)が増え、建物を作るたびに新しい要素が増える。この時期はかなり楽しい。
また、農地や製粉所などを作ると、職人を割り振って資源を生産できるようになる。
食料を生産するバランスと、資源を生産するバランスを考えるのが悩ましい。
▲配分された職人は、一定時間ごとに資源を生む。
さて、そんな生活も「訓練所」と「酒場」ができると一変する。
訓練所ができると冒険者を雇い、領土を広げられるようになるのだ。
▲冒険に出るときはパンを持たせるのを忘れずに。
冒険に出ると、四角いマップが表示される。黒い場所は未探索の場所、建物のある場所はイベントのある場所だ。
なお、冒険者が1マス歩くたびパンが消費され、パンがないときに2~3マス歩くと全滅。食糧事情がシビアなので、序盤は本当に2~3歩しか歩けない。
▲バトル中にパンを消費するとHPが少しだけ回復するため、常に余裕を持ってパンを持ち歩くのが攻略のポイント。
で、なんとか建物にたどり着くと次はモンスターが待っている。
モンスターとのバトルはオートなので、勝てないときは絶対勝てない。
戦術よりも、戦力を高める経営力が要求される。
そして、モンスターを倒すと建物はプレイヤーの領土になり、森なら伐採所が建てられたり、鉱山なら鉄を生産できたり建物に応じた効果がある。
冒険して戻って、資源を集めて成長し、また冒険して……と、このサイクルがとても楽しい。
最初は10個程度のパンしか持ち歩けないので、目に見える範囲を探索することになり、とてもセコセコ冒険することになる。
しかし、皮や布などの資源を持ち帰って鞄を製造すると所持品が20、30と増えていき、だんだんと未知の世界が見えてくる。
▲どんどん製造物が増えていく。
鉄や皮を確保できるようになると、訓練所で冒険者に装備を与え、クラスチェンジさせることもできる。
馬車を作れば、同時に複数の冒険者を探索に出せる。
世界が広がってくる感覚と、パーティーが成長している感覚が楽しいのだ。
少しずつ語られる情報をつなぎ合わせてみたり、ちょっとしたイベントを元にストーリーを想像するのも楽しい。
テキストと粗い画像だけ、ブラウザゲームのような見た目が良い方向に働いているのだろう。
ゲームとしても序盤は国が充実していく楽しさを前面に出し、中盤以降は冒険者が強化される楽しさに取って代わり、飽きが来づらい。
「錬金」連打も本当に再序盤だけで、少し進めると職人がお金を作り、寝て起きれば大金持ちになれる。
パーティーが全滅しても、一晩たてば復活できるのもいい(もちろん、プレイし続けても簡単に復帰できる)。
コツコツと成長するゲームが好きな方に、是非お勧めしたい1作だ。
評価:7(要チェック)
おすすめポイント
だんだんと成長するのが楽しい
素朴な見た目が想像力を刺激する
気になるポイント
錬金を連打するのが面倒
課金
拡張パック、2時間ブースト(なくても遊べる)
(バージョン2.5.24、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Mystic Castle (itunes 120円 iPhone/iPad対応)