かわいくて、オリジナリティがあって、面白い。パズルTD『プリンセスファランクス』レビュー
2種類のゲームを足し合わせると、ゲームが突然に面白くなることがある。
『プリンセスファランクス(プリファラ)』こそ、まさにそれだ。
馴染み深いスライドパズルとタワーディフェンスを組み合わせ、わかりやすくて奥の深い戦術性を実現。さらに、見た目も可愛いボクセルアートでとっつきやすい。
開発したのは、株式会社ヌゥト。携帯ゲームなどの移植を手掛けていたが、下請けで培った技術を結集した渾身の1作だという。
『プリファラ』は、3☓3マスの陣地に8体のユニットを配置して陣形を組み、敵から姫を守るディフェンスゲームだ。
敵は3回に分けて襲ってきて、これをすべて撃退するとステージクリアとなる。
1ステージに3回だけ「お姫様パワー」という全体攻撃&回復技が使えるが、それでもちょっと混乱するとすぐ姫が攻撃を受けてゲームオーバーになってしまう。
姫ユニットは仲間の回復能力を持つが、敵の攻撃を受けると即座にゲームオーバー。
そこで、プレイヤーは敵の侵攻に合わせて隊列を組み替える必要がある。
陣地には1マスだけスペースがあり、スライドパズルの要領で隊列を組み替えるのだ。
ユニット(タワー)をスライドパズル要素を加えているわけだが、これがとても良くできている。
スペースは1つしかないので、どこか1体のユニットを移動させたいときでも、他のユニットも一緒に動かす必要が出てくる。
最初は前列に戦士、後列に遠距離攻撃ができるアーチャーを配置して万全の体制で迎撃できても、他の方向から敵がやってくるともう大変。
戦士を別の方向に移動させ、そのついでに移動させたくないユニットの位置まで変わってしまう。
戦場の状況を常に把握し、状況に応じて隊列を組み直し続ける作業は難しくも楽しいのだ。
さらに、操作に慣れてくるとまた1段深い戦術を楽しめる。
例えば、単に隊列を整えるだけでなく、トラップを作るクラフト系のユニットを空いているマスに配置し、敵を迎撃する余裕が生まれる。
スペースに敵を誘い込み、複数のユニットで集中攻撃することもできる。
が、スペースに敵がいる間は隊列移動ができなくなるので、これは上級者向けの戦法だ。
そして、この戦術の深さを素直に楽しませてくれるバランスもまたいい。
序盤は簡単だが、少しステージが進むとすぐに難しくなり、瞬間の判断ミスが命取りとなる。
ステージをクリアすると経験値が手に入ってユニットが強くなるが、そのバランスも適正で、普通にステージをクリアしていれば、後半のステージでも通用するぐらいにユニットが強くなる。
基本無料でガチャはあるが、必要なユニットはゲームを進めれば手に入るし、ステージクリア目標を満たして「ジェム」を手に入れれば追加でガチャも引ける。
▲ユニットは、白、銀、金の文字の順にレアで強い。が、普通に進めれば金ユニットがもらえる親切設計。
ただ、使い続けているユニットしか成長しないので、ガチャで手に入れたユニットや、途中で手に入れたユニットを使うには育成の手間がかかる。
途中合流のユニットは使いやすくなるような配慮があれば、もっと良かったように思う。
その他、通信の多さ、UI面の詰めの甘さなど、気になる部分はいくつかある。
だが、全体として見ればそれも小さなこと。
『プリンセスファランクス』は、面白くて、遊びやすくて、オリジナリティもある良いゲームだ。
ヒット作のコピーばかりを作っている大手がある下で、こういったゲームを作れる会社が育っているのは嬉しい限り。
今後とも、株式会社ヌゥトは注目の会社になりそうだ。
評価:3.0(面白い)
おすすめポイント
+ わかりやすく、戦術性の高いゲーム
+ ボクセルアートのキャラクター
+ 独特のメッセージ
気になるポイント
-通信が多い。
課金について
体力、ガチャ、広告削除(480円)など。課金しなくても普通に遊べる。
(ゲームキャスト トシ Ver 1.0.2)
アプリリンク:
プリンセスファランクス -プリファラ- (itunes 基本無料 / GooglePlay)