
1993年に登場し、SNKの名を世に知らしめた出世作『餓狼伝説SPECIAL』がスマホに登場した。
このゲームが出た当時、私の中で『餓狼伝説』=『ストリートファイター2』の劣化パクリシリーズのイメージ(あくまで私の周囲のイメージ)があり、新作が発売されても誰も遊びに行かなかった。
が、SNKファンのKくんが興奮気味にやってきて、一言しゃべってすべてが変わった。
「今回は、ギースが使えるんだってよ!」と。
ギース……1作目から登場しているのに、ずっと操作できなかったボスが操作できるのか!

▲スマホ版は全16キャラ。最初から隠しキャラのリョウ・サカザキも使える。
しかも、ギースは業界初のカウンター技「当て身」を持っていた。
当て身とは、特定の技を喰らったときに強力な反撃をするが、それ以外の技に対して無防備になる危険な技である。
こんな感じで敵のパンチを受け流して……

そのまま投げる!
この、「お前の攻撃は最初から読めていた!」感。衝撃的であった。

▲今では普通だけど、当時は業界初で目から鱗。
ラスボスが使えるようになった上、業界初の技を使う!
どこぞの「サイコクラッシャー投げ」を使うせこいボスよりよっぽどカッコいい(ただし、当て身は弱かったのでギースブームは程なく終わった)。
そして、実際遊んでも今までの餓狼伝説より遊びやすく、キャラクターも多いので次々と友達がハマっていった。
私の中でも、このときにSNKがスト2のカプコンと並んで認知された。
実際、スト2が占領していた近所の駄菓子屋もスト2とガロスペが仲良く並ぶようになっていた。
本作は、そんなSNKの出世作(少なくとも、自分の心の中で)である。
前置きが長くなったが、このゲームはパンチ2つ、キック2つの4つボタンを使った格闘ゲームだ。
ゲームモードは、ストーリーモード、Bluetoothを通じた対戦の2つが用意されている。

▲必殺技ボタンを使うと、簡単に必殺技が出せる。
システム的な特徴は2つ。
1つは画面上の体力ゲージが減って点滅すると超必殺技が使えること。
スマホ版では体力ゲージをタップするだけで超必殺技が出るので、ゲームセンターで技が出なかった方でも安心して遊べる。

もう1つは、ステージに奥行きがあって自由に行ききできること。
手前と奥の2ラインが用意されており、目の前から強力な飛び道具がきても、ライン移動すればすべて避けられる。

スマホ版ならではの工夫として、ワンボタンで必殺技が出るSPボタンと、同じくワンボタンでライン移動攻撃をするLSボタンが加わっている。
また、本作は他のSNK作品よりもアナログスティックが使いやすい。
コントローラーに対応していないが、元々ゲームシステムがシンプルなのでタッチ操作に慣れたゲーマーならば連続技も出せるだろう。

▲iPadではスティックが巨大化するのでオプション画面でサイズを小さくしてやる必要がある。
エミュレーター系の移植なので、実物とも大きな違いはないはずだ。
そんな思い出を楽しむには十分な移植だ。
なお、前述の仲間内でのガロスペブームはある日突然に終わった。
Kくんがキムカッファンをマスターし、鳳凰脚(超強い必殺技)を自在に使えるようになったからである。
仲間内で一番上手いプレイヤーが、他のキャラクターより明らかに強いキャラをマスターして誰も勝てなくなり、対戦が廃れてしまったのである。

▲スマホ版はボタン1つで鳳凰脚を連発できるので、CPU相手に「俺TUEEEE!」するのにも向いている。
このゲームは完成度は高くないし、何も知らないプレイヤーが今からやるべきゲームでもない。
キムカッファンが強すぎるとか、ハメっぽい技があるとか、ライン移動でタイムアウト際に逃げられるとか、問題もたくさんあった。
しかし、それも含めて「当時は楽しかったなぁ」と思い出を振り返るためにはもってこいの1本である。
評価:2.5(価格通りに楽しめる)
おすすめポイント


気になるポイント

(バージョン1.0.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
餓狼伝説SPECIAL (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
動画: