あの、素晴らしい をもう一度/再装版 レビュー - 記憶を蓄積し、ループ世界を解くアドベンチャー、iOSに登場。
1999年に発売され、ループものの物語構造と独創的なシステムで人気を得たノベルアドベンチャー、『あの、素晴らしい をもう一度』。
本日はそのリニューアル版、『あの、素晴らしい をもう一度/再装版』を紹介する。
「ANOS(Advanced Novel Operation System)」は、主人公が体験したことをキーワードとして記憶し、過去にもどってストーリーをやり直せるシステムだ。
ループ構造の中で、主人公は何度も同じストーリーを繰り返す。しかし、プレイヤーが選んだキーワードが記憶に残っているので、その記憶に合わせて少しずつ物語が変わっていく。
当時のノベルアドベンチャーといえば、分岐の選択肢だけが物語の展開を変えるもので、ほぼ総当たりで選択を選んでいくものばかりだった。
そんな中で、記憶するキーワードとそのキーワードが有効に働く場所をプレイヤーが考えるこのゲームは斬新で、カルト的な人気を呼んだ。
ゲームは堕天使の呪いの影響で記憶喪失となった「過去の無い」男と、時間と共に過去の記憶を失う「未来の無い」少女の2人が出会ったところから始まる。
2人で協力して、協力して記憶を取り戻すことがこのゲームの目的だ。
途中まで、ゲームの進行は普通の分岐選択式のノベルゲームと変わらず、プレイヤーの選択によって展開が変わりながら進んでいく。
そして、1回目のエンディングにたどり着いてからがこのゲームの本番だ。
2周目からは、ANOS が使えるようになり、物語で登場した重要なキーワードが記録される【記憶管理ツリー】から、キーワードを自由に記憶し、物語の展開をかえられるのだ。
▲画面右上の【憶】の字をタッチして記憶するキーワードを切り替える。
例えば、ゲームの中で怪物に出会って、逃げ出したとする。
そのあとで、誰かから「あの怪物の弱点は××だよ」と聞くと「××」というキーワードが加わる。
3周目のプレイでは、怪物の出る場面でそのキーワードを記憶すれば怪物を倒せるというわけだ。
▲キーワードは物語を見ていれば勝手に増えるので、探す手間はない。
慣れないうちは面倒に感じることもあるが、話をしっかりと読んでいればどのキーワードをどこで使えばいいか大体は分かるようになっている。
一発で使うキーワードと場所がわかった時は気持ち良いし、自分で考えながら物語を読むことになるので、ゲームの世界を理解しやすい。
そして、この作業が快適にできる工夫も凝らされている。
既読の場所はスキップで瞬時に飛ばせるので、何度も同じ場所を見たり、正解を探してスキップが終わる時間を待つ必要はない。
また、1度正解のキーワードを選んだ場所ではキーワードを変更しなくても正解のキーワードが自動で選択されるので変更の手間いらず。
グラフィックは商業のゲームと比べると豪華さでは劣るが、そこは演出で補っていて雰囲気はまずまずだし、なにより物語が面白い。
記憶の足りない主人公と、記憶を失いうゆく少女の不安と葛藤が描写され、登場人物は不安感を煽るかのように会話し、プレイヤーを巧みに物語に引き釣り込む。
ストーリーにはやや古臭さを感じたが、それでも十分面白かった。
ただ、価格は1,800円と高い設定で、普通にプレイしても6時間でクリアできてしまう。
発売当時は画期的で斬新だったと思うが、今になってしまえばスマホの同価格帯のノベルアプリ『428 ~封鎖された渋谷で~』など、スパイクチュンソフトの作品群と比べると物足りなさはある。
しかし、同社がリリースしている同様のシステムのノベルをプレイしたことがなければ、価格通りには楽しめる作品だ。
変わったノベルゲームを遊びたい方は、試してみるといいだろう。
評価:7(要チェック)
課金について
なし
おすすめポイント
適度に考えさせらるやり直しシステム
物語に変化がない時は読み飛ばせるスキップ
続きが気になる物語
気になるポイント
ボリュームが少なめ
(バージョン1.0.1、GCドラゴン)
アプリリンク:
あの、素晴らしい をもう一度/再装版 (itunes 1,800円)
動画: