【技術の無駄遣い】iPhone5以上必須のハイエンド技術を使ったアイドル握手ゲーと出会う- iPhoneゲーマーな日々
このゲームの画面を見て欲しい。
なんの変哲もない、無料ミニゲームの画面に見えるだろう。
しかし、このゲームの推奨端末は iPhone5以上、iPad Air/mini Retina以上なのである。
プログラマーがよほどへぼかったのか?
いや違う。
このゲームでは、iPhone5以上が推奨になるほどの高度な処理が無駄に使われているのだ!
皆さんはこの画面から、何がすごいのか分かるだろうか。
ちょっと考えてから記事の続きを見て欲しい。
まあ、解答の前にこのゲームとの出会いを語ろう。
このゲームとは、海外掲示板で出会った。
「アイドルが握手するだけの『JP IDOL:Awakening』ってアホゲーがでるぜ!」と、騒がれていたのだ。
JP IDOL(日本のアイドル)がやることは歌うことでも演技することでもなく「握手」。
AKB商法は、海外でも有名らしい。
▲タイトルを日本語に直すと、「日本のアイドル:始動編」。
「よほど日本通の外人さんが作ったんだなぁ」と思いながら起動すると、「アイドル伝説〜飛翔編〜」と文字が。
これ、日本のゲームか!
で、ゲームはそのまま「握手会」ゲーム。
プレイヤーはアイドルの握手会の仕分け人となり、握手会にきたファンを左右に仕分けする。
最前列のファンが握手したいアイドルを見て、左右をタップするだけで簡単に仕分けが行える。
超高速で仕分けしていると、結構はまる。
制限時間が尽きると点数が発表され、ゲーム終了。
新聞風のスコア画面がややユニーク。
広告も自然に挿入されているので、いやらしさがない。
…結構シンプルでハマるゲームなのだが、このゲームのどこが iPhone 5 以上推奨なのかまったく分からない。
しかし、長く遊んでいると iPhone5s がかなり発熱するので、何かしら高度な計算をしているのも間違いなさそうだ。
で、この際なのでゲームに詳しい技術者に聞いてみた。
「このゲームは、リアルタイム計算の被写界深度を使っていますね。」
被写界深度とは、カメラレンズの焦点を再現する手法で、焦点が合っているもの意外はをぼかして見せる高等テクニックである。
ただし、計算にかなりのマシンパワーを食うので、『Infinity Blade III』などハイエンド系のゲームにしか実装されない。
これをやるゲームは基本的に iPhone5 以上必須になる。
▲背景がぼける演出。Infinity BladeではiPhone5以上でないと見られないようになっている。
それが、なぜかこのゲームの空に使われているのだ。
擬似的に被写界深度を再現してマシンパワーを節約することもできるが、そういったゲームは被写界深度の「境目のライン」が見えてしまう。
しかし、このゲームでは境目が見えない。
つまり、リアルタイムに計算しているのだ。
▲リアルタイム計算じゃないと、不自然な切れ目ができる。
しかし、それだけでは終わらなかった。
「太陽の位置や、光の散乱もリアルに計算していますね」
そう、現実世界の空は、太陽光の散乱によって色が変化している。
その物理現象が完全に計算されているようなのだ。
朝の時間帯は気持ちのいい青。
昼になるとだんだんと空の青が濃くなっていき…。
夕方になると自然な夕焼け色になる。
この切り替わりがとても自然で、物理的に光を計算しているのは間違いなさそうだ。
ここまでやっているゲームはまずない。
▲「レイリー散乱」や「ミー散乱」など、自然界の光の法則を計算しているっぽい。
すごい。
これなら iPhone5 以上推奨で納得である。
だが、これだけ頑張って表現されている空や被写界深度の表現だが…ゲーム中はまったく見ない。
なぜって仕分けゲームなので画面下にしか視線が集中しないから。
まさに技術の無駄遣い!
もっと言うと、これだけのことをしているのにアプリのサイズは8.9MBだけで、起動時間も超短い。
Unreal Engine などを使うとどうしてもアプリサイズが大きくなり、起動時間も延びるので完全にゼロから自力でこれらの表現を実装したことになる。
すごい匠の技だ…。
でも、ゲーム部分には活かされていない。
アプリリンク:
アイドル伝説 ~飛翔編~ (itunes 無料 iPhone/iPad対応)