『ジョジョの奇妙な冒険』以来、いい感じのゲームを連発しているバンダイナムコから、またもや期待の新人が登場した。
『太鼓の達人RPGだドン!』である。
正直、このゲームは「パチンコRPG」であって『太鼓の達人』ではない。
無理矢理に『太鼓の達人』要素をのせて客寄せしているだけで、ファンとしては微妙な気持ちになる物体である。
しかし、それでも見るべきところがある面白いゲームだったので紹介したい。
プレイして最初に驚くのは、太鼓の達人のキャラクターと、ゲームオリジナルのキャラクターの世界観が違いすぎることだ。
タイトル画面や初期に選べるキャラクターのイラスト、「見習い」という単語は『太鼓の達人』を前面に押し出している。
しかし、ゲームを進めてオリジナルキャラが出現すると、これまでの太鼓の達人テイストと異なる姿に驚く。
この女キャラは一体…。
レアガチャでは、太鼓キャラ【ちょうちんうなぎ】たちと、ゲームオリジナルキャラの【ルシフェル】たちが同時に出演している。
が、世界観が見事に噛み合っていない。
▲上段と下段の落差…。
名前も絵柄も方向性が違い、2本のゲームを無理やりくっつけたかのような違和感を感じる。
太鼓ファンがこれで喜ぶのか、と言われたら喜ばないと思う。
ともあれ、プレイヤーはこのキャラクターたちでデッキを組み、バトルに出撃することとなる。
バトル部分は(古い意味での)パチンコの仕組みを利用しており、玉の代わりに【ちびドン】を投入し、【ちびドン】が落ちた位置にいるキャラクターが攻撃するシステムになっている。
で、このちびドン投入作業がえらく楽しい。
というか、ちびドンがパチンコ台の中で動いている様子を見ているのが楽しいのだ。
面白さのキモは【効果ピン】にある。
この効果ピンは、視覚的、ゲーム的にプレイヤーを楽しませる、すごい仕掛けなのだ。
【効果ピン】はちびドンが当たるたびに特殊な玉を放出し、赤いピンならHPが回復、緑のピンならキャラの【スキル】発動に必要な【スキルポイント】増加、青いピンなら攻撃力上昇の効果を持つ玉を放出する。
この効果ピンが放出した玉の数でバトルの結果が大きく左右されるので、「当たれ!当たれ!」と画面を見続けるギャンブル感がまず楽しい。
さらに、画面中を玉が乱舞する様子が視覚的に気持ちよく、当たったときの爽快感をうまく増幅している。
そして、その面白さは【ストライク】システムでどんどんインフレする。
1回のちびドン投入で効果ピンすべてにちびドンを当てると【ストライク】となり、次回のターンは1本多く効果ピンが補充される。
多くの効果ピンが画面に出ると、より多くの玉が画面に放出される。
つまり、どんどん画面が派手になってより楽しくなる。
開始時はせいぜい10個のちびドンが画面にでるだけだが、バトル中盤になると20個、30個当たりまえ。
効果ピンから出る玉はどんどん増え、最後には100以上の玉が画面に舞い、攻撃力も天井知らずに上がっていく。
序盤は800ダメージだったキャラクターが、バトル終盤には10,000以上のインフレぶりだ。
バトルの数値と、視覚的な爽快感が一体になった演出を体験すると、一気にハマってしまう。
「当たれー!」と思いながらちびドンを投入し、じゃらじゃら出る玉を見て喜び、またちびドンを投入するサイクルから抜けられなくなる。
さらに、バトルにある2つのボーナスシステムもそれなりに機能している。
1つめは【炸裂ちびドン】。
パチンコで一定回数跳ねたちびドンは【炸裂ちびドン】となり、この【炸裂ちびドン】をタッチすると太鼓の達人本編のようなタイミングゲームが始まる。
これに成功すると、ちびドンが大量に空から降ってきて【ストライク】を取りやすくなる仕組みだ。
この【炸裂ちびドン】は任意のタイミングで使えるので、運だけのゲームになりがちなパチンコに「管理」の要素を作っている。
ただ、太鼓のミニゲームには蛇足感が漂う。
音ゲーのミニゲームをなぞっているのにバックに音楽が流れず、リズムを取る要素はない。
当然ミニゲームは面白くないので、別の形にして欲しかったと思う。
難しい操作もいらないので誰でも楽しめ、爽快感をずっと楽しめる。
以前、操作しているだけで楽しいゲーム『ディグディグ』を紹介したが、それに共通する中毒感を感じた。
緩く遊べて演出を楽しむ系のゲーム、『Peggle』や『ディグディグ』などが好きならハマるゲームだ。
随所に見られる『太鼓の達人』とオリジナルキャラの不整合や、序盤が楽しくない点、売る仕掛けが弱い点は気になるが、潜在力はかなり高い。
今後の調整と盛り上げ方次第では、人気タイトルになりそうだ。
アプリリンク:
太鼓の達人 RPGだドン! (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応)