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FINAL FANTASY AGITO インプレッション - 選ばれしプレイヤーしか遊べないFF

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なんと、あのFF最新作はスタミナが貯まっているだけ無料で遊べちまうんだ!…ということで、『FINAL FANTASY AGITO』を触った感想をお届けしよう。

このゲームの特徴は「大勢のプレイヤー全体の選択によってストーリーが変わるドラマ」なので、リリース初日の今は真の面白さはまだわからない。
が、現時点での感想は「プレイヤーをものすごく選ぶ普通のソーシャルゲーム」だ。

本作はPSPで発売された『ファイナルファンタジー零式』のスピンオフ作品で、ストーリーが直接つながっているゲームだ。
プレイヤーは救世主【アギト】になるため、魔道院で学ぶ学生となり、世界の危機に立ち向かう。

しかし、アギト候補生として学ぶ前に、プレイヤー自身にさまざまな試練が降りかかる。
最初の試練は端末の試練だ。
このゲームはiPhone5以上しか対応していない。
Androidでは機種が限られすぎていて、ほとんどのプレイヤーが弾かれる。

次にキャラメイクの試練。
プレイヤーキャラクターはどう作っても少女漫画のように等身の高いイケメンになる。
フツメンの存在を許さないので、男キャラにまったく感情移入できずに困った。
ここは好みが分かれるところだが、人を選ぶデザインだと思う。
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女性キャラクターはこんな感じ。
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キャラを作り、オープニングを終えると総容量2.6Gになるダウンロード地獄が待つ。
容量が足りない人も多いだろうし、待てずに投げ出すプレイヤーもいそうだ。
それを乗り越えてもまだ道半ばである。

このゲームが始まると「なんだ、このロード時間は!」となる。
画面が頻繁に切り替わり、そのたびにロードが細切れに入る。さらに、通信も多くてストレスになるのだ。
合成やメール画面、ガチャ画面など、全ての画面の移動に【寮】という画面を経由しなければならず、いちいちロード時間が発生する。
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さらに、画面の遷移が複雑なので、どこから何をすればいいのかとてもわかりづらい。
ガチャや合成画面を探すことに四苦八苦し、その間にも寮を経由してロードが頻繁に発生し、力尽きるプレイヤーもいるだろう。
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▲魔道院内の施設に、どんな役割があるのかわからない。そして複雑。

NPCとの会話は楽しいが、毎回通信が入るので面倒になる。
魔道院を移動する操作や視点切り替えの操作もやりづらい。
ロード時間に関しては設定でグラフィックの質を落とすと改善されるが、多くのプレイヤーは設定画面にたどり着かないでやめるだろう。

起動時の通信も長く、とても外出時にちょくちょくやるゲームではない。
というか、どっしり落ち着いていないとプレイできない、人を選ぶゲームだ。
プレイヤーキャラクターは選ばれたアギト候補生という設定だが、現実でも選ばれないと遊べない希有なゲームになっている。

で、そこを乗り越えられれば、普通に遊べる。
グラフィックはさすがスクエニで、かなり美しい。
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昼夜の移り変わりすらある。
魔道院でNPCと会話するとゲームの背景がわかり、世界観の作りこみを感じる。
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また、原作で仲間になったキャラクターたちには絆ポイントというものがあり、会話時に【ハニーサイト】を連打するとピンクのオーラが出て絆が増えて仲良くなれる。
キャラクターは中二全開だが、かなりキャラが立っているので気に入る人は結構いると思う。
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▲性別関係なくピンク!ちなみに、絆はバトルにも影響を及ぼすようだ。

学園物全開の「FFっぽくない」ノリだが、元となった『ファイナルファンタジー零式』と同じノリなので、FF零式ファンは納得の演出だ。
あくまでスピンアウト作品の続編なのでこれはOKだ。

そして、ミッションはフレンド2人と共にリアルタイムバトル。
フレンドキャラはオートで動き、プレイヤーキャラクターのみを操作できる。
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プレイヤーキャラはタップしたモンスターをターゲットとして自動で攻撃を行うが、手持ちぶさたということはない。
黄色や赤色の【ブレイクサイト】が出た瞬間にブレイクサイトをタップすると、モンスターに大ダメージを与えられるアクション的な要素がある。
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また、ミッションに入る前にプレイヤーは【アビリティ】を4つまでセットし、任意のタイミングで使用できる。
これは例外を除いて一定時間でチャージされて何回でも使用できる必殺技だ。
アビリティには効果範囲があり、キャラクターと敵の位置関係によっては大きく効果が変わるものもあるので、位置関係から目を離せない。

ただ、あくまで「ポチポチではないソーシャルゲーム」としては結構遊べるレベル。
買い切りRPGで同じような仕組みだったら楽しかったのかもしれないが、結局基本無料になった段階で段階を踏んで強くなり、敵とのバトルの駆け引きを楽しむ要素はなくなってしまう。
結局は「強い装備の者が勝つ」ゲームだ。

ただ、見るべき点もある。
1つはガチャが個別アイテムまで確率表示をしていること。
これはとてもいいことだと思う。同じレアリティのカードでも、多くのゲームでは輩出率が一定ではない。
欲しいアイテムがどれぐらいレアなのか知り、納得してお金を払える。
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もう1つは、普通にプレイしていればどんどん強くなり、成果が見えること。
バトルをすればCPが貯まってランクが上がり、ミッションをこなせばレアガチャチケットがもらえることもある。
やればやるほど成果が出るので、やり込み派のソシャゲプレイヤーは楽しめるだろう。

最後に言うならば、大勢のプレイヤーの選択によってダイナミックにストーリーが変化する面白さは、おそらくソーシャルゲームとしては初めての試みだ(PCのオンラインゲームではあったはずだが)。
そこが爆発すれば、強烈にプレイヤーを引きつけるかもしれない。
個人的には先が見たいので、まだまだプレイを続ける。

現在は作りが良くない点が目立つ。
しかし、大勢のプレイヤーがいる意味が「ランキングで競う」ぐらいしかないソーシャルゲームの中で、「大勢のプレイヤーで選択する」取り組みは野心的だ。
なので、まだまだ注目ゲームであることだけは間違いない。

アプリリンク:
FINAL FANTASY AGITO (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応)