オーシャンホーン (itunes 900円 iPhone/iPad対応)
開発:FDG Entertainment
評価:4.0(すごく面白い)
こまめに切り替わる多彩な音楽
鮮やかで美しいグラフイック
納得感のあるパズルと攻略が楽しいボス戦
王道ながらも先が気になるストーリー
日本語訳はいいが、単語に平仮名が多用されていて雰囲気を壊す(現在はアップデートで修正されている)
FFの植松信夫さんとパズドラの伊藤賢治さんが音楽提供し、ゼルダに似た雰囲気で2年前から注目されていた大作アクション、それが今回紹介する『オーシャンホーン』。
結論から言うと、900円という価格ながら数千円の専用ゲーム機のゲームをプレイしているかのような素晴らしい出来栄え。
比較対象がどうしても5800円などのフルプライスのゲームになってしまい、「これ、ゲーム機で普通に遊べたらなぁ」と思ってしまうのが最大の不満点というちょっと理不尽な思いを抱いてしまうほどの素晴らしいゲームだ。
まず起動してすぐ、画面の美しさにびっくりした。
光と影、色鮮やかな自然が表現されており、見た目だけでも気持ちいい。
海に出れば綺麗な青空に雲とそして水の表現も美しい。
物を叩けば質感通りに音がするし、木箱などは破片も飛び散る。
エフェクトも含めて抜かりがない。
▲岩からは「カン」というはじかれた音とともに火花が飛び散る。
シーンに合わせて音楽が切り替わり、それぞれ雰囲気にあった素晴らしいものとなっている。
曲数はスマホのゲームとしてはかなり多いほうだろう。
そして、ゲームの内容は敵を倒して様々な謎やパズルを解き、先に進んでいく王道のアクションアドベンチャー。
パズルは岩やブロックなどを運んでスイッチを起動したり、像を移動させて指定された形にするといった定番からその変形まで豊富。
仕掛けやヒントも適切で納得感があり、クリアできると達成感がある丁寧な作り。
見事に謎を解いて先に進むと新たなアイテムが手に入り、今まで見えていたのに移動できなかった場所に行けるようになる。
新しい場所が探索できるワクワク感。
▲爆弾を入手すると木箱や壁を破壊できるようになり、移動範囲が一気に広がる。
で、ダンジョンのラストにはお約束のボスも登場。
同時にストーリーも語られていきゲームをしっかりと盛り上げる。
ボスとの戦いもパターンを見切って倒したり、特定のアイテムやその場にある仕掛けを利用して倒すパズル要素があったりとアクションゲームの王道を踏襲。
適切にアイテムを活用すると難易度が下がる攻略も用意されており、プレイしていて楽しい。
そして、ボスを倒して情報を入手すると新しい島が出現し、船で行き来して新しい冒険の舞台へ乗り出せる…という寸法だ。
▲船パートは移動+シューティングという感じで息抜き的なニゲーム。
操作はタッチ向けにシンプルに構成されており、画面に指を置いてスライドするだけの移動と、アクションボタンとアイテム使用ボタンの2ボタンで無理なく操作できる。
基本的に多く使うのはアクションボタン。
人に近づけば話すし、ツボに近づけば持ち上げる、スライドしながら押せばブロックを移動させるなど万能ボタンだ。
▲会話できる場所に近づくとアクションボタンと同じマークが表示される。
何もないところでは剣を振る攻撃ボタンとなる。
アクションボタンを長押しすれば強力な回転切りが可能だ。
▲回転斬りを使うにはスタミナが必要だ。
アイテム使用ボタンでは、セットされているアイテムを使用できる。
アイテムは画面下に小さくある【item】ボタンで盾や弓矢、爆弾など別のものに変更可能。
さらに、魔法を覚えるとitem画面から使用できる。
魔法は「火の玉で敵を倒す!」などの直接的な力ではなく、手の届かない場所に物体を出現させたり、火をつけたりできるもので、基本的には謎解きに使う能力。
ここまでの説明でカンの良い方…いや、『神々のトライフォース』や『風のタクト』などをプレイしたことがある方は気づいたかと思うが、見た目こそ少し違うがゲームのノリはほぼ任天堂のゲームゼルダ。
ただ、単なるパクリと違うのは作りの丁寧さ、面白さまで任天堂に近い丁寧さで作られているところだ。
先ほど説明したとおり、謎解き、ボスバトルなどが丁寧に作られていて楽しいのはもちろん、単なる往復作業にならないようにマップ構成も練られている。
マップが便利で、迷うことも少ないし、宝の有無が表示されていて「なにもないのに探しまわる」というようなストレスもない。
▲ミニマップの宝箱アイコンは取得すると違うものに変化して状況がわかりやすい。
死んでもチェックポイントからすぐに復活でき、やり直しのストレスも最小。
各地に隠された宝を探す要素がありどこに行っても遊びがある。
ストレスが小さく、楽しみが詰まったとことん丁寧な作りだ。
▲ハートを探して、集めて体力を上げるのも楽しい。
さすがに本家のゼルダの伝説には及ばないが、ストーリーを楽しみ、謎を楽しみ、ボス攻略を楽しみ…
ゲーム機のゲームをプレイしていると言ってもいいほどの面白さ。
プレイ時間も10時間以上とボリュームもある。
唯一の難点は日本語訳で、「ぼう険者」とか「ま法」とか、難しい漢字を排除し過ぎて見ていて違和感があるものになってしまっている。
▲あとはページの切り替えもイマイチかな…。文字が小さすぎたりはみ出さないだけいいけども。
ただ、それすらゲームの素晴らしい出来と比べたら些細な事。
強いキャラを手に入れたいから、とにかく先に進めたいから遊ぶのではなく、遊びたいから遊ぶ。
「ああ、スマホでもこれだけのものがプレイできる時代になったのか」と、感慨にふけってしまった。
面白いアクションアドベンチャーがプレイしたいなら間違いなくこのゲームをプレイするべきだ。
追記:
リリース時は進行不能バグがあったが、アップデートでほとんどが解消されている。
また、日本語訳も違和感のないものになった。
GCドラゴン(ver1.2)
アプリリンク:
Oceanhorn (itunes 900円 iPhone/iPad対応)
動画: