運命の洞窟 THE CAVE (itunes 500円 iPhone/iPad対応)
開発:SEGA
評価:3.5(かなり面白い)
雰囲気の良いグラフィックと効果音
ブラックジョークたっぷりの語り
遊園地のアトラクションのように楽しめる
全てのエンディングを見るために繰り返しが面倒
秘めた思いを胸にする7人のキャラクターから3人を選び、願いを叶えてくれるという【運命の洞窟】に挑むアクションアドベンチャー。
ゲームとしては洞窟内で発見したアイテムを適切な位置に持っていくお使いだったり、仕掛けを動かして進むパズル的な内容で、そこだけを見れば普通だ。
が、遊園地のアトラクションのような語りがこのゲームを独特で面白いものにしている。
このゲームではプレイヤーが挑む【運命の洞窟】自身がしゃべる。
自分の体内(?)での出来事を、ブラックジョークたっぷりに、意味ありげに語るのだ。
例えば序盤のキャラクター選択時の説明。
「僧侶か…彼は師匠となる達人を探している達人となるために。彼の旅を満たすのは平穏と悟り…殺しだ、フハハハ、失礼。」
英語の意味がわからずともしゃべり方から皮肉たっぷりに言っていることは分かる、情感豊かなナレーション。
【運命の洞窟】の内部は、なぜかみやげ屋があったり、巨大な怪物が出没したりと非日常感たっぷり。
そんな中を洞窟の語りと共に見ていくと、気分は遊園地のアトラクション…例えばディズニーランドのホーンテッドマンションのような感覚にとらわれる。
▲洞窟というだけあって、全体に暗めな世界も雰囲気たっぷりだ。
ゲームのステージの作りもアトラクションを思わせるものとなっており、場面が切り替わるとそれまでとはまったく異なる世界がパッと出てくる。
暗い洞窟を抜けると、突然に陽気で楽しいアトラクションのような感じになったり、選んだキャラクターごとに固有の世界観があるステージがあるのだ。
▲洞窟を抜けたら…観覧車!?
洞窟も「この◯◯に挑むのかね?」的なお約束の脅しや、ブラックユーモアたっぷりな発言で場面場面を盛り上げる。
▲無限に生き返ることができることに対してのジョーク
で、遊園地のアトラクションでは途中で悪役が出てきて倒して、めでたしめでたしで終わるのだが、このゲームはそうならない。
キャラクターたちの秘めた思いが明らかになるとき、洞窟の語りは真価を発揮する。
▲キャラクターの背景は壁画(紙芝居)を集めることで判明していく
その秘めた思いに対して皮肉たっぷりにズケズケと語る洞窟の様子はエグく、心に突き刺さる。
プレイし終わったとき、心に何かを残す夢の国で終わらない大人の遊園地アトラクション。
それがこのゲームの魅力だ。
ゲーム自体は最初に書いたとおりオーソドックスなアクションアドベンチャー。
操作はちょっと癖があるものの、慣れれば快適。
移動・アイテムを拾う操作などはタッチだけで完結し、簡単なヘルプを読むだけで全ての操作がわかる。
▲水溜まりでバケツを持ってタッチすると「水の入ったバケツ」になるなど、アイテムの合成要素について解説がないのが強いて言えば残念。
アクションではきわどい操作は要求されず、謎解きは理不尽なものもなく、普通に楽しめる。
むしろ、ストーリーや演出を楽しむこのゲームならば、正解といえるだろう。
iPhoneなどの画面でも操作できて十分ゲームは楽しめる範囲で作られており、よく考えられていると思う。
▲画面が指で隠れて演出が楽しめなくなることなどもない。
唯一の難点は、繰り返しが面倒と感じてしまうところ。
1度のゲームでは3人分のエンディングしか見られず、7人のエンディングを見るには何度も最初からプレイして序盤からやり直す必要がある。
それがなければもう1段評価をあげていたかもしれない。
▲何回も序盤のイベントをやり直すのがちょっとつらい。
ストーリーや雰囲気重視のアドベンチャーゲームを探しているのであれば『運命の洞窟 THE CAVE』は間違いなくオススメのゲームだ。
なお、余裕があればPS3版などをプレイするのがオススメ。
理由としては音声まで違和感なく日本語化されており、プレイ中でも洞窟の語りを存分に楽しめるため(アドオンでいいので日本語音声が欲しい…!)。
また、友達と協力プレイができるのでやり直し部分もそんなに退屈に感じなくなる。
アプリリンク:
運命の洞窟 THE CAVE (itunes 450円 iPhone/iPad対応)
動画: