価格:1800円
開発:スクウェア・エニックス
評価:3.0(面白い)
FF4のストーリーを活かした演出
歯ごたえのあるバトル
ダンジョンマップが見づらすぎる
ストーリー重視の展開とアクティブタイムバトルの導入で“現代のFF”の基礎を築いた『ファイナルファンタジーIV』(FF4)がついに iPhone へ移植。
今回は2007年に発売されたDS版の移植で、iOSへの移植作業はDS版の開発を担当したMATRIXが引き続き担当。
『ファイナルファンタジーIII』でもDS版からiOS番まで担当しており、もはやスクウェア・エニックスとは安心のタッグだ。
DS版はグラフィックがフル3Dに変更されて話題になったが、実際に見てみるとFF4らしさは失っていない。
シリアスなストーリーに比べてキャラクターの等身が低く、子供っぽく見えるので違和感を覚える人もいるかもしれないが、当時のドット絵を元に起こした3Dという感じで雰囲気はバッチリ。
自分はスーパーファミコン版FF4のリアルタイム世代で、当時の先端を行くグラフィックとオープニングの演出に驚嘆したものだったが、その感動を壊さない作りになっている。
▲このあたりで涙が出そうな懐かしさが…。
3Dになったことで2Dではできなかったキャラクターの演技ができるようになり、ドラマに深みが生まれているのは3Dならでは。
イベントシーンでは声優による声がはいり、ドラマを見ているようだ。
▲声優は豪華なだけでなく、違和感もないと思う。
背景などはDS版の粗いグラフィックからRetina対応で描き直されており、十分な美しさ。
イベントなどで拡大されると粗さが見えるのが残念だが、難点と3Dになったことによる恩恵を差し引きしてプラスといった印象か。
ストーリー重視のRPGであるFF4には、こちらの方がマッチしていると思える。
▲離れているといいんだけどアップになるとさすがにキツイ。
気になるマップでの操作性はRPGの中でも良い方。
タッチした場所から指をスライドするとバーチャルスティックが出現するので斜め入力もやりやすい。
また、指がスティックから大きくズレると指の位置から動かした方向にそのまま移動してくれるので、指ズレも気にしなくていい。
▲実は指がスティックより上にあるけども、下移動している。
難点を挙げるとすればダンジョンはとにかく見づらいこと。
理由は見えている範囲がとにかく狭いから。
SFC版から考えると見えている範囲は半分以下で、マップなしでは洞窟を探索する気にはなれないレベル。
逆に、敵が出ない街なかだと迫力があって良いというメリットもあるのだが…。
▲全体MAP確認魔法サイトロの意味が出てきたとは言えるが…狭い。
移動しながらマップを表示させる機能もあるが、部屋が切り替わる時には瞬時に開けないし、宝箱の取得や戦闘毎に再度開かなくてはならず、頻度から考えると手間がかかる。
戦闘はFFシリーズおなじみのアクティブタイムバトル。
名前の右側にある行動ゲージが満タンになるとコマンド入力でき、入力後に行動に応じて一定時間たってから行動する。
▲アニメーションはテンポ良くできていてさすが。
コマンド入力は指を上下にスクロールさせてコマンド切り替え、タッチでコマンド決定。
ただ“たたかう”だけでも決定まで2回タッチしなくてはならないので少し面倒。
また、その面倒なコマンド入力中にも時間が進むため、操作がせかされる面がありなれるまでそれがストレスになる。
▲ボス戦では視点が変わる
ただし、その分オートバトルは普通よりもちょっとよくできており、オートバトルで使用するコマンドを事前に設定することができ、特定のダンジョン専用の設定をすることも可能。
▲たたかう、だけでないオートバトルが可能。
コマンド入力は面倒だが、ボス戦以外は簡略化できることを考えればまあ、ありか。
なお、ストアのレビューを見ると「テンポが悪い」という意見があるが、序盤を過ぎて仲間が揃うとコマンド入力が忙しくなり、調度良いテンポになるので心配しなくてもいい。
なお、バトルの難易度はかなり高め。
原作でもそうだったが、ボス戦は敵の行動パターンを知っていないと攻略が難しいものがあったり、雑魚相手でも油断している即死させられることもある。
ゲーム開始時に難易度を選べるが、ノーマルでも十分手応えがあるので、不安ならばノーマルで。
▲後半のボスは大抵初見殺し的な能力が多い。
その他、大きな特徴としてはDS版から追加されているデカントアビリティシステムがある。
特定の条件を満たすと特殊な“デカントアイテム”を入手でき、キャラクターに“デカントアビリティ”という追加の能力をつけることができる。
賢者テラの“思い出す”から四天王の“かえんりゅう”のようなコマンドから、“最大ダメージが9999”を超えるようになるというものまで内容はさまざまだ。
ただし、思うように組み合わせて戦術を変化させるものではないので、あくまでやりこみ要素の1つといったところ。
モンスター図鑑のコレクションや、図鑑データやデカントアビリティを引き継いでの周回プレイなどやりこみ要素もあり。
全体として見るとドラマの演出や戦闘の演出などのクオリティは原作よりもパワーアップしており、ゲームのプレイしやすさは原作よりも落ちるという感じ。
この部分で好みが分かれるところはあると思うが、1800円という価格であればお得、と言える移植に仕上がっている。
オールドファンはもちろん、初めてプレイする人でも十分に楽しめるはず。
評価は良い点と悪い点差し引きで3.5に近い3.0としたい。
iPhone / iPad どちらでもプレイにはそんなに支障はないが、グラフィックを気にするならば iPhone でのプレイがおすすめ。
構図的にも DS の画面が意識されているゲームなので、画面が小さいほうが詰まって見えるし、粗も見えない。
普段はあまり気にならないが、細かいところでときどき気になってしまう。
ワイドモードはオプションでOFFにできるので、iPhone5の場合は忘れずに。
アプリリンク:
FINAL FANTASY IV (itunes) iPhone/iPadの両方に対応