超水道さんは「iPhoneのノベルアプリを1週間で作る!」ことに挑戦し、ゲームキャストが出来るまでの様子をレポート。
今回はインターフェースと超水道が利用しているアルテミスエンジンのことを紹介する。
さて、イラストが完成するとスクリプトの作業がメインとなる。
アルテミスエンジンはiPhone/Windows双方でノベルゲームを作るアプリ。
制作はWindowsで行え、Luaスクリプト(簡易なプログラム言語のようなもの)というスクリプトでノベルを作ることができる。
- 説明書を読んでいけば半日で普通のノベルっぽいものが動くようになりますね。
ただ、ちゃんとしたものを作るにはそれなりに苦労します。
- これのおかげで、超水道ではろくにプログラミングもできないのにiPhoneでアプリが出せるわけです。
本当にありがたいと思っています。
- さらに凄いのは、落ちないことですね。
無理させない限り全然落ちないので、『落ちます★1』とかつかないのは素晴らしいですよ。
スクリプトはhtmlをちょっと複雑にしたぐらいで簡単に学べるが、きっちりしたものを作るには習熟や工夫が必要とのこと。
さらに、iPhoneで作るに当たってWindowsの違いにも気を使わなければならない。
例えばWindowsではwaveとogg形式のファイルが使えるけども、iPhoneはmp3しか使えないなど細かい点で違いがある。
超水道で特に気を付けていることはなんだろうか。
- それで言うと気をつけるのはメモリですね。
Windowsでサクサク動いていても、iPhoneに行った瞬間に凄い重くなってしまうことがあります。
- 森川空のルールではスタッフロールの背景で階段が動いているんですが、最初は8個画像を用意してスクロールさせようとしていました。
これはWindowsではちゃんと動いていたんですけども、iPhoneだとそんなにメモリがないのまったく動かない。
で、大きな1枚の画像を用意してひたすらループさせました。
- だいたい、iPhoneでメッセージウィンドウやボタンを表示して、キャラクターの絵を3枚出すぐらいが限界ですね。
凄い苦労するのは文章と音楽を同期させることなんですよ。
イベントと曲が同時に終わるようにしたいんですけど、メモリが足りないせいで画像を読み込んで、消してメモリを開放して、また読み込んでを繰り返して。
結構なんでもできるんですけど、iPhoneで見栄え良く作るにはノウハウが必要ですね。
上の画像がそのスタッフロール。
アルテミスエンジンで簡単に作れるようになっているため、作り手のセンスが直接反映されるようになっているということだろう。
『The 時給探偵~17時までの名探偵~』
Shadow Division
はやぶさ
LOOP THE LOOP 第一幕【飽食の館】
パンドラの子供たち
アルテミスエンジンで作られたノベルアプリは多くあるが、確かにどれも違った演出になっている。
(アイコンクリックでAppStoreへ)
さて、この日はシナリオの作業が進みつつ、インターフェースの会議が行われた。
- 1999年てことはimacあたりだから、ポップアップとそれっぽいアイコンを使うと面白くない?
ここまでのコンセプトは企画書にもあったので、すっきり全員の同意があって決まる。
が、ここからが長い。
- じゃあ、ボタンはキーボード風でどう?
- いや、アイコン風は?
イラストを元に山本すずめが試すが、いまいちしっくりこない。
- どうしてもノート風の画面にボタンやキーボードみたいなパソコン的なものが合わないかな。
またもや煮詰まる超水道の面々。
次第にテンションがおかしくなり始め、議論百出しているところでミタヒツヒトがポツリと呟いた。
- …ボタンっていらないよね。
現在、「しおり」「メニュー表示」「ギャラリー」「表紙に戻る」ボタンの4つがある。
ミタヒツヒトはそれがいらないと言い始めたのだ。
- ボタンがなくなれば文字を表示するスペースが増えるし、誤操作も少なくなるし。
フリックでメニューを表示できるようにして、チュートリアルで出し方を説明しよう。
「それっていらないよね」というのが超水道ミタヒツヒトの口癖だ。
超水道のこだわりはインターフェース。
「簡単であればある程よい」と言う哲学のもと彼がいらないと思ったものを切り捨てていくいう。
- 本気か!?
メニューボタンもないなんて、読者がメニュー画面を探して迷える子羊になってしまうじゃないか!
- 一応メニューの出し方はちょっと書いておくけど、今回は1週間ということで思い切って実験していきたい。
メニューの出し方がわからないという方も出てくるのかもしれないけど、そこはDLした人の評価をまとう。
こうして、今回はなんと表示スペース拡張と誤操作を防ぐメリットをとるためボタン」の表示を切り捨てることとなった。
さらに続く会議で今回はさらに1つのものが省かれた。
- メニューからクイックセーブ機能もいらないよね…。
- なんだって!?
セーブも出来ないノベルなんて、羽をもがれた天使のようなものじゃないか!
- 95%の人がメニューを開いてセーブする。
だったら、その人達のためにフリックやタップでメニューを開かずにセーブできるようにするようにするのが親切じゃない?
- 他のノベル系は全部やっているじゃないか!
スタンダードを外れるなんて、横並び大国日本ではとんだじゃじゃ馬RUNだよ!
こうしてメニュー画面からクイックセーブも省かれた。
- 目新しさというものではないんですよね。
機能的にすげー!ってのではなくて、使い勝手に関わって来る部分にはこだわりたい。
だから削るんです。
ひと通り終わって正気に戻った山本すずめが最後に説明してくれた。
そして出来上がった画面がこちら。
一切のボタンがなく、タップでひたすら読み進める純粋なノベルだ。
果たして使いやすいのか、それとも分かりづらいのか。
完成後ぜひみなさんに試していただきたい。
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