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レビュー:元ゲームはいいが、移植は0点 あやかしがたり

iPhone
タイトル:あやかしがたり
ジャンル:RPG
価格:600円
ディベロッパー:KEMCO | Version:1.0 | GameCenter:対応なし
あやかしがたりのDL・詳細はこちら(itunes)

評価:2.0(良くはない)
+王道展開のわかりやすいRPG
−画面や文字が細かくて見づらい
−移動の操作性が悪い上に、ダメージ床や隠し通路に入るため細かい操作が要求される
−タッチパネルにまったく最適化されていない
−敵のエンカウント率が異常
−キャラのグラフィックがRetina最適化されていない

携帯で人気を博した和風テイストの王道展開RPGだが、本当に携帯そのまま。
見た目は携帯、下手なタッチパネル対応で操作性は携帯よりもダウングレード
ゲームとしてはそこそこだが、それ以前のところでつまずいている。
KEMCOはアルファディアの移植でも同じようなことをしてしまい、後に大幅アップグレードで修正しているが、そのときの教訓を何一つ生かしていない。
ゲームの根幹は悪くないが、600円という定価を考慮して評価は2.0とした。
115円ならRPG好きは遊んでみてもいいかもしれない。

和風王道RPG
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少年主人公が悪を討つ、一本道の王道のRPG。
和風テイストを前面に押し出しているグラフィックが特徴。
フィーチャーフォンで人気を博したRPGの移植で、実際にゲームシステム部分だけを見るとしっかりした作りで、その人気もうなずける。

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戦闘は最大4人まで参加可能。
「気合い」という要素があり、気合いを貯めて敵を倒すと獲得経験値が2倍になる。
仲間の職業は『酒場』で好きに決められるドラクエ3のようなシステムを採用しており、プレイヤーの好きなように戦術を立てられる。
『転職』で覚えた技をそのままに職業を変えることができるのもドラクエ3そのまま。
術に弱い敵や通常攻撃に弱い敵などの敵にメリハリがあり、きっちりとした調整がされているので単なるパクリではない。

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マップ上で迷わない作りに、親切な説明、徐々にできることが増える展開など、王道RPGのツボは一通り押さえており、その上に「これまでの物語の説明」機能などの親切機能、「サブクエスト」などのやり込み要素を持っている。
はっきり言ってシステムだけなら言うことはない。


携帯からのダメ移植例
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しかしながら、このゲームのiPhone/iPod touch版をプレイするのはつらい。
まずは見た目。
キャラクターのバストアップはRetinaではぼやけて見えるし、携帯の画面サイズを引きずっていて画面をフルに利用できておらず、全体に文字が小さくてみづらい(スクリーンショットより、実際のiPhoneの画面では小さくみえるはずだ)。

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そして、バーチャルコントローラーの操作性も悪い
フィールドが携帯サイズの細かさで描画されている中を操作性の悪い十字キーでちまちま歩く苦痛。
しかも、ダメージ床やら細かい操作が必要な隠し通路があったりする。
その上、敵の出現率はすごい高くて操作ミスしている間に敵が出ようものならストレスマックス。

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戦闘中のアイコンやメニューはいかにもタップで選択できそうだが、そういった最適化は一切なし。
(戦闘に限らず)全ての操作は十字キーと決定ボタンで行う。
画面を見やすくする配慮か、バーチャルコントローラーが一定時間で消えてしまう設計のため、その度に画面をタップして表示し直す必要がある。
戦闘の1ターンが終了する頃には消えているので、毎ターン無駄手間。

…と、このように携帯機からまったくタッチパネルへの最適化を行わない仕様。
グラフィックから画面レイアウト、操作性までiPhoneを意識しているとはまったく思えない
元のゲーム自体は悪くない。
だが、移植は0点だ。


今後のアップデートで救われる事に期待
「アメリカに住んで、日本人の妻をめとり、中華料理を毎日食べる」のが一番の幸せ、「日本に住んで、中国人の妻をめとり、アメリカ料理を毎日食べる」のが一番の不幸、とは本当かどうかはさておき昔からあるお話。
これを携帯ゲームに当てはめるなら、「小さくて手軽に取り出せるハードで、物理コントローラーの操作性で、携帯向けのゲームをプレイする」だろうか。
あやかしがたりは「小さくて手軽に取り出せるハードで、最適化されてない操作性で、携帯向けのゲームをプレイする」という1つ食い違ったパターン。

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よくよく考えれば、最悪の相手と結婚するのも、最悪の料理を食べるのも、他が良くても辛いには違いない
ゲームなら操作性だけでプレイする気も失せる。
幸い、KEMCOはアルファディアをきっちりアップデートした実績があるので、うまく修正してくれる事を期待したい。
物語を記録してくれる親切機能があるし、アップデートがきた頃に思い出してプレイすればいいのだ。
元のゲームは悪くないのだから。