『N.O.V.A . – Near Obit Vanguard Alliance』がなければiPhoneでゲームをすることもなかったので、このブログができた原因とも言える会社。
今回はなんと、日本法人の社長に直接インタビューすることができた。
ゲームロフト株式会社とは?
様々なジャンルのゲームを網羅している、今さら説明するまでもないぐらいのAppStoreゲーム大手。
バグも少なく、アップデートもきっちりしていて安心感のあるメーカー。
画像はiPhone 2010年ゲーム大賞、スポーツ部門で1位をとった「レッツ!ゴルフR2」のもの。
公式HP:http://www.gameloftjapan.com/
Twitter:http://twitter.com/#!/gameloftJapan
Facebook:http://www.facebook.com/gameloft
トシが見るゲームロフト
誰もが知っているAppStoreゲームの大手。
スポーツからRPG、アクションまで中規模以上の本格的ゲームをあらゆるジャンルを網羅して販売しており、
AppStoreのリーダー的存在。
セールといえばゲームロフトというぐらい定期的にセールをしており、存在感もトップクラス。
そのゲーム内容としては2種類が存在する。
1つはライセンスもの。
親会社のUBISOFTのゲームを多く移植し、これらのゲームはたいていは非常に良くできている。
もう1つは家庭用ゲームで人気のジャンルを真似たもの。
家庭用のゲームをモバイルに持ち込むという意味では新しいことをしているのだが、一方で家庭用でヒットしたゲームの類似品をまったく捻らずに出す姿勢にはちょっと疑問を感じるところがある。
徹底したゲームエンジンの使い回しのためか、「あれ、この内容は前のゲームでも…?」など同じジャンルの作品をプレイすると首をひねることも。
ただ、個々で見ていくとグラフィック的にハズレはなく、動作しないこともなく、アップデートもしっかり
していて安心して買えるメーカーと言えるだろう。
インタビュー回答者: ゲームロフト株式会社 代表取締役 アレクシー・グレゾヴィアック氏 フランステレコムでライセンス関連事業(日本のゲームだとテクモの零を買って欧州販売に関わる)の仕事をした後、ゲームロフト入社。2004年4月からゲームロフト株式会社の立ち上げから今にいたるまで日本法人で活躍する。 |
ゲームロフト株式会社社長に訊く
ゲームロフト株式会社について教えてください。 ゲームの開発などは行っていますか? また、行っていないとするとその可能性はありますか? | |
現在、日本のゲームロフト株式会社では、プロダクション部、ビジネス部あわせて25名ほどのスタッフが働いています。 開発に関しては現在、日本で最初から最後まで開発しているというタイトルはなく、日本ではローカライズ(ゲームの翻訳作業などを行い、地域に合わせた内容にすること)をメインにを行っています。 基本的には世界中の才能のある人材でチームを組み、一つの場所に集約させずに開発を行い、世界中に配信しています。 あらゆる好みに応えられるよう、できるだけ幅広い種類のゲームを世界に向けて配信することが弊社の方針であり、このラインナップの豊かさこそが、弊社の力です。幅広い選択肢があるということは、ゲーマーの皆さんに喜んでいただけることと考えています。 |
昨年のシャドーガーディアンのグラフィックはかなり驚かされました。 今年はやはり、3GS以前を切り捨てたハイエンドゲームにシフトしていくのでしょうか。 (↑シャドーガーディアン) | |
今後新しいiPhoneがでてくることもありますし、より良くきれいなものを実現していくためにクオリティが上がってきています。 よりよいゲーム体験を提供することはより高い品質を目指すことになるので、結果的に一番初めに発売されたモデルなどには対応しないゲームになっていく可能性があります。 | |
今年はそういった新しいゲームが多くなってくる年ということでしょうか。 | |
そういった方向性というのはロジック(不可避)だと思っていまして、我々のゲームをプレイする方も新しい端末を持つようになっていますので。 |
これから出るゲームでおすすめのものを教えてください。 | |
これから出るゲームでは『スペースフロント:Collision 』、『レインボーシックス:Shadow Vanguard』があり、ゲーマーの方には「レインボーシックス」がとてもおすすめです。 初めて「レインボーシックス」シリーズ(※戦略を重視したFPSシリーズで、海外では非常に有名、タクティカルFPGというジャンルで見るとAppStoreでは最初のゲームになる)がiPhoneに登場すること自体が非常に引きがあると思いますし、タクティカルFPGというジャンルも他にあまりないのでゲーマーの皆さんにも楽しめると思います。 もう一本に関してもゲーマーさん向けで、ゲームキャストBlogの読者さんにゲーマーが多いなら、この2本は期待していただいていいと思います。 (↑レインボーシックスのムービーより、画像クリックで元ムービーへ) ゲームロフトのゲームをプレイした方でなにか違うゲームをプレイしたい方がいればまた別のゲームロフトのゲームをプレイしていただければ安心してクオリティの高いゲームをプレイできると思います。 もちろん、レースで気晴らしをした後にFPSをしたいとなったら戦争系から「N.O.V.A」のようなSFもありますし、「レインボーシックス」はタクティカルFPSですし、『スプリンターセル コンヴィクション』などもあり、ゲームロフトで全てのジャンルを網羅している状態ですので、どんなかたでも自分の好みのゲームが見つかると思います。 |
ゲームロフトには『ヒーローオブスパルタ』 (以下、HoS)のようなモチーフが分かりやすいゲームが多いですが、ゲーマーとしてはiPhone界屈指のノウハウで完全オリジナル作品を作ってくれることを期待してしまいます。 ゲームロフトが何か他のゲームを連想しないオリジナルのゲームを作ることはありえませんか? | |
今ゲームロフトは年間50本ぐらいのゲームを出しており、「アスファルト」シリーズのような自動車メーカーのライセンスもの、「スプリンターセル」などUBISOFTのライセンスものがあり、それらはやはりライセンス元の意向を反映するものとなります。 その他、私たちが「ジャンルのゲーム」と呼んでいるゲームがあります。 HoSはアクションというジャンルになるし、インフィニット レガシーはRPGというジャンルになります。 (↑インフィニットレガシー) RPGはファイナルファンタジーなどの大作から始まった歴史があり、RPGというジャンルでゲームをつくろうとなると、魔法があって、魔術師がいて、剣で切る仕組みがあってと、結果的に似てきてしまう。 それぞれのゲームは違うようにつくっていますが、どこかしらなにかしら似ることになるのは避けられないと思います。 |
また、HoSについて言及いただいたのでそれについてもお話しします。 私どもとしてはそれを一種のトレンドと捉えておりまして、ハリウッドでもグラディエーターやスリーハンドレッドなど中世ギリシアがはやったというのがあり、God of warをつくる会社もあり、その中で弊社はHoSをつくろうと思ったわけです。 コーエーもギリシャ神話から発想を得た真三国無双をつくろうとしていました。 それは一種のトレンドであったと思っています。 (↑ヒーローオブスパルタII) サッカーやレースなどジャンルごとにゲームを作っていると何かに似てしまうんですが、ゲームロフトは今、全くオリジナルのゲームを開発中です。 何も詳しくは言えないんですが。 | |
もう一点なんですが、あるゲームが、他のゲームに似てしまうということは、どこでも起きていることで、第2次世界大戦を舞台にUBISOFTはブラザーインアームズ、他の会社だとCall of Duty、メダル・オブ・オナーがあり、 モダンワーフェアが時代を変えてきたら、他のメーカーも変えてきました。 最近はトレンドが近代戦になってきて、ゲームロフトとしては「モダンコンバット」シリーズを出しています。 |
いま出ている中で一番おすすめのゲームについて教えてください。 | |
まずは、リリースされたばかりの最新作『セイクリッド オデッセイ:Rise of Ayden - Gameloft』、それから、12月に出たタイトルが我々としてはおすすめです。 『インフィニット レガシー』、『N.O.V.A. 2 Near Orbit Vanguard Alliance』、『Shadow Guardian』、『Dark Quest 2』、『アスファルト6:Adrenaline』などはどれも意欲作です。力を入れて開発しました。 N.O.V.A2は見た目もきれいで、遊んだ時の感覚がタッチパネルの良さとか、ジャイロスコープとか、RetinaとかiPhoneの機能をフルに使っているのでおすすめです。 まだまだiPhoneのFPSなんて認めないというようなFPSファンの方も多いですがんですが、それでもN.O.V.Aシリーズは楽しんでくれているという方が多いです。 |
ゲームロフトは2009年末のN.O.V.Aで一つの基準を打ち立て、2010年も多彩なジャンルで市場をリードしてきました。 ゲームロフトが2011年、何を見せてくれるか、我々は期待しています。 2011年の見通しと展望を語ってください。 | |
2011年もリアルサッカーなどやはりシリーズものが展開していくと思っていて、アスファルトなどもずっとだしていますし、シリーズは展開します。 それに加えて完全にアイデアとして新しい物も開発中で、これも2011年のラインナップに加わりますし、それ以外にも技術的な部分で面白い驚きを用意していますので期待してください。 |
AppStoreでの値下げについて聞かせてください。 ゲームロフトには値下げについての哲学などはありますか? EAなど、大手企業が次々と値下げを行うことについてどう考えられますか? | |
我々も、世界レベル(のインタビュー)でこれに答えているものもありますが、これは異常だと思っていまして、1つの会社であれだけAppStoreを占拠する事態が異常だと思っています。 我々としても12月は『インフィニット レガシー』や『アスファルト6 : Adrenaline』などの力を入れた新作を出していたので、訴求が難しかったというのがあります。 彼らのセールそのものが問題だったのではなく、50タイトルもの数をセールしたのが問題だったのだと思います。 我々は今、iPhone/iPod touch/iPadで100以上のゲームを出していますが、セールをする際はタイトルの数を限って行っています(※2010年のクリスマス商戦ではiPhone/iPod touch向けだけで14タイトル値下げ)。 我々がセールを行う理由は、iPhoneのゲームを買ったことがない方の敷居を下げることを目的にしておりまして、価格を見て迷っている方に初めて(値下げした)ゲームを買っていただき、そのあと「こんな面白いゲームがあるんだ」と、次からは新作でゲームを買っていただき、市場全体を広げることを目的としております。 これは競合他社さんも同じだと思っています。 |
現在のAppStoreのアプリの値段について何か思われることはありますか? | |
セール以外の価格についてですが、価格については常に適切な価格が付けられていると思っています。 ゲームの内容がよければ、相応の値段で売れると思っています。 我々は600円のゲームも、もっと高いものも販売していますがそれぞれ売れています。 ゲーマーの方というのは、自分が好きなゲームを自分で知っていて、そういったゲームが出たときにすぐ買ってくれているものだと思っています。 |
Mac向けのゲームを発売しますか? また、それはiPhoneやiPadと連携するでしょうか。 | |
MacApp Storeがオープンしましたが、どうなりますか? 我々はすでに『レッツ!ゴルフ2』など2作品をリリースしています(※日本語は出ていません)。 今後も既に十数本のリリースを予定しています。 Macの方が大画面で見られることもあるので、時間はかかると思いますけども、強力にMacAppStoreをサポートしていきます。 基本的には最も良いゲーム、良いシリーズを出していこうと思っていて、それをできるだけ早く出したいと思っています。 もう今期にも新しくてもっときれいなゲームが出てきます。 iPhone/iPadとの連携ですが、今のところ各ゲームが独立しています。 が、将来的にはゲームロフトライブを介してどちらのゲームの人も一緒に遊べるようにしたいと思っています。 ゲームロフトライブは非常におすすめでして、マルチプレイヤーの一緒にゲームする仲間を探すことも、友達のスコアを確認したり、アチーブメントを確認したり出来ます。 ゲームロフトライブに人数が増えるほど、我々もそれに対応したゲームをどんどん出していくと思います。 |
そういう連携というのは、レッツゴルフ2をiPhone/Mac間で一緒にプレイできるとか、例えばインフィニットレガシーがMacで出たら、Macでプレイして、ゲームロフトライブにデータを送って、iPhoneでプレイできるとかそういう形でしょうか。 | |
コミュニティの進化のしかたによりますが、方向性としてはそちらだと思います。 バックアップストアが始まったばかりなので、時間はかかると思いますが、少しずつそちらに進んでいっていると思います。 |
日本ではiPhoneが300万台以上(※ちょっと古いデータ)と言われておりますが、世界的に見ると小さな市場と言われています。日本市場というのはゲームロフトにとってどんな市場でしょうか? | |
日本市場も世界市場もどちらもiPhoneの市場としては大きいと思っています。 特にiPhoneの台数としては300万と言いましたが、もっとあると思いますし、勢いのところをみると、市場はすごく発展していると思います。 iPhoneでしかゲームが出来ないと思いがちですが、iPod touchを持っている方は非常にゲームをしていると思っていまして、特にiPhoneのような契約がないのでより若い方々がゲームをしていると思っています。 |
ゲームロフトのゲームを楽しみにしているプレイヤーに一言お願いします。 | |
読者の皆様には、まずは沢山の良いゲームが今後も出てきますので楽しみにして欲しいといいます。 そして、それまでは前に出たゲームでも良いゲームがたくさんありますので、新しいゲームが出るまでそれで楽しんで欲しいと思います。 |
インタビューを終えて
初の直接インタビューということで、緊張して至らない部分も多かったが、なんとか終えることができた。
まず、考えたのがゲームロフトが「完全なオリジナル」と「技術的に驚かせるもの」を作っているという意味。
今まではなりふり構わずの拡大路線だったのが、徐々に大手路線になって来ているのかもしれない。
過去も、家庭用ゲームの移植はスマートフォンとしては最高峰だったが、そのゲームロフトのノウハウの結晶がオリジナルとして生まれるのだ。
期待はいやが上にも高まる。
また、一部はカットしているのだが、iPhoneのゲーム市場全体の成長を非常に気にしているという姿勢も好印象。
2009年がiPhoneに家庭用ゲームを持ち込んだ年、2010年が規模を押し広げた年、そして今年はゲーム会社として幅が広がる年と言えそうだ。
2011年もゲームロフトはトップランナーとしてAppStoreに君臨するのは間違いない。