レビュー:潜入アクション Splinter Cell Conviction
タイトル:Splinter Cell Conviction
ディベロッパー:Gameloft
プレイ時Version:1.0.2
ジャンル:潜入アクション
価格:600円
敵の目を逃れて潜入し、ミッションをこなすステルスアクション。
家庭用ゲームからの移植だが、オリジナルの要素をかなり取り入れつつもプレイしやすいアクションになっている。
難点がないわけではないが、タッチパネルでも遊びやすい好移植になっている。
人気潜入ゲームの移植
主人公は元米国特殊諜報機関のエージェント。
娘の死因を調査しているうちに、衝撃の事実と倒すべき真の敵を見つけ出し、困難なミッションに身を投じるというストーリー。
「レッドオクトーバーを追え」などで知られるトム・クランシーがストーリーを監修しているのもウリの1つだ。
基本的には潜入して情報を掴む・何かを手に入れるなどの目的が与えられ、それをこなす潜入アクション。
圧倒的な警戒の中をかいくぐり、目的を達するステルスアクションを楽しめる。
多少リアル系に寄ったメタルギアの親戚というと少し雰囲気が伝わるだろうか。
海外では非常に人気のあるシリーズで、最新作ConvictionがiPhoneに移植されるということで当時はだいぶ話題になった。
実際発売されてみるとグラフィックはなかなかで十分雰囲気が出ている上、1人プレイのゲームシステムをほとんどiPhone上で再現していてさらに驚かされた。
潜入アクションの面白さ
主人公はそこそこ超人だが、それでも大勢に見つかるとすぐ死んでしまうので「ひたすら隠れながら進む」潜入アクションがメインとなる。
物陰に隠れるのはもちろん、壁を登ったり、窓の下を伝って移動したり、と隠れて移動するための豊富なアクション要素。
自らの目で覗き込むだけでなく、カメラボールを使って通路の先を覗き込んだり、警備室を乗っ取り監視カメラから映像を見るなどの情報収集要素。
迷路のようになっていたり、上下に移動して隠れられる広く変化に富んだマップでこの2つを駆使し、死角から射殺したりタイミングをはかったりと敵に勝てる状況を作る(もちろん、戦わずにやり過ごせればそれがベストだ)のがこのゲームの醍醐味だ。
さらに、独自のシステム「ラスト・ノウン・ポジション」(最後に発見した場所)も特徴的。
これは敵が自分を最後に見つけた場所が白い影となって残り、敵はそのそばを中心にこちらを見つけに来るというもの。
少しだけ敵に姿を見せたあと、ラスト・ノウン・ポジションに近づいてくる敵の背後をとったりやり過ごしたりと戦略的な行動が取れる。
上手に潜入するのは難しいがパズル的な楽しみとアクション要素が上手に合体していて後半に行くほど楽しめる。
ただ、場所によっては障害物に隠れながら普通に銃撃戦をすることもある。
銃撃戦はFPS的な操作だが、いざ戦闘になると敵を盾とる非常なエージェントならではの戦術もあり、それはそれで楽しめるようになっている。
ストーリー部分だけが残念
ゲーム自体に関しては拷問での叩きつけ感や群衆などヴィジュアル的に負荷の高い要素はばっさり削られているものの、ただ削ったのではなく必要な箇所以外を無理なく削った感じの好移植。
マルチプレイヤーはないが、1人用のゲームをうまく落とし込んだ上にiPhoneオリジナルのボートステージが1つ追加されており、ボリュームもそこそこある。
だが、残念なのはストーリーが把握しづらいということ。
一部のシーンや説明が完全になく、特に「傭兵時代の回想部分」はなにも説明がないのでストーリーの繋がりが分からなくなる。
私自身、iPhoneACさんが指摘するまでまったく意味がわからなかった。
さらに付け加えると回想部分は「戦場の回想」なのでだいぶFPS気味になってしまっているので「潜入アクション」を期待しているユーザーは回想部分を楽しめない可能性があるので注意。
後者はゲームの味としても、ストーリーのフォローを文字でいれてくれるだけで全然違うはずなのだが…。
それでも、欠点はそれぐらいで値段通りには楽しめる良作と言えるだろう。
メタルギアをiPhoneでやりたければコナミのガンシューティングでなくこちらをどうぞ。
トシの評価(5段階)
ゲーム的な移植はかなり良いのに、ストーリーが飛ぶという基本的なところでミスしているのがほんとうに残念。
個人的にFPSステージはいらなかったのだが、そこは好みだろう。
ある程度完璧に潜入して音もなく敵を全滅させる楽しみもあるが、ある程度有利になったら姿を現して戦うこともできるので、そういった意味ではゲームが得意でなくてもやっては行ける。
ただ、本当に楽しむためには敵の動きなどを計算して積極的に楽しもうという姿勢は必要なゲームだ。
以前にアバターのレビューでゲームロフトのアクションはエンジンの使い回しで動作・ステージの仕掛けが似てしまう傾向があり、楽しめないことがあると書いたが、このゲームに関してはアクションの目的が「障害物を乗り越える」ではなく「潜入」なので気にならないのも良い。
荒はあったがゲームロフト、ひいては親会社UBIの本気が感じられた1作。
総合:3.0(面白い)
+潜入アクションの面白さ
+豊富なアクションがあるが操作しやすい
-ストーリーが把握しづらい
-FPSステージは好みが分かれる
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