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狂気のこだわりが作る新しい体験『Song of Bloom』レビュー。僕らはこのゲームに何度も気づかされ、何度も驚く

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『Song of Bloom』というゲームは、2019年12月末に登場した怪物であり“新しくも奇妙な体験”だ。
ゲームを多く遊んでいると新鮮味が薄れ、「あ、この系統のゲームは前に見たな」と思うことも多いだろう。
しかし、このゲームはスマホのために作られた新しい体験で、多くのプレイヤーにとって未知との遭遇になりえると思う。

実際、私はこのゲームが理解できず「これはゲームなのか?」と頭をひねった。
そして、内容を理解するほどに何度も発見を楽しみ、狂気の作りこみに驚き、最後には感動してしまった。
『Song of Bloom』というゲームは、2019年に登場したスマホゲームの中でも逸脱した作品で、試すべき作品だと断言できる。

ゲームを起動して最初にプレイヤーが見るものは、抽象的アートとポエムだけ。
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画面をなぞると血が滴るような線がひかれ、ホラー作品のようにも思えるが、結局は何も起きない。
そして、最後までポエムを再生すると、また最初に戻ってしまう。
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▲画面の左上を押すと初期状態に戻ってゲームがループする。これだけ覚えていればゲームは遊べる。

多くのプレイヤーはここで1回立ち止まって悩む。App Storeにもここでアプリを投げ出して「意味不明だった」と★1をつけるレビューも見られる。
実際にその様子を動画でお見せしよう。


勘の良い方を覗き、初見では何も意味が分からないかもしれない。しかし、ビジュアルとサウンドが素晴らしいことは一見してわかるはずだ。この先に素晴らしいものがあると断言できるが、内容を知ると感動が目減りするとも思っている。だから、これ以上は説明しない。動画を見て直感的に良いと思えたり、「体験が素晴らしいゲーム」を探し求めているなら、この先を読まずにこのまま下記のリンクからアプリを購入して欲しい。
また、このゲームはアート寄りで、万人向けかと言うとそうではないと思う(ゲームキャストの点数はライターの「楽しかった度」なので私は10点満点をつけている)。100人がプレイしたら50人ぐらいは「すごい!」と感動し、30人ぐらいが「楽しめた」となり、20人は「意味不明」となるかもしれない。それでも、250円で半分ぐらいの確率で「すごい!」と思えるならお得だと思って勧めている。
アプリリンク:
Song of Bloom (App Store 250円)

さて、恥ずかしながら、この記事は私の敗北の結果だ。内容を深く説明せずに誰もが興味を持ってくれる文章を書きたかった。しかし、昨年12月から「これは」と思える記事が完成せず、結果としてゲームキャストに新しいゲーム紹介記事が出せない事態に陥ってしまった。もうこうなると、ネタバレしても書くしかないという白旗だ。この先にはかなり内容に踏み込んだ紹介がある。それを見るのもいいだろう。



よいだろうか。



この先は完全にネタバレを気にせず書いていく。『Song of Bloom』は素晴らしい謎解きゲームだった。
それも、こだわりに満ちており「特別に素晴らしい」と断言できる作品だった。

何よりも驚くのは文章……いや、ポエムへの狂ったこだわりだ。
ゲーム起動後に表示されるポエムは、何周かループして見ると「繰り返しアートを鑑賞して“*”マークを探すゲームですよ」と読めることに気づく。
つまり「ポエムそのものがチュートリアルの役目をはたしている」ことに気付く謎解きになっているわけだ。
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この時点では、「退屈なチュートリアルを謎解きにして、うまくやったな」と思っていた。
が、ゲームを進めるほどにポエムに隠された謎が判明し、絶句するしかなかった。
ゲームを進めるたび、ポエムが別の謎解きのヒントになり、物語になり、同じ文面のまま意味だけが変わっていく。
最初にチュートリアルを担ったポエムが、プレイ中ずっと意味を持ってゲームの中心に存在し続ける。
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そして、最後にはプレイヤーの思考と一体化し、壮大なエンディングを導く。
『Song of Bloom』の文字には、ほとんど無駄がない。
ひと続きのポエムに、チュートリアル、ヒント、ストーリー、これだけの意味を持たせられるのかと驚くしかなかった。

もちろん、『Song of Bloom』の良さはポエムの構造だけではない。
ヒントを見つけて先に進めば、毎回まったく異なる風景が展開し、プレイヤーの眼を楽しませてくれる。
新鮮な謎があり、謎を解くとご褒美が得られる王道パズルの仕組みがある。もちろん、新しい風景もまた意味不明で、謎の一部で、プレイヤーに驚きをもたらす何かだ。
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細部を見ても、信じられないこだわりの産物となっている。たとえば、本作には端末のデザインに合わせて画面が変化する場所がある。固有の機能ではなく、文字通りスピーカーの位置だとか、電源スイッチの位置だとか、“端末のデザイン”に依存した場所があるのだ。
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▲iPhone11、iPhone X、iPadにiPad Pro……ある場所では、どの端末で遊んでも画面のデザインは変化する。

現在『Song of Bloom』はiOSのみのリリースで、Android向けは「検討中」という段階だ。
それは、膨大に機種があるAndroidでは納得いく調整が難しいからだと、容易に想像できる。
本体デザインすら取り込んだ、恐ろしいまでの作りこみの集合体。
それが、『Song of Bloom』だった。

そして、そういった仕掛けやこだわりに驚き、進めると最後にもう1つ驚かされる。
人によっては、『Song of Bloom』のなかに、スマホだからこそ映える、スマホのための物語を見つけ出すことができるだろう。

「スマホだから成り立つ謎解きゲーム」は、iPhoneが登場してからいくつも登場した。
だが、スマホだから成立する謎解きに、スマホでしか成立しないストーリーをかぶせたゲームはこれだけではなかろうか。

『Song of Bloom』を遊べる端末を持っていることは、幸せだ。ここまで紹介してしまうと結構なネタバレではあるのだが、ここまで説明した内容を確認するために『Song of Bloom』を遊ぶ、というのも楽しい遊び方の1つだと思う。iOS端末を持っているなら、試して損はない。

概要:
スマホだから成り立つ謎と物語のアプリ。言葉、演出、すべてに狂ったようなこだわりが見られる

評価:10(名作)

おすすめポイント
インパクトある映像
素晴らしい音楽と音
何重にも意味を持つテキスト
スマホだから成り立つ物語と謎

気になるポイント
アート寄りでプレイヤーを突き放している
一部の謎は難しい(末尾に攻略動画を乗せたので、どうしてもとけなければどうぞ)

アプリリンク:
Song of Bloom (App Store 250円)

開発:Philipp Stollenmayer(ドイツ)

HP:http://www.kamibox.de/songofbloom
レビュー時バージョン:1.0.1
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中
動画:

 コメント一覧 (6)

    • 1.
    • 2020年01月27日 12:05
    • このゲーム、最高でした。iPadのデザインでちゃんと対応していた。
    • 2. かいました
    • 2020年01月27日 16:51
    • 5 納得の出来。
      癒されました。
    • 3. ほえほえ
    • 2020年01月28日 12:26
    • 一気にやってしまいました。

      iPhoneの機能もうまく使い、次はどんなギミックが?
      と楽しめました。

      たしかにAndroidでやろうとすると、機種ごとの対応がえらいことになるので、どうするんでしょうね?
    • 4. 666
    • 2020年01月28日 13:20
    • 知ってる方いたら教えて頂きたいんですが、シャンパンのところのwho are you?とか読めない文字とかって意味ないんですか?


      隠し要素とかもなしですか?
    • 5. 魔
    • 2020年01月29日 19:29
    • >“端末のデザイン”に依存した場所がある
      これがヒントになって詰まった個所を突破出来ました。
      DSあたりのハード機能をフル活用したゼルダの謎解きみたいでしたね。
      チュートリアルがファミコン時代並みに突き放した作りでわかりにくい点を除けば完璧だと思います。
    • 6. 眠り
    • 2020年09月03日 05:02
    • > DSあたりのハード機能をフル活用したゼルダの謎解きみたいでしたね。
      自分もDSのゼルダやウィッシュルーム思い出しました。あとはフリーゲームの星探なんかも。
      本作のプライヤーを飽きさせない豊富な映像のバリエーションはすごいです。

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