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『I AM BREAD』とのコラボが決定した鹿シミュレーター『DEEEER Simulator』作者に聞く。コラボの経緯、バズりの工夫は?

ごく普通のシカ……に見えるものが、破天荒な動きで動き回り、街を破壊する『ごく普通のシカのゲーム:DEEEER Simulator』。
Twitterで動画を投稿したところバズりまくり、1月29日にクラウドファンディングで資金調達を開始するや即座に目標金額を達成。
さらに、世界一有名な食パンシミュレーター『I AM BREAD』とのコラボまで(まだ発売前なのに!)決定。
いったい、どんな人がゲームを作っていて、何を考えてTwitterのバズりを作っているのだろうか?
今回、大学をやめてまで本作の開発に乗り出したという阿部さんに少しお話を伺ってみた。

nama
本日はよろしくお願いいたします。
阿部さんにどうしてもお聞きしたかったのですが、大学を辞めてアプリ開発者になったというのはどんな経緯なのでしょか。

01
大学中退と公表してますが正確には2017年の春に大学院進学と同時に休学し、1年後にそのまま中退しました。
休学中は「1年間ゲームアプリを作って、いけそうなら独立する」と決めて色々と作ってました。

nama
突然大学を辞めたのではなく、もともと製作のために休学していたのですね。
ss1
▲『すらぽん!』などのアプリを発表していた

01
ただ、年収が100万行かないくらいで、続けていても先が見えない状況でした。
しかし、昨年バズった鹿のゲームを作れておらず、これに最後を賭けたいと思い制作活動を延長しました。
貯金が今年の初めに尽きることが分かっていたのでクラウドファンディングを開始し、今に至ります。

nama
大学を辞めてゲーム制作に専念するには思い切りが必要と思いますが、周囲に止められたりはしませんでしたか?

01
止められはしませんでしたが、家族はゲームやインターネットを普段触らないので、自分が何をしてるのか謎で少し心配されてますね。

nama
生きざまに理解のあるご家族ですね……!
さて、そろそろゲームの話にしましょう。
そもそも『DEEEER Simulator』を思いついたきっかけは?

01
もともとキリンの首が伸びるパズルゲームを作ろうとしていたところ、良いキリンのモデルが見つからず鹿で代用しました。
そしたら丁度ツノがフックアクションに使えそうだ、ということで偶然の産物です。

nama
最初にバズったツイートですね。
フックアクションはスマホでも結構手堅いゲームが多く、十分あれで面白いものができたと思いますが……なぜ3Dに方向転換したのでしょうか?


01
2Dアクションゲームの難易度調整に自信がなかったのと、海外に伝わるように考えた結果です。
ジャンルが曖昧だと売れなさそうだと思い、タイトルに“Simulator”が付いていれば、ふざけたゲームであることが一瞬で伝わるのではないかと考えました。
また、いわゆるネタゲーなので、一本道のゲームを作るよりプレイヤーに行動を任せた方が面白そうだと思ってシミュレーターを選びました。

nama
あいまいだと売れない……ゲームを選ぶとき、内容にピンとこないものは手に取りづらい。
その点で『DEEEER Simulator』は、『Goat Simulator』の流れをくむネタゲーというのが一瞬でわかりましたね。
『DEEEER Simutator』はやっぱり、そういったネタゲーに?

01
街を破壊したり、動物たちの物理挙動を楽しむのがメインです。
なるべくゲームで完結せずシェアしたり実況するまでを楽しめるものに仕上げたいと思ってます。

nama
Twitterで見られた奇抜なシーンを、自分で操作して楽しめるわけですね。
そういえば、あのTwitterのネタはどうやって考え、バズらせていますか?


01
ネタは連想で出てくることが多いです。
何か面白そうなことが浮かんだらメモしておいて後で実装してます。

nama
コツコツやっているんですね。バズりに王道なし。
地味に実装しているのがエライ。

01
でも、結局溜めていたネタは全くウケず、適当に数分で作ったネタの方が好評なんで、考えるのをやめました(笑)
バズるコツかわかりませんが、何も知らない人が見ても分かりやすいネタが良い気がしてます。

nama
Twitterといえば、食パンシミュレーター『I AM BREAD』とのコラボもTwitterで決定したと聞きましたが、話せる範囲でコラボの経緯を教えていただけませんか。
bread23rr - 1

01
話せる範囲というか……。
海外版の鹿のアカウント(@DeeeerSim_en)で、告知の一環として外国のインディーゲーム開発者をひたすらフォローしていたとき、『I AM BREAD』を作ったBossa Studiosの人もフォローしていて。
先方から「鹿のゲームで俺たち笑ったわ。もっと知りたいから連絡してくれ」みたいなDMが来ました。完全に運ですね。

nama
プロモーションのためのフォローが奇跡を生んだと。

01
「ぜひサポートできることがあればさせて欲しい。
よかったら I AM BREADのパンとSurgeon Simulatorの手のモデルを使っていいよ。」
と。

nama
エライ投げっぷり。

01
『Surgeon Simulator』の手はどうコラボしたらよいか分からず検討中です。
良い案があれば教えてください(笑)

nama
『Surgeon Simulator』の中でも手術の時出てくる手……確かに使いづらそう(笑)
01
▲この手を、どうやってコラボに使用するのか!?

パンについてはどのようなコラボを考えていますか?

01
食パンに角を生やすか、鹿が食パンに張り付いて移動するかもしれません。

nama
面白いコラボネタ、楽しみにしています。
さて、ここまででクラウドファンディングの目標額を達成し、有名スタジオとコラボが決定するインディーゲームは話題になって、話題の面で順調といえそうですが……。
開発状況の話を聞いていきたいと思います。
そもそも、Twitterで出てきたネタはすべてゲームに実装されるのですか?

01
PVのものは実装できそうです。
UnityちゃんダンスやVRカノジョなどのパロディーはおそらく実装されませんが、もしかするとクラウドファンディングリターンのスピンオフゲームで実装されるかもしれません。

nama
ゲーム本編には、Twitterで発表されていないネタが登場するのでしょうか。

01
耳が痛い質問ですが、もちろんTwitter以外のネタも実装していきます(笑)

nama
クラウドファンディングに成功しても、リリースまで障害が多いと聞きますが……開発の方は順調でしょうか。

01
今のところ大丈夫です。
クラウドファンディングのときもそうですが貯金がなくなるなど背水の陣で動く人なので、締め切りがある以上、未来の自分はなんとかしてくれると思います...。

nama
では、ゲームも楽しみにしています。
最後になりますが、阿部さんが活動してきた中で「開発に乗り出すとき、こうすればいいのではないか」という教訓やノウハウを得ていたら、何か教えていただけないでしょうか。
「大事なことはすべてTwitterが教えてくれた」とか(笑)

01
ありがとうございます。
まだ完成していないのでアドバイスできる立場ではないですが、
“作れるもの”、“好きなもの”、“需要があるもの”、
この3つを満たすものを時間かけてでも探し出すのが良いかなと思ってます。
需要だけは自分では分からないので、Twitterを重宝しています。

あとは飲み会などで様々な開発者さんに会う機会が去年から増えましたが、twitterでは得られないものが沢山あったのでぜひリアルで人に会ってみて欲しいですね!

nama
ありがとうございました。
ゲームの続報も楽しみにしています。

以上。
本作は、2019年内に Steam でのリリースを予定しており、その後に iOS / Android 版が開発予定となっている。
まだクラウドファンディングは継続中なので、ゲームを応援したい方は出資を検討してみてはいかがだろうか。
その気になればゲームに出演する権利を購入することもできる。

関連リンク:
ごく普通のシカのゲームを作りたい!DEEEER Simulatorプロジェクト - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)