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あまりの過疎で争いが発生せず、平和になってしまったMMO戦争ゲーム『スカイフォートプリンセス』を記録に残したい - 終わったゲームを語る

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あまりにも人がいないため、対人のMMO戦略ゲームだったはずの作品が国経営のスローライフゲームと化してしまった。
2019年3月28日(木)15:00をもってサービス終了が発表された『スカイフォートプリンセス(スカプリ)』のことである。
このゲームはトラビアン系ゲーム(Game of Warのように大勢のプレイヤーが国と軍隊をもってリアルタイムに戦う大規模な戦争ゲーム)で、システム的にも良いところがあって好きだった。
が、限界過疎MMORPGは1人で楽しめても、戦略ゲームにはちょっと人を誘いづらい。かといって頑張っているゲームの足を引っ張るのも嫌だ。そのため記事を書いていなかったのだが、終了が発表されたところで記録に残しておきたい。

本作の特徴は間口が広い点にあった。ゲームのオープニングがテンポの良い漫画風になっていて、すごく凝っている。正直、これはサービス終了前に見ておく価値があるテンポの良さ。
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さらに、『プリンセスコネクト:ReDive』のような中華系ソシャゲRPGシステムを採用しており、(というか、大陸系ゲームなので本家だが)、毎日ミッションをこなしてキャラクターのかけらを集めて武将を育てる部隊育成システムが良かった。
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▲ただ、キャラクターに関してはガチャの要素は強め。

なぜかというと、部隊をRPG感覚で育てられたからだ。
兵士を訓練するといのはちょっと地味だが、RPGのようにデイリーミッションや1人用の迷宮(バトル)も充実しており、なれるまでの数日は1人で黙々と武将を強化できたし、それで楽しかった。
RPG的なノリでキャラ育成できるのは親しみやすく、この手のゲームの中ではすごく間口は広い仕組みだったと思う。
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面白いオープニングとRPG育成でプレイヤーをつかみ、慣れたら本番に移るわけだ。本番とは、広域マップの採掘場に軍隊を派遣して資源を集めたり、モンスターを討伐したりしてキャラクター育成のアイテムを取得したりする土地のとりあいだ。skyr-1

広域マップではほかのプレイヤーと効率のいい採掘場をめぐって争ったり、遺跡と呼ばれる宇うよう拠点を取り合ったりと、ここで初めてほかのプレイヤーと争う仕組みになっている。
これはもう、普通のトラビアン系ゲームと変わらない。
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▲マップに存在するドラゴンをギルドメンバーで狩ったりもできた。

独自要素で言うなら、日々の活動に応じて“投票券”が手に入り、サーバー中のプレイヤーの投票で王様が決定し、一定期間ギルドが強化される“国王システム”なんてのが面白かった。一定期間ごとに票集めのため各ギルドが会合を持ち、「俺に投票してくれれば、君のギルドは分け前をあげよう」と交渉が始まるのだ。
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▲たしか、これが1回目ぐらいの選挙結果だったはず……。

『スカプリ』は、こんな感じのゲームである。
もともと好きなトラビアン系ゲームの仕組みに加え、1人でもノルマをこなせばパワーアップが実感できるソシャゲRPGの仕組みがあり、やることのない平和な時期でも楽しく遊べるのでシステムがかなり好きだった。
ゲームに文句があるとすれば(ガチャに関する運営のミスなどを除けば)、バトルでの勝ち負けの理由がわかりづらかったことぐらいだろうか。sky-3
▲200の兵士が入り乱れるバトルは結構見ごたえがあった。でも、勝った要因がつかみづらかった。

ただ、そんな良さのある『スカプリ』は圧倒的な過疎で、ゲームが成立しなかった。
こういったゲームでは他のプレイヤーとの戦争で優位をとるため、目的のある者同士でギルドを組むのだが……開始3日目にして過疎がギルドに影響を及ぼしていた。
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1位:ほのぼの
2位:アクティブ募集。
3位:PvP苦手な方のギルドです。
4位:平和にのんびりと。
5位:ゆるくいきましょ

戦略ゲームなのに、上位ギルドがみんな平和主義。

そのまま下を見ていって、6位が「ゆっくり生きていこう」、7位が「リアル優先で楽しくやる」。
そして、10位のギルド“覇権”でようやく「スタートダッシュ」と好戦的な感じの方針になる。なお、その覇権はほどなくつぶれた。
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戦争しないギルドが上位9位までを占め、一等地を占領したら……そのゲームは戦略ゲームとして成立しない。
とはいえ、この手のゲームは時間とともに土地が足りなくなって戦争が発生するもの。ゲームキャストはさらに時間を待った。すると……。



あ、1位のギルドが「PvP苦手な方」に入れ替わった。
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普通のトラビアン系ゲームでは、時間が流れると限られた資源をめぐって争いが始まる。ところが『スカプリ』は時間とともに人が減り、土地が余り始めた。
過疎すぎて、誰も争わずとも、十分に採掘場やモンスター狩りができる。
適度に話し合って採掘場を譲り合い、戦争イベントではやめたプレイヤーの廃墟に観光へ行く。スローライフゲームになってしまったのである。
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▲燃えている城は、人がいなくなった場所。もはや、送り火である。

そう、いつの世も争いのもとは資源。しかし、資源が十分に足りていれば、人類は争わずとも生きていける。
限界の過疎は、PvPゲームを平和にしてしまった。
多分、RPG的な仕組みで戦争しなくて達成感があるのもこれを後押ししたと思う。だって、ちまちましているだけで楽しいから。

「おはよーございます」
「(現在所属する)上位10位のギルドが(チャットに)反応ない」
「うちくる?」

こんな感じで、日々ログインして、サーバーの人々に挨拶して、だんだん人がいなくなる限界集落で武将を強化するスローライフ。確か、これがリリース後半月の姿。
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戦争が少なければ、課金の動機もない。
運営の懐事情など分からないが、プレイしながら「これはもう、いろいろな意味でキツイな」と思っていた。
リリースの1か月後、10月12日にすべてのサーバーが統合されると人口密度が上がって、さすがに争いが発生し始めたのだが……。
すっかりスローライフに慣れ切った私は、戦争や政治が始まると面倒になってゲームをやめてしまったのだった(わがまま)。
これが、私にとっての『スカプリ』だ。

オンラインゲームでは、最低限のプレイヤー数を確保しないとゲームが成立しない。
それはわかっていたが、成立しないを乗り越えてゲームの面白さすら変わってしまうことがあるのだなぁ……と、『スカプリ』は私に奇妙な体験をもたらしてくれた。

ゲームシステムは結構好きだった(様々な問題はあったので、流行るかどうかは別として)ので、ゲームリリース初期に公式ページに「スカプリ」としか書いていなくて、「スカイフォートプリンセスでAppStoreを検索しないとアプリが表示されずに人が来ない」とか、「リリース初期にログイン障害でデータが消えて見えるバグ発生」とか、なければまた違う運命もあったのかなぁ……と思う。

とはいえ、自分としては少しの課金で1カ月以上楽しく遊べたし、トラブルはありつつ頑張った運営さんには感謝している。YOOGAMEがまた新作を出したら、とりあえず遊びはするだろう(でもサイレント修正はやめて)。
遊んだことがない方は、オープニングに一見の価値があるのでサービス終了前にどうぞ。

アプリリンク:
スカプリ (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)