ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

App Storeのアフィリエイトの歴史を振り返る。大役を果たしたアプリプログラムよ、安らかに眠れ

kokoro_pokkari_ana_man
Appleがゲームアプリのアフィリエイトを終了し、ゲームキャストも App Store で収益化する時期が終わるので、最後に Apple のアフィリエイトの歴史を、 App Store のアプリアフィリエイトに対するに墓標だと思って書いていきたい。
また、今後の方針や見通しは試しにNoteに書いてみたので、気になったら覗いてみて欲しい。
(ゲーム紹介は続けるのでご安心を)
まず最初に書いておきたいのはAppleに感謝しているということ。急すぎる告知には文句があるし、会社でやっている方々の悲鳴も聞こえるが、私は Apple には感謝している。

そもそも、ゲームキャストには「日本の商業メディアは企業側に立ちすぎているから、プレイヤー目線で正直にゲームを紹介したい」という意思があった。しかし、そんなサイトに広告を許可したり金を出す企業なんてない……そこでありがたかったのが誰でも使える App Store のアフィリエイトだった。

ゲーム個別のプロモーションではなかったので、好きなゲームを探して、好きなように書いてもOK。ゲームキャストが自由にゲームの感想を言えたのは Apple のおかげだ。
WS000004
▲スクエニとGREEからすべての取引を断られるの間違いなしな記事

悪く書きすぎることもあったし、反省すべき記事もあったと思うが、それらを乗り越えて今ではそれなりに嘘をつかずに、読者を失望させないように面白さを紹介できるようになってきたと思っていはいる。まだ未熟とは言え、ここまでこられたのは Apple の App Store アフィリエイトの力もある。そこにとても感謝している。

市場のルールは常に変わるので、ゲームキャストもそれに合わせるしかない。Apple には育ててもらった恩に感謝しつつ、次の仕組みを整えようと思っている。


さて、そろそろ思い出を語っていこうか。
Apple のアフィリエイトは、App Store や iPhone のプロモーションのために始まった。そして、終わる今になってみるとその役割は十分に果たし終えたと言えるだろう。
これが始まった2010年頃、日本はブロガーブーム真っ最中でブログを書いて自由に生きるノマド人生が流行って見えていた。私には成功したブロガーの教祖が子ブロガーを生み出して講座で儲ける商売に見えていて冷めた気持ちがあったが、ブロガーという生き方は確かにあったし、ブームが生きやすさ後押しして成功者も生まれていた。
ブロガーブームと iPhone ブーム、そしてアフィリエイトの存在が次々と iPhone系ブログを生み出し、初期の iPhone の勢いに貢献した。
WS000002
▲戦友、ごりゅご.com。iPhone系から始まってまだ生きている数少ないブロガー。

これは Android に対して圧倒的な優位を生み出した。Googleはアプリアフィリエイトを行っていなかったので、iPhone向けの紹介サイトが優先的に生まれて Apple が優位を得る。これはもう、アフィリエイトプログラムの想定の通りだ。
WS000001
▲最大の功績はAppBankというサイトを生み出したところにあるだろう。かつては「AppBankに載らなければAppStoreに存在しないも同然!」と言われるほど勢いを誇った。

しかし、その後におそらく Apple の想定外であろう事件がおきる。
『パズル&ドラゴン(以下、パズドラ)』の登場で無料ゲームブームが発生し、日本のゲーム紹介サイトを根本から変えてしまったのだ。無料ゲームは当然ながら、ダウンロードされてもアフィリエイトが発生しない。しかし、当時の App Storeアフィリエイトでは「該当サイトからアプリをDLして24時間以内のアプリ内課金」に対して、支払いが発生していた。
例えば、無料ゲーム『KUSO RPG』をゲームキャストからダウンロードしたプレイヤーが、24時間以内に『パズドラ』で大課金したとする。すると、ダウンロードしたのは『KUSO RPG』だが、もともと遊んでいた『パズドラ』の課金分のアフィリエイト収益がゲームキャストに入る仕組みとなっていたのだ(実際はそれを知らずにゲームキャストは乗り遅れたので悔しい)。
pd07

これが暴力的に儲かり、ゴッドフェスの前に人気が出そうな無料ゲームを紹介したり、ゲームをシステマチックに紹介してアフィリエイトリンクを踏ませるためのサイトが瞬く間に増えた。
有料ゲームはクリックすらしてもらえなくなるので、見向きもしないサイトが増えた。最終的には紹介サイトが増えすぎて飽和し、1サイト当たりの収益はそれほどでもなくなったのだが……一時期 Android ゲームサイトよりも iOSゲームサイトが多かったのはこういった事情にもよる。

これが問題だったのは、その後の Apple の行動を見ても察せられる。2014年になって Apple はアフィリエイト運営母体を phg に移して料率を引き上げたが、1つだけ修正を行った。それは、前記の「無料ゲームを紹介してから他のアプリ内で課金すると支払いが発生する」仕組みをなくしたことだ。
ゲームキャストは有料ゲームの料率が増えて少し潤ったが、この時期に収益源を立たれて多くのサイトが苦境に立たされて倒れ、実は今回のプログラム中止の影響を強く受けるサイトはデータまとめ系のサイトか、ゲームキャスト、AppBank程度しか残っていないだろう、と言うほど倒れた。

その後、Apple はアプリ内課金への支払いを復活させるのだが、ここでまた問題が発生する。
スマートゲームなど、「このサイトから課金すると一定額が戻ります」というサービスが生まれ、このサイトのリンクを踏んで課金を高額課金者だけを集めて課金額のキャッシュバックを始めたのだ。
WS000000
▲代表的なサービスと言うだけで、他にもいろいろあった。

新規アプリをプロモーションせず、無限に課金者から大課金の上前をはねるサービスに対する支出を Apple が見逃すわけもなく……アプリ内課金の料率は大幅に低下となった。
米国まで進出できたことを考えると、こういったサービスは事前に Apple の了解を得て何かしらの目的を持って行っていたのだろう。しかし、予想した成果が得られずに Apple が計画していた「アプリ内課金料率低下」に持って行かれたのだろうと推測している。

そして現在。Apple は「新しい iOS と macOS の App Store の開始により、Appの見つけやすさが一段と向上しました」と言い放ち、外部でアプリを見つけるサイトは必要なくなったとしてアフィリエイトは9月末で提供終了になることを発表した。
実際の所、App Store はひどいところだし、 App Store Search AD という自社の広告サービスを始めたタイミングなので、単に Apple にとって紹介サイトが邪魔になったタイミングでもあり、「ちょっとそれはないのではないか」とは思う。

とは言え、最初に書いたとおり感謝しつつ、最後の別れ方には「クソッ!」と思いつつ、プラスマイナスゼロな気持ちで次の手を探そうと思っている。しばらくは見苦しく足掻くと思うが、持続可能な収益体制を探すつもりなので、よろしければあがきにお付き合いいただきたい。

なお、ゲームがほぼ金にならなくなるので、ゲーム以外の記事が増える予定だ。現在は漫画系をどんどん増やそうと思っている。
51rKGjbOy4L
お勧めの漫画や書籍コーナーとか。