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見たこともない伝承の世界に足を踏み入れ、”知らない”を体感できる『The Mooseman』。ゲームは、これだからやめられない

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ゲームは非日常への入り口であり、ゲームを触ることは未知の世界を旅して楽しむことでもある。少なくとも、多くのゲームにその要素はあると思っている。
その旅という意味において、私の好みに完全に合致したゲームが『The Mooseman』である。
未知の土地をおそるおそる歩く体験から始まり、北欧の少数民族フィン・ウゴルの伝承神話を元にした神秘的な演出と壁画調のアートが心を掴み、民族音楽をベースにした音が心を震わせる。
このゲームは、未知を美しく描いた完璧な旅だ。

『The Mooseman』は、北欧、ロシア北方付近に暮らす少数民族フィン・ウゴルの伝承を元にしたスクロールのアドベンチャーである。
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暗く荒涼とした世界をバーチャルスティックによる左右の移動で進むため、ゲーム開始時のプレイには辺獄をさまよう有名作『LIMBO』のような印象を受ける。
もちろん、それは悪い意味ではなく、寂しい土地をさまよう体験を期待させるものだった。
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ところが、『The Mooseman』は『LIMBO』のクローン系ゲームではなかった。
画面下のボタンを押して主人公が仮面を被ると、寂しげな世界が一変し、白い精霊やエネルギー体が息づく精霊信仰的な世界に変化するのだ。
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基本的に、精霊は仮面を被っているときしか触れないし、見えない。
これを利用して、仮面を被って精霊に触れて道を切り開いたり、襲ってくる精霊を前に仮面を外して隠れるなどのアクションが発生する。
ゲームとして言うなら、仮面によって物質界と精霊の世界を行き来して進む謎解きゲームの一種となっている。
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▲仮面を被って精霊の橋を渡っている。仮面を外せば精霊に触れられなくなり、即座に谷底に落ちてしまう。

ただ、その謎は簡単で誰もが解けるものばかりで、ゲームのメインではなかった。
このゲームのメインは、知らないものを見て、感じて進む未知の旅にあったのだ。それは、風景だけにとどまらない。
例えば、恐ろしい姿の精霊が敵か味方かなんて、一見して想像がつかない。少なくとも、私には100%の判別はつかなかった。
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しかし、恐ろしい姿でも有益な精霊はいるし、逆もある。
普通のゲームではプレイヤーが見て判別できないトラップなんて言語道断だが、『The Mooseman』においてはそれも楽しみの1つになった。
馴染みのないものに対してその性質を推測し、恐る恐る近づく。それは、恐怖がないホラーゲームとでも言うべき体験だった。
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また驚くべき事に、精霊の世界と物質の世界は最後まで魅力的であり続けた。どれだけ進んでも、どこかには……。
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驚くべきアートや、未知の精霊があった。
プレイ中は一貫して「見たことがない」ものを楽しみ続けられた。
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そしてまた、未知の神話を感じる楽しさもあった。
本作は世界は死者の住む“地下の世界”に落ちた太陽を見つけ、生きるものが住む“中央の世界”、神の住まう“上層の世界”を通って空に浮かべる冒険で、その道中には宗教観を感じる描写がある。
うつろな人影が群れをなして歩く通路、魂が溶けるという沼、世界を隔てる川、いずれの場所にも何かの神秘的な意味を感じさせる、私に畏敬を抱かせた。
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それと同時に、私はフィン・ウゴルの伝承神話なんて欠片も知らないのに、この場所を「知っている」ような懐かしさも覚えていた。
日本の古事記
にある黄泉比良坂だとか、人類の根底にある共通の神話体験に重なるのだ。
知らない場所を、知らない民族音楽をバックに歩いているのに、そこに繋がりを感じる。これまた奇妙で面白い体験だった。
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私が海外の神話に明るくないとか、そういった素養もあるかもしれない。
しかし、少なくとも私は見知らぬ文化に触れ、その中を驚きながら、そしてどこか共感しながらさまよう体験ができた。
もう30も過ぎているのに、幼い頃頃に1人で見知らぬ土地に行き、不安と期待を同時に感じていたときと同じ感覚を何度も連続して味わうことができた。
そうしてプレイを続けておよそ2時間程度だろうか、ゲームを終えたき、なぜだかとても偉大な体験をした気がしてきて泣けた。

冒頭で、私はゲームに未知の旅を求めていると書いたが、まさに私にとって『The Mooseman』は完璧な未知の旅であった。
『The Mooseman』が誰にとっても感動する未知の旅になることは保証しないが、ほとんどの日本人にとって、このゲームは神秘的な旅になり得ると信じている。
およそ1/3程度は無料で体験できるので、まずは試して欲しい。

評価:9(傑作)

おすすめポイント
エキゾチックな民族音楽(音なしでプレイしてはいけない)
壁画風のキャラクター
神秘を感じる世界
ゲーム進行に応じて盛り上がる演出と音楽

気になるポイント
ゲームとしてはシンプル

アプリリンク:
The Mooseman (itunes 体験無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)

開発: Morteshka(ロシア
レビュー時バージョン:1.0.2
課金:フルバージョン240円(安すぎ)
公式ページ:http://www.mooseman.ru/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画:

コメント一覧

    • 1. ななな
    • 2018年04月25日 08:47
    • 言い訳しなくても、ほとんどの人にとってはまったく知らない世界だから良いのではないかと、余計なことを思いました。
      管理人さんほど感動しなかったけど、すごく良かったです。
    • 2. ああ
    • 2018年04月26日 21:18
    • めちゃくちゃ好きな世界観なのに仮面の付け外し方法がわからなくて詰んでる
    • 3. 管理人
    • 2018年04月28日 05:20
    • スマホ版であれば、画面の下部分にボタンがあるのでそこをタッチすれば仮面を外したり付けたりしますよ
    • 4. おーい
    • 2018年04月29日 18:22
    • 4 Neva Aloneってゲームが好きな人なら好きになる。
    • 5. パパ
    • 2018年05月04日 14:17
    • いきなり最初の怪獣で詰んだ(笑)
    • 6. 管理人
    • 2018年05月04日 14:49
    • ▼パパさん
      最初の怪獣(たぶん、クモ)は、床にスイッチが3つあって、特定の順番で踏めば倒せます。

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