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『LIMBO Game』世界300万本のゲームはiPhoneでも面白いか?

LIMBO GAME (itunes 500円 iPhone/iPad対応)
開発:Playdead
評価:2.5(価格通りに楽しめる) / iPad3.0(面白い)
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引き込まれる世界観
iPhoneに対応した操作方法
丁寧な作りの仕掛け
iPhoneだと画面が小さく見づらい
説明が一切なく、後半は気合がないと投げ出したくなる難易度の箇所もある
『LIMBO』はモノクロで不思議な世界の中で、主人公の少年が過酷なトラップをくぐり抜けていくアクションゲーム。
2010年にXBOX LIVEの配信を皮切りにPCとPS3に移植され、これまで300万本以上を販売している人気作品なのだが…iPhoneでプレイして「ゲームは面白いが、そこまで高評価になるゲームだろうか?」と疑問に思ってしまった。
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そこで、iPhone版クリア後に家庭用版をプレイしたところ「なるほど、これは評価が良いはずだ!」と感じることができた。
『LIMBO』の魅力とはなにか、そしてそれがなぜiPhoneでは感じられなかったのか。
今回は家庭用版とiPhone版を比較も含めて紹介して行きたいと思う。
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このゲームの魅力の1つは、そのゲーム内容そのもの。
物を動かしたり、不思議な生物の習性を利用してピンチを切り抜けたりと、その場にあるものや状況からトラップを避ける方法を探っていくのが楽しいパズルアクション。
ほとんどのトラップは主人公を即死させる恐ろしいものばかりだが、死んでも直前からやり直せるので試行錯誤して通り抜けていくのもあまり苦にならない。
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パズルの解法はできてみれば納得の物が多いし、最初のステージではゲームを解く基本が全てわかり、徐々に応用編に移る構成など、丁寧な作りで感心させられる。
ラストになるとかなり難しい箇所もあるが、トライ&エラーで謎を解くのが好きであればAppStoreの超安価な物理アクションパズルよりは確実にワンランク上のゲームを楽しめるだろう。
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操作方法に関しても、マルチタッチに対応した操作を発明していてこの手のアクションの中でも良い方だ。

そして、『LIMBO』のもう1つの魅力がモノクロで表現される世界観。
地獄のような雰囲気の世界は独特の空気を放っており、残酷な演出の数々はショッキングながらもプレイヤーを捉えて離さない。
このあたりはネタバレになるので詳しく書かないが、驚くような演出が各所にある。
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▲串刺しの少年、これは表現的にはゆるい方か。

効果音の使い方も秀逸。
音楽はほぼないのだが、水の音や草木の音、機械の動作音や足音は実にリアル。
プレイヤーの想像力を刺激するモノクロの抽象的な見た目に対し、リアルな雰囲気を醸し出すことに成功している。
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▲死体に群がる蠅、地面を歩く音など全て効果音がリアル。

プレイヤーに文字で与えられる情報はAppStoreの説明文1行だけ。
「運命に逆らい、妹を探して少年は LIMBO の世界に足を踏み入れる。」
ゲームを始めると少年が森の中で目覚め、操作説明もなくプレイヤーは操作方法から探していくことになる。
最近のスマホゲーの親切さに慣れきっていると、序盤で「わからん!」とやめてしまう可能性があるほどの突き放しっぷりだ。
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▲スタート、起き上がって説明もなく冒険が始まる。

だが、それは余計なテキストがなく、ゲームの世界観を損ねる演出は一切ないという長所でもある。
プレイヤーはゲーム画面に集中することを余儀なくされ、自然に『LIMBO』の世界観に入り込んでしまい、その魅力を味わうわけだ。
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と、シンプルながら納得感のあるパズルアクション、モノクロのグラフィックと残酷な表現による世界観の2つが自分の感じた『LIMBO』の魅力だ。
iPhone版は移植度は高く、家庭用と同じように解いていくことができる。
そしてタッチ操作もそこまで気になるほど悪くない。

では、家庭用のプレイとiPhoneのプレイで感じた差はなんなのか。
それはひとえに画面の大きさによるものだろう。
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『LIMBO』のゲーム画面は薄暗く、お世辞にも見えやすいとはいえない。
それは世界観の表現として行われており、ゲームがシンプルなので、大画面であれば画面が見づらいなかでちょうどいい難易度になっていた。
が、iPhoneの小さい画面では少年の細かい動きや小さなオブジェクトが見えづらく、世界観が最高の状態では伝わらない。
元々見づらい画面がさらに見辛くなり、トラップ見落としでのミスも多くなる。
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▲画面にはトラバサミがあるが…判別できるだろうか?

つまり、iPhoneの画面の小ささが『LIMBO』の魅力の両輪である世界観とパズルゲームとしての質の両方を少しずつ落としてしまうのだ。
これがiPhoneでプレイした時にハマれなかった理由だと思っている。

一方で、iPhoneならではのメリットはどうだろうか。
過去に「操作性が落ちたとしても持ち歩けることがメリット」と多くのゲームで自分は語ってきた。
しかし、同じ家庭用ゲームからの移植でも『XCOM:Enemy Unknown』は音が聞こえなくてもとりあえず戦術ゲームとして楽しめるが、『LIMBO』は世界観の比重が大きいので集中して静かな場所でやるゲームになっている。
また、後半は音が聞こえていたほうが解きやすい仕掛けもある。
なので、メリットよりもデメリットが大きくなってしまっている格好だ。
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▲暗くても家庭用の大画面TVではちゃんと見える。

移植度は高く、ゲームとしても価格相応に面白いのだが、スマホの小さな画面ではポテンシャルを生かしきれていない、というのが自分の評価。
残念ながら、iPhoneゲームとしてみると評価は3.0に近い2.5(価格相応に面白い)としておきたい。
iPadがあれば十分ゲームの世界観を味わえるので3.0(価格より面白い)か。

ただ、個人的にはPCや家庭用ゲーム機で遊んで欲しいとは思う。
強烈な残虐表現、モノクロのフィルムを見ているような感覚、それらを一番味わえるのは間違いなく大画面だからだ。

(Ver1.0 トシ)

アプリンク:
LIMBO GAME (itunes 500円 iPhone/iPad対応)

動画:


ちょこっと攻略
操作方法について
説明がないことがゲームの演出でもあるので、レビュー本文で触れなかったが、一応ここに操作説明を書いておく。
移動は画面のどこをタッチしてもOKな方式で、指を画面において動きたい方向にドラッグすればその方向に動くようになっている。
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動かせる物がある場合、その場で画面を長押しすると少年がその物に手を添える。
そのまま指をドラッグするとものを掴みながら移動できる。
物によっては掴んだまま押すことも、引っ張ることもできる。
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上方向のスワイプでジャンプ。
ロープに捕まっているときなどは左右のスワイプで左右のジャンプとそれだけの操作。
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注目すべきはマルチタッチに対応している点で、例えば右手で画面を長押しして物を掴んだ後、左手の指をドラッグして移動するような変則的な移動が可能。
これが非常にやりやすく、慣れると操作性で問題を感じることはほぼない。

ゲームセンターの実績について
ゲームセンターに登録していないと利用できないが、Xbox版と同じでステージ上にある光を取得することで実績を解除できる。
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▲歯車の下の白い光取得で解除。

実績の内容についてはゲームセンターで確認できるものの、はっきりと何をすればいいのかわかるものはなく、仕掛けを動かさないと見つけられないものがあるなど達成は困難。
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本作は既に他機種でリリースされているゲームなので、攻略や実績に困ったら動画サイトを利用するのもありだ。
下の動画はXbox版のものだが、実績を解除しつつクリアしている動画なので、ネタバレを気にしない人は活用してほしい。
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攻略動画: