Aviciiのために作られた空間を、Aviciiの曲とともに感じるアプリ『Avicii | Gravity HD』。ゲームを利用した”遊べるMV”

私が普段聞く音楽は非常に偏っていて、特にエレクトロ・ダンス・ミュージック（EDM）というダンス系の音楽なんかは遠い世界でしかなかった。
なんせ、みんなでダンスするパリピの音楽（※印象です）だから遠い。
が、2013年にリリースされたAviciiのプロモーションゲーム『Avicii | Gravity』は、そんな偏見を打ち崩して私を虜にし、私にAviciiのアルバムを買わせてしまったのだ。
昨日、2018年4月20日にAviciiが亡くなってしまったが、その追悼の意味も込めて思い出のアプリの2018年版『Avicii | Gravity HD』を紹介したいと思う。

ゲームを開始すると、Aviciiのヒットナンバーのイントロに合わせて三角チューブ状の道が出現し、船が前へと進み始める。
本作は、プレイヤーが障害物を避けるランアクションの一種だ。

が、その魅力はアクションではなく音楽とビジュアルに依存している。
ゲーム内の神秘的な風景がAviciiの曲にマッチしており、アクションと関係なく、道を進んでいるだけでこの世ではないどこかをさまようトランス感が得られるのだ。
冒頭でEDMはパリピの音楽などと書いたが、Aviciiは静かな熱を持ったダウナー系の音楽で、この世界に非常にマッチする。

人気のない街中、水中、遺伝子をモチーフにしたコースなど、6種類のコースはいずれもSFチックな魅力を持つだけでなく、ときに地の底のように静かで、ときにまばゆいばかりの光でプレイヤーを飲み込むように演出される。
このビジュアルを前にヘッドホンで遊ぶと、外界から隔絶されたかのような没入感を得られる。

しかも、BGMとコースは開始時に自由に選べるうえ、これらの組み合わせで難易度が変化することもない。
その日の気分で見たいビジュアルと共にAviciiの曲を聴ける“選んで遊ぶMV”となっている。

そしてアクション面はというと、左右にスワイプして道を120度回転させ、画面右に示される色と同じ色の“ピック”を取り続けるとスコアが増えてる仕組みになっている。
指定されていない色のピックを取得すると船が破損し、耐久力がゼロになればゲーム終了だ。

目の前の壁を上スワイプで破壊する操作が少し難しいが、三角形の道を進むシステムが珍しいため慣れるまでは少し難しいが、慣れてしまえば難易度は低い。

前作は難しい上にミスすると曲の音の輪郭がぼやけるので「曲を聴く前に終わる」などと言われたものだが、今作はAviciiのために特別に作られた空間を、音楽と共に見る要素を重視しているので、誰でも遊べることだろう。

▲HD版の幻想的かつ、SFチックな風景。ほんと、センスがいい。

課金要素は、追加楽曲とコース、船（船を変えるとゲーム内通貨などが手に入りやすくなる）の入手。
ただし、1種類の船をのぞいてプレイしていれば曲もコースもすべて手に入るので、課金の必要性は低い。課金するとしてもガチャなどはなく、良心的価格なので安心して買える。

まさにAviciiファンのためのゲームなのだが、1つだけ残念な点もある。
前作は実質上“Wake me up”専用に作られていたため、曲の盛り上がりとゲームステージのループの盛り上がりが一致するように作られていた。
しかし、今作はそういった作りではないので、曲と映像の一体感（あと、ゲーム的なやり応え）は前作の方が上だったのだ。もし、身近に前作を持っている友人がいるなら、ぜひプレイして比べて欲しい。

いずれにせよ、本作はAviciiファンのために作られ、Aviciiをより楽しむためのアプリそして機能しているので、ゲームと敬遠せずにAviciiファンの方はぜひ手を出して欲しいと思う。
そして、Aviciiを知らない雰囲気ゲーファンがAviciiを知るきっかけとしてもまたおすすめだ。

評価：5（楽しめる）

おすすめポイント