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魔法少女(物理)アクション『魔法少女クリティカル』レビュー。横スクロールアクションの古典的面白さを、スマホに翻訳した秀作

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魔法少女が異世界に召喚され、魔法の通用しないモンスターたちマジカルステッキで撲殺しながら元の世界への道を探す横スクロールアクションが『魔法少女クリティカル~異世界と役立たずの初期魔法~』だ。
ぱっと見はイロモノに聞こえるだろうし、私もそう思ってダウンロードしたのだが……いやー、これがすごい出来がいい。『ケロブラスター』のようにタッチパネルで遊ぶことを真剣に考えたつくりで、誰もが楽しめる優秀な作品に仕上がっている。
しかも無料でスタミナなし、広告もほぼなし。こんな優良アクションはめったにない。

プリティー・ピュア・アロマ・パフューム!(略称、PPAP)
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どこにでもいるありふれた魔法少女“ももか”は、悪の心を浄化して人々を助けていた。
その力を見込まれて異世界に召喚され、モンスターとの戦いに身を投じることになるのだが……。
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PPAPは、心を浄化する魔法。
異世界にはびこる悪は、もとより良心のないモンスターなので、心を浄化することができない!
ここに、魔法のステッキでモンスターを撲殺する魔法少女(物理)が誕生したのだった。
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ということで(?)、『魔法少女クリティカル』は、左右移動キーと3ボタンの横スクロールアクションだ。
プレイヤーの使えるアクションは、ジャンプ、魔法のステッキによる攻撃(ときどきクリティカルヒットが出て威力が2倍になる)、MPを消費しての魔法の3種類。
HP方式を採用しており、HPがある限り敵の攻撃を受けてもそのままプレイを続行できる。
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で、そのゲーム内容はオーソドックスで面白い横スクロールアクション。これに尽きる。
ゲームのギミックは『スーパーマリオブラザーズ』などの古典横スクロールアクションで見られるものを利用しているのだが、当たり前だが往年の名作の仕掛けをそのままスマホに持ってきても、スマホでは十分に楽しむことができない。
『魔法少女クリティカル』は、オーソドックスな横スクロールアクションの面白さを、スマホ向けに丁寧に翻訳したゲームになっているのだ。
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たとえば、足場から足場への移動はギリギリの端っこからジャンプしなくても、余裕をもって飛び移れる。タッチパネルでは精密操作が難しいので、ギリギリにしては操作ミスが多発する。だから、これぐらいの調整でゲーム機に近いぎりぎり感の体験になる。
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床が見えない場所から落ちるときは、コインの位置にジャンプするか、そのまま真下に落下すれば安全に着地できるように作られている。
また、足場の位置に合わせて細かく移動するカメラワークで「今必要な情報」だけが目に入るように配慮していたり、指で隠れそうな位置に危険物を配置することを避けていたりもする。
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▲画面下を思い切って操作パネルにして、見えないようにしているのが潔い。

ゲームのつくりとしても細かいアクションピンチを切り抜けるのではなく、周囲を観察して決まった手順をとればクリアできるステージ構成になっているのが好感触。
とにかく、タッチパネルや小さい画面に起因するストレスを低減するため、細かく工夫が積み重ねられている。
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難易度はアクション初心者を念頭に置いたものになっており、誰でも遊べる反面でアクション好きには食い足りない部分もある。
しかし、3ステージ目ボスあたりからはそれなりの難易度になり、最終ステージ付近ではやりごたえもでてくるはずだ。
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とにかく古典横スクロールアクションへの愛が伝わる作りで、スマホでこれほど「スマホでアクションすることを考えているな」と思えたのは『ケロブラスター』以来だろうか。
そのためか、ゲームが進むと使えるようになる魔法も「足場を出す」とか「岩を壊す」とかの地味なものがメインになり、魔法少女というよりもレトロゲーム好きなおっさんが魔法少女の皮を被っている状態に……。
『ケロブラスター』が今風の横スクロールアクションを遊ばせているとしたら、『魔法少女クリティカル』はファミコンのアクションをスマホで遊ばせているような中身になっている。
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これだけしっかり作ってあるのにスタミナなしで広告が強制表示されず、全5ワールド40ステージとボリューム十分。
ステージの途中で倒れたときに広告を見てその場でコンテニューができるが、1ステージ3分程度なので「この広告で作者大丈夫?」と心配になるほどクリーン。
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課金要素は新たな魔法の入手に必要な虹色石と、二段ジャンプや復活などの使い切りチート系能力をアンロックする鉢植え(鉢植えは起動のたびにを虹の雫を消費するので注意)の2つだが、虹色石はプレイを通じて金の宝箱手に入るし、宝箱を取り見逃していたとしても広告を見れば簡単に手に入る。
鉢植えはそもそも難易度を下げるものなので、なくても困らない。
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▲チートアイテムはなぜか鉢植えで培養する……。

オーソドックスなスタイルすぎて驚きはないし、強烈な演出やストーリーもない。
粗もあるし、名作になるにはパンチが欠けているが、一方でステージの構成や細かいシステムが特別丁寧でそれだけを持って評価を高くできる作品だ。
スマホで古典アクションを遊ぶことを考え抜いた良作なので、手を出してみる価値はある。
あと、App Storeの画像もおっさん力全開なのでおっさんはこれ見て懐かしんで欲しい。
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評価:7(要チェック)

おすすめポイント
手堅い横スクロールアクションをスマホで遊べる
スマホのつくりを考え抜いたゲーム内容

気になるポイント
新しい驚きはない
アクションの刺激は薄い

アプリリンク:
魔法少女クリティカル (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:CUTICLE NYANCO(日本)
公式ページ:http://cuticle-nyan-co.fun/
レビュー時バージョン:1.0
課金:虹の雫(なくても遊べる)、鉢植え(あるとイージーモード)

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: