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最高に可愛くて美しいビジュアル。ドラクエV風からクラッシュ・ロワイヤルになるMMORPG『キャラバンストーリーズ』レビュー

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MMORPGかと思ったら、ソシャゲRPGで、かと思ったらタワーディフェンスに変化する……王道RPGのように見えて、これほど奇妙な作りのゲームは珍しい。
とにかくビジュアルが美しい、そして可愛い。そこは疑いもなく『キャラバンストーリーズ』の真実である。
だが、そのビジュアルから受ける印象とゲーム内容は異なる。システム面については面白いと感じても、そうでなくても「こんなゲームだと思っていなかった」と困惑してしまう奇妙なゲームでもある。
プレイヤーに期待するものと、実際にゲームで提供するもののズレ……それを伝えるためには、私の体験をそのまま伝えるのが正しいだろう。
キャラクターを作成するときから、このゲームのグラフィックは素晴らしかった。
本作は次世代グラフィックのMMORPGとして宣伝されていて、その言葉に偽りのないものを提供しているのは間違いないのだ。
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▲拡大しても可愛い。これでグラフィック設定・中。

キャラクターデザインとしても、洋ゲーでもなく、中国な萌えでもなく、良いバランスで「日本のオンラインRPG」している。
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▲最初に選ばなかった種族も「転生」することで遊べるようになる。

ゲームはストーリーベースで進み、クエストをこなすことで選択した種族それぞれの物語を楽しめる。序盤は、何をしてもそのグラフィックに驚くことだろう。
アイドルマスターミリオンラインブ シアターデイズ』と同程度の世代のグラフィックのMMORPG。夢のようなビジュアルだ。
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フィールドはタッチで位置指定するか、十字キーで自由に移動できる。
カメラワークはかなり悪いが、クエスト横の「オート」ボタンを押すか、ミニマップで場所指定すると自動操作で目的地まで移動してくれるので、カメラワークはある程度カバーされている。
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そうして、ゲームを続けるとバトルにはいったときに大きな違和感を感じることになる。
MMORPGではプレイヤーが自分のキャラクターを操作して戦うことが多い。しかし、本作のバトルは半オートで、キャラクター達はかってに攻撃相手を選んで、プレイヤーの操作はスキルを利用する選択のみ。
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MMORPGなのに、バトルシステムは『ヒーローズチャージ』や『ソウルクラッシュ・サガ』のような1人用ソーシャルRPGの仕組みなのである。
PCライクなMMORPGを期待していたら、まったく違うものが出てきて驚くわけだ。
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▲キャラクターの位置関係が重要になるが、位置を変更できるのは技を使ったときだけ。フルパーティーになると画面が一杯で何しているかわからない欠点も。

また、戦いを終えると『ドラゴンクエストV』ばりにモンスターが起き上がって仲間になってまた驚く。1人で戦って、他のプレイヤーと協力してパーティーを組むと思っていたのに、モンスターを仲間にしてパーティーを組むだと!?
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とは言え、違うのは悪いことではない。
序盤で“キャラバン”と呼ばれる馬車を手に入れて旅に出ることになり、「そうか、仲間を増やしながらフィールドを探索するドラクエV風ソシャゲRPGなんだな」と考えれば結構楽しめる。
キャラバンの中の設備を強化していく街作り要素もあって、コツコツと楽しめる用にも作られているのだ。
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クエストがたくさんあって、目的地までは自動移動できるけど作業はプレイヤーの手でやるようになっていて、PCのガチMMOより楽で『リネージュII レボリューション』よりオートじゃない具合もいい感じである。
時間や天候の変化もあって、夜だけ出るモンスターや、昼だけ採れる素材などがあるのも懐かしいオンラインRPG風で良い。
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ゆるゆる美しい世界を旅しつつ、モンスターを仲間にする旅もいいじゃないか。犬や猫なんてのもいるし。キャラクターたちの掛け合いによるストーリーも楽しめるし、悪くない。
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▲メインストーリーは退屈だが、キャラクターストーリーは良い。

しかし、そうやって心持ちを変えて楽しく遊んでいると、「鉱山」と呼ばれるマップに来たとき、急にスタミナ要素が解放されてゲームが変わってしまう。
少し戦うとキャラクターのスタミナが尽きて戦えなくなるのだ。なお、5分に1点回復なんてチマチマしたことはしない。6時間待って全回復か、スタミナ切れのままか。All or Nothingがキャラバンストーリーズ流である。
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こうなると今まで気楽に旅してモンスターを仲間にしてきた理由がわかる。
開発側はたくさんのモンスターを仲間にして、たくさんのチームを作って、スタミナが尽きたらローテーションして遊んで欲しかったのだ。
しかし、これは辛い。
これまで1チームしか育てていなかったプレイヤーは前のマップに戻ってモンスターを育成しないといけないし、育てたところで所詮モンスターである。

しかも、鉱山から敵が強力になって「よし、育成するぞ!」と言うときにレベル1のモンスターをチマチマ育成する作業が楽しめるだろうか。
鉱山から本当にMMORPGになって、他のプレイヤーと一緒に戦ったり、ギルドで協力できるようにもなる。しかし、それまで1人で遊んでいたプレイヤーに急にパーティーを組めというのも難しい。
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▲パーティーを組むと、なんと参加者のキャラクター全員が戦い始める。すごい。

本格MMORPGかと思ったら、ゆったり遊べるソーシャルゲーム系RPG……と思ったら、スタミナが厳しくてたくさんのキャラクターを育てなければならないRPGに変化し、この変化の落差は本当に厳しい。
案の定、プレイヤーから多くの批判によりスタミナ消費は緩くなり、今後撤廃されることになってしまった。ただ、これがなければ私も『キャラバンストーリーズ』を止めていただろう。

この先、『キャラバンストーリーズ』の運営は非常に辛い山が待っている。
スタミナ制を前提としたゲームの組み立てでスタミナを廃止することは、ゲームバランスの根幹が変わることで、適正なバランスをとるには新しいゲームを作るほどの労力が必要になるからだ。

また、ゲームのプレゼンテーション自体の改良も必要になる。
例えば、複数キャラを育てることが楽しいなら、プレイヤーはそれをする。しかし、このゲームではスタミナがあるから、いやいや複数キャラクターを育てる仕組みだ。
そうして鉱山のさらに後に出てくる闘技場では、今まで育てたキャラクターで『クラッシュロワイヤル』系の対戦タワーディフェンスを遊べるようになり、ここで初めて「なるほど、たくさんのキャラクターを育てればここで役立つのか!」とわかる。
「タワーディフェンスが楽しいから、複数キャラ育ててね!」と言わないといけないのに、「とにかく必要だからやって」みたいなぶっきらぼうな投げ方しかしないのだ。
いくつかのシステムは提示順番が狂っていて、つぎはぎだらけの奇っ怪なキメラのようになっている。
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▲また、ゲーム内容のどんでん返しが!

果たして、これらの問題を開発が克服できるのだろうかと思う一方で、将来に希望もある。それはリリースが遅れたPC版だ。
現在、小さいスマホ画面に多数のキャラクターが入り乱れるゲームはプレイしづらいが、BlueStacksというAndroidゲームをPCで遊ぶシミュレーターで試したところ、マウス操作と大画面ならゲーム情報を簡単に処理できた。PC版が出るまでに改良が行われれば、カメラワークも画面情報量過多の問題も解決され、一気に遊びやすくなることだろう。

ただ、PC待ちをするにしても新世代なグラフィックのMMORPGは見た目を体験してみるといい(ただし、オークで始めると巨体で画面が隠れるので人間スタートがおすすめ)。
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このグラフィックで感動できるのは「スマホの画面にこれが映るから」だからだ。
現段階でも鉱山に行くまでは楽しめるし、ほんの序盤だけ試してみるのも悪くはない。
なお、「テストサーバーに迷い込んだキャラクターが削除される」ようなバグも見られているので、課金の際はお気を付けて。

評価:5(楽しめる)

おすすめポイント
最高のグラフィックは一見の価値あり
鉱山までの緩い旅
全ての変化を受け入れられれば楽しめる

気になるポイント
情報量が多くてバトル画面が見づらい
カメラワークが悪い
多数キャラクターを育てるのがつらい
ロードが多くて長い

アプリDL:
キャラバンストーリーズ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
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開発:Aiming Inc(日本)
レビュー時バージョン:1.1.0
課金:有料通貨(ガチャや時間短縮に必要)

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: