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『アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ』レビュー - 最高の映像で表現されたアイドルの内面を魅力的に見せる、アイドル触れあいゲーム

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携帯のアイドルマスターには大まかに言って2つの流れがある。
1つはシンデレラガールズ。これはアイドルマスターのスピンオフ作品としてMobageに登場したゲームだが“ニートアイドル”や“キノコアイドル”など、キレッキレのアイドルを投入して人気に火がつき、本家作品に並ぶほどの人気となった。
そして、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(デレステ)がスマホで出て大きな話題になったのは多くの方が知る通りだ。

その後、GREE側で対抗馬として元祖作品のアイドルを前面に押し出したゲームとしてリリースされたのが『ミリオンライブ』であり、そのリズムゲームが『アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ』である。
これまでメインプラットフォームが違っていた2つのシリーズが、スマホを舞台に正面から殴り合う時代が来たのだ!

『デレステ』が凄まじい出来だったので、それを超えるか半信半疑ではあったが、見た目に関しては『ミリシタ』が本家の意地は見せたと言えるだろう。
見ての通り、グラフィック面では元祖『アイドルマスター』を踏襲したのっぺり気味のセルシェーディングで、見事に魅力的なキャラクターを描写している。
拡大しても腕や顔の造形は魅力を保っており、素晴らしい出来映え。
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先発の『デレステ』にも驚かされたが、それより2年後にリリースされた本作……つまり、2年分進化した端末性能を前提に基本設計された『ミリシタ』のステージ演出、キャラクターモデルはそれを上回る。
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複数のアイドルが別々のダンスを踊る楽曲もあり、キャラクターのクオリティも合わせて素晴らしい華やかさだ。
ただ、それを指して『ミリシタ』が『デレステ』より優れたゲームかと言えば、単純にそうは言えない。
ミリシタは単にアイドルを置き換えたものではなく、異なる方向性を示しているからだ。
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本作はアイドルとプロデューサーのふれあいを通じてキャラクターを描くアイドルゲームであり、リズムゲームパートはその一部という位置づけなのだ。
最高のグラフィックで描かれたアイドルたちを、最大限に魅力的に見せるためのシステム作りが行われている。

『ミリシタ』のゲームの流れはこうだ。
朝、ゲームを起動するとシアターの入り口から始まり、アイドルと挨拶を交わす。
続いてシアター内を移動して、アイドルたちを見回る。シアターでは3Dのアイドルたちが日常生活を送っており、雑談している様子をのぞいたり、それぞれに思っていることを聞いたりもできる。
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▲劇場表示をすることもあり、起動のロード時間は長い。しかし、『Fate / Grandorder』で宝具演出をスキップしないように、これもまたゲームの確固たる魂なのだろう。

挨拶と見回りが終わったら、お仕事だ。元気(スタミナ)を消費し、アイドルと営業に行くとライブチケットを売りさばける(ゲーム内ではチケットの数値が貯まる)。
お仕事は単に1行メッセージが表示されて終わる簡易なものだが、ときおり“チャンス!”と表示されてアイドルと話すこともできる。
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選択肢が示されることもあり、ここでアイドルとより距離を近づけることもできる。
このあたりは元祖アイドルマスターの伝統でもあり、原作ファンには嬉しい演出だ。
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ここまできて、ようやくリズムゲームパートである。
ライブが始まると画面下にマーカーが表示され、楽曲に合わせて上からボールが落ちてくる。
ボールとマーカーが重なったタイミングでマーカー部分をタッチすると、タイミングに応じて得点が加算されるオーソドックスなシステムを採用している。
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▲長押しのボールや、フリックのボールもある。

特徴的なの、縦横の画面を選べることと、難易度に応じてマーカーの数が変わること。
難易度は4段階で、難易度に応じてマーカーの数が2~6まで変化する。
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縦画面で遊ぶ“ソロライブ”では気楽にいつでもライブを楽しめる。
ソロライブでは大きな画面で1人のアイドルを見られるだけでなく、1人のアイドルだけが成長するので育成にも有効だ。 
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このライブパートも明確にゲームの方向性を示している。
リズムゲームとしての判定はとても緩く、数あるリズムゲームの中でも比較的簡単である。
アイドルのダンスを見るMVは、『デレステ』では最高難易度をクリアしたご褒美だった。しかし、『ミリシタ』では一番簡単な難易度さえクリアできれば、何度でも見られる。
プレイヤーにクリアしてもらって、アイドルを感じさせるために存在するのが本作のライブパートである。
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▲ライブ中には、ただセンターアイドルを見るだけのパフォーマンスパートも。これもゲームの方向性だ。ただ、2Dバージョンだと単に何もしなくなるのが残念。

そして、ライブが終わるとアイドルたちのファンが増え、プロデューサーとの親愛度も上がっていく。
メインのストーリー進行や大きなイベントがあればブログが見られたりもする。
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また、親愛度が高くなるとアイドル能力が上がる“覚醒”が行えるだけでなく、アイドルから相談のメールを受け取ることもある。
ブログでファンに向けて情報を発信しているアイドルに、私生活や仕事の悩みを打ち明けられる……最高か!
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ただ単にリズムゲームとして存在して、ノベルパートでストーリーが進行するだけではない。
シアターで動いている様子を見て、一緒に仕事して、アイドルではなく1人の人間としての姿を感じる。
そして、ライブと公式ブログでアイドルとしての顔を見る。
最後にメールでまたプロデューサーを頼るパートナーとしての顔を見る。
キャラクターの様々な面が見せる流れが、キャラクターの魅力をより輝かせているのだ。
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もう1つ褒めるならば、面倒を省いたシステム面の配慮も良かった。
本作ではライブチケットを余分に払うことで、払っただけ余分にアイドルが成長する。時間がなくとも、アイドルと話して仕事しておけばゲームは続くのだ。
また、ガチャでアイドルがダブったとき、同じレアリティのアイドルを強化する強化アイテムに自動的に変化するのも良い。アイドルのボックス拡張や合成の手間が省けてストレスがだいぶ緩和された。
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▲こういったシステムはもっと普及して欲しいが……。

プレイヤーがアイドルと触れあい、最大限にアイドルを見せる。そのために流れを作り、細かい面倒を省いたゲームが『ミリシタ』なのだ。

ただ、最高の映像やゲームの方向性ゆえの欠点もある。
また、ロードや通信が頻繁に入るのでいちいちテンポが悪い。アイドルたちはフルボイスなので、データを貯めすぎると大変なのは分かるが、一括ダウンロードのオプションは欲しかった。
そして、ライブのリズムゲームパートについては物足りなかった。個人的には『デレステ』のリズムゲームと、本作の映像とシステムが最高なのだが……当然ながら、無いものねだりだろう。

ただ、いずれにせよ『ミリシタ』は3Dアイドル系ゲームとして現在最高峰であることは間違いない。
リズムゲームの『デレステ』、アイドル触れあいゲームとしての『ミリシタ』。
どちらも最高峰のアイドルゲームとしてアプリストアに君臨している。バンダイナムコも恐ろしいシリーズを作ったものだ。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
超スマホ級のグラフィック
アイドルのキャラクターを魅力的に見せるゲームの流れ
近代的に整理されたシステム

気になるポイント
頻繁にロードが入る、通信が遅いことがある
小さい端末だと6マーカーがプレイしづらい
リズムゲームが食い足りない

課金
ミリオンジュエル(主にガチャに使用。課金専用優遇ガチャあり)

(バージョン1.0.6、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

動画: