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『TimeMachine』レビュー - 荒廃した未来の子孫に仕送りし、ウルトラポジティブな生き様に感動せよ

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気づくと、我が家にあった見知らぬモニター。
なんだ、これは。疑問に思うより先に青い防護服を着た男がそこに映り、語りかけてきた。
彼は防護服なしでは生き延びられないほど荒廃した未来で、最後に残ったただ1人の人間であり、私の子孫だという。このモニターは、彼が送ったタイムマシン。
瀕死の彼を生かすため、私はタイムマシンで手近な物を送った。
これが私と子孫の出会いだ。そして、このあとで彼が大事な人間になるとは、思いもしなかった。

『TimeMachine - タイムトラベル系仕送りゲーム』は、対話系アドベンチャーゲームの中でも特徴的な良作である。
まず、子孫に言われるまま手元の水を転送してみた。すると…。
「おお…水……みず、だ…」
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「透明だ。ヤバイ物質が解けている心配もない、安全な水か…!」
「いきなりこんなスゴイもの送ってくれて大丈夫なのか?」
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未来で一般的な水は緑で、飲むと尻から腕が生えるという。未来ヤバい。
それ以上にヤバいのは、水一杯でこんな喜ぶ子孫の反応である。ここまで喜ばれたら、また送るしかない。

「水だぁぁぁぁぁぁ! ご先祖様の時代の水は最高にうまいな!本当だよ!」
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カルキくさい水を送っただけで、コイツはなんて喜ぶんだ!
私まで嬉しくなってしまった。水一杯で人が感動する全能感。ヤバい。ヤバみ、オブ、ヤバみ。
リアクションが良すぎてワクワクが止まらぬ。これでカレーなんて送っててしまった日にはどうなるんだ…。

…私は、その衝動を抑えることができなかった。
-時空転送中-
「ふ、ふぉぉぉぉ・・・・!」
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「そうか、これがカレー…伝説上の食物、カレー…なんだな?生きてて良かった。」
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リアクションきたぁぁあああ!
喜びすぎ。これは、どうあっても子孫に食の喜びを教えねばならない。
私は子孫にカレーを送り続けた。
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最後にはカレーの夢を見て、「ナマステ…」とうわごとのようにつぶやく中毒者ができあがった。大満足。

このように物を送るたびに大げさな反応で喜び、何回送っても感動してくれる。私の子孫は、最高のリアクション芸人だった。
しかも、ウルトラポジティブ。世界最後の生き残りなのに、弱音を吐かない。この子孫の反応を見ているだけで、現実世界で生きる気力が沸いてくるほどウルトラポジティブ。
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反応を見るだけで明るくなれる。そして楽しく物を送り続けていると、画面上の「EN」が消費されて物が送れなくなっていた。その代わりにHP、EXP、お金が増えた。
タイムマシーンを使うとENが減って物品が転送され、未来からはお金が送られてくるようだ。
ENは1時間に1点しか回復しないが、アプリを起動するたびに子孫が未来の様子を語るので、それだけでも面白かった。
あまり頻繁に見に行くと、「友達がいないのか」と心配までしてくれる。いつの間にか、子孫はリアクション芸人ではなく、私のパートナーとなっていた。

その後も私はさまざまな物を送った。特に印象に残ったのは、ケーキだろうか。
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「ありがとう、ご先祖様。俺にできることがあったら何でも言ってくれよ。ミュータントとだって戦ってやるさ。」
…ケーキで命を賭けるなよ、こいつぅ!
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子孫を満腹にする。これは私の使命となった。
魚も、ステーキも、食べられるものは送った。すべてのものに子孫は感動してくれた。現実世界で私が食べる飯までおいしくなった気がした。
そして、私と子孫の友情は深くなっていくが…あるとき、突然ゲームは終わった。
詳細は書かけないが、納得できずに私はもう1度ゲームをやり直して、新しいことを始めた。

良く見渡せば、このゲーム食べ物以外のアイテムもある…!
エロ本とか、犬とか。犬を荒廃した未来に送っていいのかわからないが。
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まず、ペンを送ってみた。「ペンなんて使わないんだよね」という反応。
しかし、未来の風俗が垣間見られて興味深い。
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続いて、レターセットを送ってみた。
すると、「これでペンと紙が揃ったから、手紙が書けるな」という言葉と共に、時空変動発生中の文字!
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そうか、このゲームは子孫と会話するのではなく、子孫にアイテムを送って未来を変えるゲームだったのか!
ゲームを1回クリアするまで、全く気づかなかった…作者は天才か!(アホ)
プレイしている間、ほんとうに子孫と生活しているような気持ちになり、すっかりハマってしまった。

これに近いゲームがあるとしたら、メッセージをやりとりするゲーム『Lifeline...』だろうか。ただ、Lifeline...とは決定的な違いがある。
Lifeline...がスマホのメッセージ機能を用いてリアルな人物を演出するのに対して、本作の子孫は明らかに架空の存在である。
ポジティブで好ましい人物を描き出し、リアリティはなくても「こんな子孫がいて欲しい!」とプレイヤーに思わせることに成功している。また、必死に生きる子孫の姿には普遍的な説得力がある。
1時間に1回しか物を送れないことはもどかしいが、それもまたゲームの一部。待ち時間が長いからこそ物を送ったときの喜びがあり、子孫が存在しているかのような感覚を生み出すことに一役買っている。

本作は、対話系アドベンチャーゲームの中でも異彩を放つ良作である。
見た目に惑わされず、まず遊んでみて欲しい。きっと、悲惨な世界で力強く生きる子孫に励まされ、生活に潤いが生まれるはずだ。

評価:7(要チェック)


課金について

なし

おすすめポイント
ウルトラポジティブな子孫のリアクション
そこに人がいるかのような演出

気になるポイント
婚活中の私は子孫を考えて悲しくなった

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
TimeMachine - タイムトラベル系仕送りゲーム (itunes 無料 / GooglePlay)

攻略記事:
Time Machine攻略ガイド(軽いヒント+ネタバレ攻略)