僕らの夢は、現実になった。歩いて探しに行くRPG『ポケモンGO』レビュー
- RPG
- 2016年07月26日

「ポケモン、ゲットだぜ!」
という言葉もまだない昔。私は、近所の小学生Aくんに「お兄さん、通信ケーブル持ってるんでしょ、ポケモンやろうよ!」と誘われて『ポケットモンスター赤』を始めた。
そして、Aくんに公園に呼び出されて驚いた。みんな、ゲームボーイで遊んでいるじゃないか。
当時、小学生達は「お外で遊びなさい」と言われて、外にポケモンを持って集まっていたのだ。そして、私の持ってきた通信ケーブルを使って、みんながポケモンの交換を始めた。
当時は他のプレイヤーと一緒にできるRPGが少なかったため、そこには未知の興奮があった。それが、私の『ポケモン』原体験だ。
そして、『ポケモンGO』は、その面白さを大きく進化させた、初めてのポケモンである。ヒットしないはずがない。
『ポケモンGO』は、ポケモンを捕まえ、戦わせるRPGだ。
ただし、現実の位置情報と連動し、特定の場所に行かなければポケモンが手に入りづらい「位置ゲー」の構造を採用しており、ただのRPGではない。
ゲーム画面には現実のマップ情報と連動したフィールドが表示され、近くにいるポケモンの様子などが表示される。

地図上には「ポケストップ」という拠点があったり、ジムがあったりするのだが、とりあえずその説明は後で。
ともかくも地図上でポケモンを見つけてタッチすると、その場にポケモンが登場する。

AR技術を利用し、現実の写真の上にポケモンがいる様子は、昔夢見たポケモンハントの延長線上にある。

そして、スワイプでポケモンボールを投げ、見事に当てると(これが、意外に難しい)ポケモンボールにポケモンが格納されて、激しく揺れる。

そのまま、揺れが収まれば見事ポケモンゲットというわけだ。

ポケモンにはある程度出現位置が定められていて、特定の場所で出てきづらいポケモンは全然捕まえられない。
だが、生息地まで歩いて行けば入れ食い。必然的にポケモン生息地の情報を仕入れ、会いに行くことになる。

▲上野の山は、ブーバー取り放題。自宅の周りには、まったくポケモンがでないけど。
友達と生息地を探して、その場所まで行って、ポケモンに会う。
これこそ、外でゲームボーイを持って集まっていた小学生達が夢見ていた世界であり、ポケモン好きの夢が1つ実現された瞬間。
このゲームが多くのポケモン世代の興味を引くのは必然だし、ポケモンファンの多さを考えれば社会現象になったことも(いろいろ他に原因はあるにせよ)引き起こすことにも納得はできる。
また、それとは別に歩く楽しさを足してくれる「プラスワン」の楽しみもある。
先ほど書いた通り、ゲームの地図上には円形のマーカーで、ポケモンボールなどのアイテムを補充できる「ポケストップ」が表示されている。
ここは、現実世界上でちょっとした観光地だったり、ちょっとした名所だったりがそのまま当てはめられている。そのため、住んでいる人間ですら知らないスポットを見つけることも。

▲よく見るとキモいぱんだ……ネーミングも時々秀逸。
さらに、社会現象になったがゆえにこのゲームはさらに面白さを獲得した。
▲すべての始まりは、このPV。
ポケストップに「ルアー」という有料アイテムを使用すると、30分間ポケストップの側にいるすべてのプレイヤーがポケモンを簡単に見つけることができる。
必然的にルアーを目印にプレイヤー達が集まることになり、社会現象と同じゲームを共有している楽しさを感じられる。もちろん、会話になることもあるし、そうなったら同じゲームを遊んでいるから話題も尽きない。
『ポケモンGO』は、発見と交流のゲームとしても良く機能している。

▲ある日の公園。どこを見ても老若男女ポケモンマスター。
近年、人気の漫画などを利用してその漫画にガチャゲーのシステムを載せただけのゲームを作る会社も多いが、これはポケモン好きの原体験を刺激する、見事なゲームである。この体験ができるだけで、このゲームはもう素晴らしい。
ただ、現時点では2つの致命的な欠点を抱えている。
現時点で一番大きいのは、2週間ぐらいでかなりのプレイヤーが飽きるだろう、ということだ。
ポケモンを集めたプレイヤーは、何をするのか?
多くの場合、バトルという答えが返ってくるだろう。
確かにマップ上に円筒状のジムに行けば、ジムの管理権を巡って6vs6のポケモンバトルはできる。しかし、圧倒的にジムが少ないため、多くのジムはやりこみプレイヤーに選挙され、ほとんどのプレイヤーは太刀打ちもできない。

▲ジムバトル、1体ぐらいは倒せるけども……。
友達とバトルもできないし、ポケモンの交換もできない(これは、今度実装されるそうだが)。
ジムという目標は遠すぎて、最初にポケモンを集めてからやることがなくなるのだ。多少のレベルアップでは、歯が立たない。
最初の面白さを超えたところで、何かしらやることを作らなければ、コアなファン以外は残らないだろう。一刻も早いアップデートが期待される。
例えば、様々な場所にジムトレーナーや町の人を配置し、NPCと戦えるだけでもだいぶ違うと思うのだが……。
次に大きいのは地域格差。拠点となるポケストップやジムは都市部に多い。しかし、郊外には少なく、場所によっては見渡す限り何もない。
都会のプレイヤーは、ポケモンボールを常に満タンにしてポケモンを乱獲できる。
しかし、郊外に住んでいるプレイヤーは課金してポケストップボールをなかなか補充できず、課金で買うことになる。ポケモンにもなかなか会えない。
そのほか、ジムバトルの仕様が全く説明されない(連打で攻撃、長押しで技、スワイプで回避だが、何も説明されずに瞬殺されるのでわからない!)とか、操作がわかりづらいなどの細かい問題はあるが、その当たりはプレイヤー数が膨大で、ポケストップに集まって情報交換してカバーされるので、まあなんとかなるだろう。
他のゲームならこうはいかないが、社会的ブームなので解決できる荒技である(ただし、地域格差はここにもでる)。
ただ、このゲームの序盤が楽しいのは間違いないし、ポケモン世代なら、そして空前の社会現象を見てみたいなら試す価値はある。少なくとも、その部分だけを切り取っても『ポケモンGO』は素晴らしい体験を提供するはずだ。
少し遊んで楽しんで、やめるかどうかはその後に判断すれば良い。今は、これを楽しむべきだ。
評価:8(かなり面白い)
課金:
アイテムやポケモン上限アップ、ポケモン出現率アップのアイテム、卵の孵化装置(歩いた距離で孵る)など。
なくても都会なら遊べる。
おすすめポイント
ポケモンマスターになる夢が1つ現実に近づいた
身近な観光ポイントを見つける面白さ
社会のブームに乗り、共有する楽しさ
気になるポイント
ポケモンを集めても目の前にやることがない
ゲームが説明不足
地域格差が大きい
(バージョン1.0.3、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Pokémon GO (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
次に大きいのは地域格差。拠点となるポケストップやジムは都市部に多い。しかし、郊外には少なく、場所によっては見渡す限り何もない。
都会のプレイヤーは、ポケモンボールを常に満タンにしてポケモンを乱獲できる。
しかし、郊外に住んでいるプレイヤーは課金してポケストップボールをなかなか補充できず、課金で買うことになる。ポケモンにもなかなか会えない。

そのほか、ジムバトルの仕様が全く説明されない(連打で攻撃、長押しで技、スワイプで回避だが、何も説明されずに瞬殺されるのでわからない!)とか、操作がわかりづらいなどの細かい問題はあるが、その当たりはプレイヤー数が膨大で、ポケストップに集まって情報交換してカバーされるので、まあなんとかなるだろう。
他のゲームならこうはいかないが、社会的ブームなので解決できる荒技である(ただし、地域格差はここにもでる)。
ただ、このゲームの序盤が楽しいのは間違いないし、ポケモン世代なら、そして空前の社会現象を見てみたいなら試す価値はある。少なくとも、その部分だけを切り取っても『ポケモンGO』は素晴らしい体験を提供するはずだ。
少し遊んで楽しんで、やめるかどうかはその後に判断すれば良い。今は、これを楽しむべきだ。
評価:8(かなり面白い)
課金:
アイテムやポケモン上限アップ、ポケモン出現率アップのアイテム、卵の孵化装置(歩いた距離で孵る)など。
なくても都会なら遊べる。
おすすめポイント



気になるポイント



(バージョン1.0.3、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Pokémon GO (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
コメント一覧 (18)
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- 2016年07月26日 01:42
- 初代をやってたからハマってるけど自分よりも明らかに年上の人や子供が目の前にいるポケモンを捕まえるのに夢中になってるのを見て改めてポケモンっていいなと思ったな
元のポケモンが面白いゲームだから集めるだけじゃなくやっぱり友達同士での対戦をさせてほしいね
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- 2016年07月26日 01:44
- 沢山の人がやってるから面白さを感じるけど・・・
1ヶ月後のユーザー数どうなるかね
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- 2016年07月26日 01:55
- ユーザーが減って鬼の首を取ったように批判する奴が湧くだろうけど
新しい体験を提供してここまでの現象を生み出したことを最大限に評価したい
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- 2016年07月26日 02:53
- 流行ると批判する奴必ず湧くよね。
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- 2016年07月26日 03:51
- 流行ろうが流行らまいが、
批判されてしかるべき欠点を持っているのは事実だから、そこは批判されるのが健全だよね。
地域格差は特にひどいし。
このゲームのせいで起きた事故があり、逮捕者が出て、被害者も生まれているのも事実なわけだし。
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- 2016年07月26日 08:40
- 地域格差で萎える人も多いだろうけど、説明不足感が酷い気がする。
殆どの人は捕まえてコレクションするだけで終わりそう。
強化や進化まで行かない。むしろ複雑さは排除した方が良いのかも。
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- 2016年07月26日 09:45
- 歩きスマホによる事故なんて日常的に起きてていちいちニュースにならない
↓
ポケモンGOの話題性により全国ニュースで面白おかしく取り上げられる
↓
「ポケモンGOのせいで歩きスマホ被害者が!」
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- 2016年07月26日 10:22
- たしかにスマホ見ながら運転での事故なんて
報道されてないだけでいくらでもあるだろうしなあ
しかしまあここで議論することでもない
ゲームの中身について語りたいところ
チュートリアルや説明を一切省いているのは
いっそわざとそうしているような気もする
ゲームを普段やらない一般人をターゲットに、
導入時の煩わしさを一切無くすことに
重点を置いたのでは
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- 2016年07月26日 11:11
- コイキング100匹チャレンジ楽しいですよ(死んだ魚の目
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- 2016年07月26日 11:32
- 自分もプレイして感じたのは、チュートリアルや説明を省いているのはあえてそうしているように感じました。
そうすることで、有効な情報の拡散などがツイッターなどに流れて目につきますし、そういった媒体を見ない人でもプレイヤー同士のコミュニケーションで情報を保管しあう動きが見えます。
そこに噂や誤情報などの、嘘か本当かわからない情報がプレイヤー間で流れる状況が、それこそ当時のポケモンをプレイしていた時のような、クラスメイトと共通のゲームの情報を共有している感覚を思い出しました。
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- 2016年07月26日 12:49
- 連動するデバイスの発売でも一波乱ありそうですね
個人的にゲームの拡張機器とか大好きなので楽しみです
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- 2016年07月27日 00:17
- >このゲームのせいで起きた事故があり、逮捕者が出て、被害者も生まれているのも事実なわけだし。
交通事故って車が悪いのか?
刃物を使った傷害事件って刃物が悪いのか?
Wiiで遊んでいた少年が持っていたリモコンを警官が銃と誤認し誤って少年を射殺してしまう事件がアメリカであったけどあれもWiiが悪いのか?
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- 2016年07月27日 03:14
- チュートリアルがかなりあっさり終わってしばらくポケモンを見つけて捕まえる以外何をすればいいのかわかりませんでした…
友達がやってて良かった
個人的に一番改善を期待したいのは通知ですねー
流石にアプリをずっと起動したまま手に持って歩くのがしんどいですし、
周りを見渡す余裕があれば突飛な行動に出る人も減るんじゃないでしょうか
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- 2016年07月27日 17:52
- 13みたいな論理が通じない馬鹿がいるから、ポケモンGOやってるやつはアホばかりだと思われるんだよね。
車は事故を誘発しないし、むしろ安全措置が色々ある。しかし、ポケモンGOは、システム自体が歩きスマホを誘発する。外を歩き回ることを前提にしているからね。ここが決定的に違う。
ポケモンGOを無理やり車に例えるなら、ブレーキが効かない車。マナーがないプレイヤーも当然悪いけど、現実世界を歩かなきゃゲームが進まないシステムにしたポケモンGOも悪い。
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- 2016年07月27日 19:16
- 現実世界を歩いてポケモンと出会う体験がこのアプリの核心なのに、そのコンセプトを賢しらに否定してどうしたいの?
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- 2016年07月28日 00:25
- ポケモンGOにはポケモンが近くに現れるとバイブで知らせる機能がある
歩きスマホを防止するための機能でこれが車でいう安全措置
こういう機能はきちんとあるんだから歩きスマホによって事故が起きてそれをポケモンGOのシステムのせいにするのはおかしいでしょ
どう考えてもマナーを守れない利用者が悪い
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- 2016年07月28日 02:51
- 公式ページのポケモンを捕まえる時の説明でも、「早く捕まえないと逃げちゃうかもしれないよ!」との記載があって焦らされるし、ポケモンが近くに涌くとバイブで知らせてくれるけどポケストップには反応しないから、よほど穴場が見つからないかぎり歩きスマホプレイのほうが効率良く育成できるシステム面も問題あると思うよ
今までのオンラインゲームならマナーを守らない害悪プレイヤーはログ遡ってすぐBANできるんだろうけど、
現実世界で悪さしてもBANされない分、このゲームは質が悪い
夢を現実にしたというけど、夢は現実にしてはいけないもの。夢は夢のままだからこそ美しいわけだから。